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気球が飛ぶ
守られるはずのない約束を
言い放って やり過ごす日々
大切なものは 消えずに残り
青春の終わりの扉を叩いた
そんなつもりはさらさらないのに
恥ずかしさに 捨てた武器は
中途半端な荒くれの元へ
増えてゆく 手にできなかったものは
お金でだいたい解決できるもの
そんなものはどうでもいい
消えてしまいそうな 本当の気持ちを
失くさないようにしていただけ
これから出向く足の先には
何にも変えられない 少年の心
出会いのかけらをたくさん集めて
あの日の続きを笑いながら
きっかけはいつも単純なのさ
酒に酔った勢いでもいいから
つまずきながら 転びながら
そわそわ動く 気球が飛ぶ
奥歯で噛み合わせる
なんでもない日々と
停止間際の脳みそをえぐる
飛び火していった 空想を回る
劇的な荒野の彼方へ
現実を押しつぶしてやる