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好きなもののこと
簡易な欲にいつも踊らさせる
少しも後悔はないけれど
いくつか先の階段で
踏み外さない程度によろつく
時計仕掛けの命の鼓動
盤の色は様々で
一貫性はかろうじてあり
自転車を漕いで浴びた時期も
一人部屋で濡らした夜も
おなじ嗅覚を感じた日々も
いつもこれからもここにある
何者でもないけれど
いつも側にいてほしい世界
楽しい時も 悲しい時も
希望が見える朝も
絶望に押しつぶされそうな夜も
知らない街でも 見えない光も
すべて巻き込んで耳元で
何にも変えられない
どんな角度からも突き刺してしまう
永遠の青春さえ期待させる
これが私の好きなもののこと