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体育館
黄緑色の車が横切る
綺麗に並んだ紅葉の木
使われていない体育館
中は黒く
土足の足跡
まばらにビルは立ち込める
優柔不断な排気ガスは
曇った頭にぶら下がる
鉄工所からは無言のから笑い
草木に隠れた看板は
青春の門を隠させる
ドラム缶が並ぶ
酒樽が並ぶ
パンクしたタイヤ
哀愁漂う廃墟の塗り絵
秋はまだ先
いろはをひとつ覚えたならば
見える先に曲がりくねる
安心できない鉄骨の道
一歩目二歩目三歩目と
足を出すだけ
靴紐は切れる
底はすり減りなくなるけれども
埃はたまる一方だけれど
ラララと浮かんだメロディーは
秋の前に実りをつけた