交戦
また少なくてごめんなさい(;゜Д゜)
「そう言うわけにもいかないんだよねぇ。――俺たちが欲しいのはお前じゃないし。勿論連れていくよ。お前はお前で高く売れそうだ。子供だし、女だし、黒い髪と目は需要が高くてねぇ。……だが、後ろのガキはお前以上にお高ぇんだよ。おめーなんかよりもな。」
「――丁度良かったぜ。護衛もお前らが撒いてくれて一人ずつ簡単に倒せたし」
すらりと腰に下げている銀色の刀身を鞘から引き抜く。それを私の顎に押し当てた。
「く」
冷たい感覚。本能的な恐怖に思わず喉が鳴る。同時弾けるようにして叫んだのはローエルだった。
「ら、ライラに触んなっ!」
風が辺りを駆け抜けたと思うと、鈍い音と共に男が軽く押し退かせた。それはとても些細な出来事であったけれど、男たちを驚かすには十分だった。一瞬何が起こったのか理解できない様子でもう一人男は光景を茫然と見ていたが、その隙にローエルは私の腕を持って駆け出していた。
思わず落ちていた剣を拾う。義兄に剣の扱いを教えてもらって良かった。やはり大人向けの剣。鉄で出来ているそれはとても重いが、これだけで心が座る気がした。
まるでお守りようだ。
「あっ! ――ガキっ!」
「ローエル逃げろ!」
私は身を翻すとローエルをめいいっぱいに押した。両手で構える剣。ぐっと二人の男に視線を向ける。
逃げれるはずなんて無いのは分かっていた。所詮子供の足。私達の一歩は小さい。だけれど、やつらの一歩は私たちの倍だ。
なら、戦うしかない。ローエルを連れて来たのは私の責任なのだから。覚悟するようにしてぐっと唇を噛んだ。時間稼ぎぐらいなら出来るかもしれない。ローエルが逃げる間の。
「ライラ!」
「うるさい! 走って! 何とかするからっ」
「行かせるか!」
叫ぶ男たち。私はぐっと足を前にだし思いっきり目の前を薙いだ。風を斬る刃。それは物に触れることはない。だが男たちは少しだけ戸惑ったように足を止めた。ただ、すぐに表情は小馬鹿にしたような笑みを軽く浮かべたのだが。
子供。女一人どうにでもなる。
――きっとそう思っているのだろう。否定はしない。その通りだと私も思う。だけれど、なんとかするしかなかったのだ。私は眉を潜めて見せた。
「おいおい、んなもの女の子が持つもんじゃねぇよ。さ、こっちに!」
すらりともう一人の男が剣を抜いて構える。それを見ながら私は視界の隅、蜜色の髪がゆらりとしているのを確認した。
せっかく時間を稼いでいるのにまだいる。それが苛立たしくて内心な舌打ち一つ。
「来ないで! ……ローエル何故まだいるの! 早くっ」
「――でもっ!」
脅えたような声が返って来る。
「あははは。世話ないな――助けようとしてるガキは行かねえてっよ? いいからそれを寄越しな。悪いようにはしないからさ」
「ち!」
私はたんっと強く地面を蹴って男に切りかかる。がりっと鋼が掠れる音。簡単に弾かれると私はその身ごと後ろに飛び退いた。だが、休ませなどしない。もう一人の男をけん制しながら懐に入り込んで一閃。
だがそれも後ろに交わされる。とっさに切り込まれる刃。私は後ろに軽く跳ぶと体制を整えながら男を睨み付けていた。
軽く息を乱す男に対して私は息を乱すことは無かった。こういう時だけ義兄に感謝したいくなる。
「ち。ちょこまか、と……おい、ロード! こっちは俺が何とかすっからてめえはもう一匹をなんとかっ――ちっ」
「させない!」
私はローエルの元に行こうとしたが目の前に剣が通り過ぎるのを見て諦めざるを得なかった。
頭上から落ちる刃を剣で防ぐが私の腕は細く力ない。衝撃を受けた腕は痺れる様だった。そのまま『鍔迫り合い』に持ち込まれるがどう見ても男は手加減している。
圧倒的な力の差。私は奥歯をギリリと噛んで見せた。




