メリーの旅行
今作品は東方project及び少女秘封録の二次創作です。
上記の作品を全く知らない方は固有名詞がわからないでしょうが、
それでも構わない方はどうぞ。
東方のみご存じの方は21世紀末の京都にすむ二人組のお話ですので、
「こんなキャラ居たんだぁ」
ぐらいで構いません。
この作品を期に気に行ってくれればうれしいです。
私、マエリベリー・ハーンは現世と幻想郷を隔てる結界のほつれ=境界を「視る」。そしてその向こうの世界を「旅行する」。
私の相棒には気味の悪い目なんて言われることもあるけど、彼女にだけは言われたくない。
彼女、宇佐見蓮子は星が伝える時間を「認識する」。そして月が伝える位置を「把握する」
さしずめ晴れた夜にだけ動く懐中時計&コンパス(ガイドとおしゃべり付き)といったところだろう。
私と蓮子は二人でサークルとして活動している。その名も「秘封倶楽部」。まぁ、非公式だけれどもね。
さすがに「結界を暴く」なんて言う非合法な活動内容を大っぴらにするわけにもいかないしねぇ。
これはそんな二人の日常の一ページ。
私がちょっぴり蓮子のことを不機嫌にしちゃった時のお話。
…。
……。
………。
メリーは気がつくと湖の湖畔に立っていた。
「あれ?ここは?」
たしか今日は彼女の家で秘封倶楽部の打ち合わせをしていた。それから彼女は学会の資料作りに参加するとかでいなくなってしまったのでクラスの飲み会に向かっていたところであった筈だ。
わたしはだいたい逢魔ヶ刻と言われているであろう時間に黄昏色の空を見上げながらゆっくりとあるいていた。待ち合わせの学校の裏門の陰に黒いなにかを見つけ、覗き込むと周りが湖畔へと変わっていたのである。
「どうやら境界を越えてしまったようね。」
ひとり嘆息。また蓮子に怒られるかしら等と考えながら周りを観察する。くらいのでよくわからないがここは来たことのある場所の様だった。広い湖、奥に見える洋風の館のシルエット。そして空に、
煌々と輝く深紅の満月 。
メリーは館へ足を向ける。せっかく“紅魔館”に来たのだからレミリア達に挨拶の一つぐらいしてからでもいいだろう。里への道もうろ覚えだしね。
…。
……。
………。
メリーが現代に帰ってきた時には日付が変わろうとしていた。
あぁ、クラスの飲み会を連絡もせずに抜けてしまった。モバイルを見ると西園寺さんや紺野さんから着信があった。申し訳なく思いながら、メールでお詫びの連絡を入れてから帰路に就いた。
帰り道。いきなりモバイルがバイブ音を響かせた。画面には「蓮子」と表示されている。
「もしもし」
「あ、繋がった。メリー今どこ?」
「家に向かってるところだけど、どうかしたの?」
「西園寺さんからね、メリーが行方不明だっていうメールが来てたのを見つけて」
なんと大げさな。
「なんでそんな話になってるのよ」
「いや、紺野さんがね。メリーを見かけたから声をかけようとしたらいきなりいなくなったってパニックになったらしくて。で、私のところに連絡がきたのよ、メリーがどこにいるかしらない?って」
あぁ、なるほど。あの時は結界をくぐったわけだから、他の人からみればまるで空間の裂け目にでも消えた様に見えたのかも知れない。パニックにもなるだろう。怪談がてんで駄目な紺野さんならなおのこと。涙目の彼女が目に浮かぶ。
「で、メリーは今度はどこに行ってきたの?」
そしてこの相棒にはお見通しってわけね。
「幻想郷に、ね」
「結界の裂け目に一人で入るのはやめてって言わなかったかしら?」
「あれは不慮の事故なの。アクシデント」
電話の向こうで大げさなまでに大きなため息が漏れたのがこっちにもわかった。そこまで呆れなくてもいいだろうに。ホントの事なんだから。
「明日、お土産話たっぷり聞かせてもらうわよ」
「ええ、もちろん」
今回は結局レミリアや咲夜、魔理沙と共に幻想郷を回った。
それはもうあちこちに。蓮子は驚くだろうな。今度はちゃんと「お土産」もあるのだから。それもたくさん。紅魔館のクッキーをお茶うけに、アリスの紅茶で一服しながらでも話そうかしら。霊夢から50円で買った新品の緑茶もいいかもしれない。
なんだか明日が楽しみで、今日の「旅行」の余韻に浸りたくて。今日は眠れそうにないわね。
ゆっくり余韻にひたりましょうか。まだまだ夜は永いのだから…。
Fin
どうも、紀璃人ともうします。
こちらは2011年の3月半ばぐらいに書いたものです。
というか正直このころはかなり砂糖分が抑えめなので読みやすいかとおもいます。(まぁ、幻想郷や秘封録を知らない人にとってはなんじゃこりゃ?っつう代物でしょうが。)
今後もこのようなSSを上げていきたいと思っています。
所謂東方二次創作(もどき)をご愛読いただければとおもいます。
ちょくちょく書いていきたいと思うので今回はここいらで失礼をば。