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純白のマリオネット
乗り降りが行われる
ほんのわずかな時間
現れた 純白のマリオネット
掛け違えた教科書
使い回しの机と椅子
同じ習わし 桜から桜まで
目線が少し下がった所
初夏のはじまりを感じた
街灯 照らされるのは
いつもと違う透き通る雪化粧
浅めの海 巡る再会
純白のマリオネットだ
借り物同士 気持ちの良い波長
行くもの 帰るもの
塞いだ鼓膜を痺れさすもの
あの日の放送室と同じなのか
次はもっと違う表情で
余裕も少しあってほしい
地獄へ向かうなんて大袈裟だけれど
人の事情は表面だけでは分からない
難破船 アヒルのボート
ロケット 紙飛行機
腐った札束 ペッドボトルのキャップ
縄張りにお互い入り込む
無理のない気遣い 支え合う
そんな関係で歩ける ハマる日常
あの純白は 到着まで頻りに浮かぶ
マリオネットが降りてくる
中身のことまではどうでもいいけれど
触れ合う夢 振り切る 奴らを
なんでもいいのだ そこから行く
もう一度 乗り降りの時間だけでも
立ち寄った喫茶店
目を丸くする
チクリと刺さる 再会がはじまる