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春の敗北者
ゆるやかな残り香を抱きしめながら
一歩踏み込めなかった 弱気心
控えめのサインに気づかぬフリをして
かっこ悪い偽善者になり下がった
たくさん話をしてくれた
好きなことも 最近のことも
優しい言葉で教えてくれた
出会いはふとした 恥ずかしい事
受け止めてくれた その時から
零れ落ちた気持ち 素直なまま
後戻りができないあの時間に
せっかく君が知らせてくれたのに
弱っぽっちな退屈な帰り道
缶コーヒーを握りしめて
訪れない未来に涙を浮かべる
遅すぎるやりとり 本当の気持ち
戻らない関係 桃色から黒へ変わる
立ち上がるのが遅すぎた
腑抜けた様を笑ってくれ
風に舞う もどかしい感情を
濁点の足りないドキドキに
なんて名前をつければいい
敗者の言い訳 踏みつける
春の季節にふさわしい
桜色の笑顔 桜色の声色
戻らない関係性 滞るおもい
いつかまたどこかでなんて
おこがましい事を言えたならば
伝えるべきこと 遅すぎる開花
どんな顔をしてくれるのかな
優しい君をただ傷つける