表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
蛙のお姫様【仮】  作者: stenn
二章
36/61

泣き虫少年

ヒロイン?登場ww

今回文章少なくてごめんなさいm(__)m

「――?」



 一瞬、脅えた様に木の葉が揺れる。微かに見える蜜色の髪。それはこの屋敷に居る犬の色と同じような気がした。



 大型犬で子供の私と同じくらいの体躯を持つ犬だったが優しくおとなしい。人に吠えたことなどほとんどない犬だった。さすがと言うべきか領主の犬だけあっていつも毛並みは整っていて、触り心地が良いので私はこの家に来るたびに犬に触っていた。



「シャーリイ?」



 ふかふかの毛。つぶらな瞳。そう言えば今日は見かけていないことを思い出しながら私は犬の名を呼ぶ。だが反応は無かった。



「あの駄犬何してるんだ?」



 義兄は不思議そうに呟いて首を傾げる。いつもなら読べはすぐに来る賢い犬なのだけれど犬では無いのだろうか。影から察するに私達とそう変わらない大きさなのだけれど。



「シャーリイ?」



 もう一度読んでから私はゆっくりと近づく。それはどこか怯えている様にも見えたからだ。脅かさないように。大して意味はない気がするが身をかがめて。



「し……」



 目に入って来たのは小さな足だった。黒い革靴、白いソックス。膝丈で詰められたベージュのパンツ。清潔そうな白いブラウスには襟もとで赤いタイが揺れている。



 それよりも何よりも――その鮮やかな赤い双眸が私を脅えた様に見つめていた。



「ごめんなさぁい!」



 開口一番少年は――可愛らしい顔の為少女にも見えるがおそらく――意味不明に謝って来た。大きな眼もとを潤ませながら。



 一瞬、何かの小動物だろうかと思ってしまう。私は謝られる意味も分からなくて目を瞬かせた。



「何が?」



「――というか、誰? この辺では味ない顔だし。領主の親戚か? いい服着てるし」



 ひん剥こうか。そう冗談交じりに言う義兄に少年は小さく身を強張らせた。今にも泣きそうで哀れに見える。見る限り私と同年代なのだけれど精神年齢はもう少し低いように思えた。



「ぼ、ぼくは……ローエルといいます。あっ、あの。おじさんちに遊びに来てて――たんけん、してたら……ま、迷子に――のぞくつもりはなくて……あの」



 ローエルは顔を真っ赤にしながら付け加えるように『ゴメンナサイ』ともう一度言う。多分『立ち聞きは最低の行為』とかなんとか教育されているのかもしれない。さすが貴族だと何となく思う。



「迷うのは仕方ない――です。この屋敷広すぎるんだ。あたしたちでも未だに知らないところいっぱいあるし――えっと、ローエル……様?」



 言いなれない敬語。舌を噛み切りそうになるのを必死に回避しながら私は何とか言葉を紡ぐ。ただそんな事を気にも留めずローエルは脅えた様に姿勢を正した。フルフルと長い睫が小刻みに揺れている。



 そんな彼に義兄は軽く頭に手を置き顔を覗き込む。その表情はどう見ても脅している様にしか見えない。口を歪め意地の悪い笑顔を見せている。



「……いくら出す?」



「ふえ?」



 意味が分からない。目をぱちぱちさせながらオーエンを少年は見つめた。それをはぎ取るようにして私は手を伸ばす。



「……こいつの言う事は聞かなくても――いい、です。癖のようなものだから。ホラ、手を――」



 いい加減面倒になって来た敬語に私はうんざりしていた。屋敷の者には『敬語必須』と言われているのだが最近いいんではないだろうか。などと勝手に思い始めている。第一義兄はとっくに敬語をやめて執事と話していたし。義兄曰く『ばれなければ何でもいい』のだそうだ。その為に執事を押さえてあるとカラカラ笑っていた。どこをどうしたのか知らないが恐ろしい人間だ。



 それにしても――遅い。取るべきなのか取らざるべきなのか思案しているのだろう。私の手、そして自身の手と見比べてはおどおどしていた。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ