00.プロローグ
前代未聞のハートフル坊主ストーリーのはじまりはじまり
2012.5.23、若干修正
妖、それは古の時代に人々の負の感情から生まれた異形。
妖、それは力ある者によって封じられしものたち。
妖、それは――
――人々の心が荒んだ時代において解き放たれた、災厄の名である。
これは、そんな妖を相手取り、荒んだ世の中を少しでも良いものにせんとする、一人の坊主の戦いの記録である!
我々が住むこの世界とは少しずつ異なる歴史を歩み続けた世界がいくつもある。
その中の一つの世界は、相次ぐ未曾有の大地震や超大型火山の噴火、異常気象などの災厄によって発展途上にあった世界中の文明はボロボロになった。
国々は混乱の渦に呑まれ、犯罪は増加の一途をたどり、さらにいつ訪れるともわからない災厄に人々は怯え、やがて世の中そのものが荒んでしまった。
その有様は、まさしく世紀末と言って差し支えないものであった。
やがて、奴等が現れた。
原因不明の事故や事件が多発し、目撃者たちは「何も無いのに、いきなり物が壊れた」という者も居れば「見たことも無い化け物が居た」という者もおり、同様の事件が多発、そしてその中には、どう考えても人間の手によるものではないような事件が数多く存在した。
それらの事件の犯人を特定するなど、文明がボロボロになった世界においては到底不可能であり、人々は怖れを込めて悪魔や魔物、物の怪の仕業だと噂するようになった。
そして事実、古来より存在する霊能者と呼ばれる不可思議な力を扱う者が事件を解決し、「奴等は人々の心が荒んだせいで現れたのだ」と言ったため、人々は半信半疑ながらも、一般人の中にも実際に異形の化け物を見たという者は居たため、納得せざるをえなかった。
この噂が広まるにつれて、物の怪などのこれら不可思議な存在の仕業だと思わせるような内容の人の手による事件も増加し、世の中はさらに荒んでいくという悪循環を繰り返していた。
そして彼、坊主の荒天僧正もそんな世の中を憂いた霊能者の一人だった。
180センチ以上ある身長に屈強な体躯を法衣に包み、きっちりと剃髪された頭はまさしく修行僧そのもの。
しかし何故か色眼鏡をしており、それだけが修行僧の格好としては不一致ではあるものの、何故か浮いた感じは一切無く、むしろ似合っているといっても良いほどだった。
「やはりこの国の霊害は他国に比べて多すぎる。手始めに世直しと平行して原因を探るとしよう……む、女将、ここは食材の持ち込みは可能か?」
「できるよ、当然持ち込みならいくらか安くしておくよ」
「ならこの魚を。それと酒を一杯頼む」
「……いいのかい?坊さんが魚や酒なんて」
「む、拙僧は好き嫌いなどせんぞ。こんな時代だ、当然であろう」
「そういうことを言ってるんじゃないんだけどねぇ……」
そんな彼は、肉や魚も食べれば酒も飲み、さらには女も抱くという生臭坊主――いわゆる破戒僧であった。
この物語は大学で友人がモンハン3rdをやっていたときに、荒天装備で頭だけシャドウアイ(イベントクエ、ぶっちゃけサングラス)、髪型は坊主で武器はロア=ルドラ、そんな状態で「アルティメット坊主キタ!」と笑い出したのがきっかけ。
何故かあふれ出してとまらないネタ、いっそこれで何か書いちゃおうかという思いつき、そして書いちゃえよという友人の勧め(悪魔の囁き)。
それら全てが合わさった結果がこんな感じ。
反省も後悔もしていない。ただ、どうしてこうなったとは思ってる。