三年後
突然時間が過ぎ去りました^_^;スイマセン
王都は大きく華やかだった。
見たことの無い者がたくさん並び、村とは比べ物にならないほどの人で混雑していた。その中でウェルザ学院は王都の中心にある大きく立派な建物だ。ただ、単なる学校がどうして都の中心にあるかと言えば元々王室が道楽で始めた学校であるため、王城と並立している為であったりする。故にすべてが豪華で美しく、茶色い物や灰色に慣れきってしまっている私にとっては毎日が眩しすぎてもう一つの目がつぶれてしまうかと思った程だ。まあ――最近ようやく慣れて来たんだけど。
それでも茶色がとても懐かしい。
ここに入ってから――あの悪夢の日から三年があっという間に経過していた。当然と言えば当然なのだけど。
落ちこぼれた……。泣きそうだ。
『当然ですわ』とコロコロ笑いーー酷いーーながらリュートが言っていたけれど――ああ。彼女もまた私より一つ遅れてこの学校に何でか通う様になっていた。こぼれ話だけれど裏口入学は多々ある。人の事は言えないけれど彼女の場合も――まぁいいか。
とにかく、ここに彼女が通う様になって知ったのだが彼女は隣国デリオロン総統――つまり最高権力者――の娘でありこの国――ウェルザ王国第一王子の婚約者であった。まぁ、どう考えても要人であるはずの姫様があれだけの規模であんな道を移動していたのは不思議で仕方ないが、本人曰く『目立ちたくなかったんだもの』らしい。
護衛を含め十分キラキラして目立っていたけれど。その感覚は不思議だ。
ともかく話は戻るけど落ちこぼれた。
悲しいことに私は今年二年生をもう一度する羽目になってしまった。一年は何とかいけたんだけどーー兄様の職員に対する脅しと毎夜毎夜一夜付けでーー二年はさすがに無理だった。教師が脅しに屈しなかったのもあるし、兄様が飛び級で六年まで飛んでしまったのもある。かなりな抵抗を見せたがダメだったようだ。そんな兄様は研修で近衛騎士団に引っ張られていった。どうやら近衛騎士団長ソルト様――最近ようやく知った――に気に入られてしまったらしい。
救いと言えばリュートと同じクラスになれたことだろうか。
ただでさえ農民――さすがにここで農奴とは言えないし教師からも止められている―の私には友達が出来なかった。少しは期待したんだけれど。周りはすべて貴族子女。悲しいことに平民さえももいない。最初、平民の上、片目の事もあって私をいじめの対象にしたようだが兄様はどんな権力を使ったのかそれも無くなりただ脅えの対象になってしまった。どちらも嫌だけど――相変わらず私は一人。兄様だけが無意味に絡んでくるけど楽しくない。だからリュートと同じクラスになった時は心底嬉しかった。
あの時から『友達』と言ってくれて笑い合ってくれるそんな存在がとても嬉しかったのだ。けれど――本日はリュートも里帰り中。後一か月は帰ってこないらしい。三日後にテストがあるので教えて欲しかったんだけど仕方がない。
「うう」
放課後誰もいない階段を私は小さな音を立てて歩いていた。口から洩れそうな泣き言を噛み締めて私は大きな扉の前に立った。木製の古びた扉。それはとても厳粛な雰囲気を醸し出している。
ただの図書館なんだけど王族も立ち入る為なのかもしれない。ときたま王様が来るとか来ないとか噂があるけれど私は未だその姿を目にしたことは無かった。
鈍い音がして重い扉が開くと明るい窓から差し込む光に無数の本棚が照らされていて何となくどこか違う世界に迷いこんだ錯覚に陥ってしまう。
「――ええと」
トンと近くにあった机に筆記用具を置くと私は天井にぶら下がっている案内板を頼りに本を探す。
ここには司書と言うものはいない。たくさんあり過ぎて把握出来ない為らしい。貸し出しは自己申告。それでいいかと思うのだけれどいいらしい。ついでに言えば奥にもう一つ図書館が分かれてあるが、そこは厳重管理がされて立ち入り貸し出しが制限されている。
当然私達学生には関係の無い本だった。
「んー。『セ』『セ』……」
ブツブツ。呟きながら私は本を見回す。欲しいのは『精霊書』だ。私にはよく分からないのだけど、この世界は精霊と言う存在に支えられているらしい。そう、らしい、だ。その姿を誰一人見たことも、感じられたこともなすのだから。唯一感じる、または見ることができるとされているのは国王を含めて――感じることができないものは即位することは出来ない――少数らしいが眉唾な気がする。なのでその学問に意味があるのか疑問だったけれど。
リュート曰く『ばかばかしい』だ。私もそれに同感だ。
そんな事を考えていると視界の隅に一つの机。なんてことの無いはずのそれに違和感を覚えて食い入るように眺め確認すると、そこには机をまるでベッドの様にして眠っている少年の姿があった。
ちなみに学院生のほとんどがお金を積んでます☆お貴族様なので(*ノωノ)
昇級もお金で買えるよ☆学院に入ること自体がステータス。
特待生や、有力者。実力者は一つのクラスに集められ、エリートコースまっしぐららしいです。
ついでに、リュートに兄様はライラのドレス買わせてます(-.-;)