表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【第二部完結〜第三部へ】転生薄幸令嬢の奇妙な愛人契約――イケオジパトロンか富豪貴族か――えっ二股愛人ですと?  作者: 赤城ハルナ
【第二部】スキャンダル王ランベール・ギーズの憂鬱

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

22/22

第一回目謎契約終了――一体何だったのか

~~~~~~~~

★ようやく謎の契約が終了し、念願の自立が目前に。そこにあの伯爵様が……?

★前回のチンピラ回は人気がないことが分かりました^^;、もの凄く楽しんで書いたので残念です^^;

~~~~~~~~

 離れにポツンと取り残されて放置され、巡り巡ってまた晩秋。


 ランベール様からの手紙は契約最終日の十日ほど前、最後の手紙だけを残し、使用人を十人くらい引き連れたフリップさんが回収した。

 最後の手紙には、『長い間お疲れ様でした。最終日の正午、ウエスト邸正門から東寄りの沿道にてお待ちしております。住まいもご用意しております』とだけ書いてあった。


 終了日は早朝から屋敷の方があわただしかった。半年以上ぶりに高飛車メイドが現れ、バッタバッタと離れを片付けはじめた。


(久しぶり。アンタ今まで何してたの?)


 朝食後には石化執事さんがやって来た。


(この人、あと何カウントで砕け散るの?)


「アイラ嬢、一年間お疲れ様でございました。本日の午後当主様がお会いしますので、応接間でお待ち下さい」

 当主様――ヴェストル伯爵ジェシー・ウエスト(クズ)か。国外から帰って来たんだ、だから屋敷が大騒ぎなんだ。どんな奴か見てみたいけれど、正午にはランベール様が迎えに来るし……。


(今回だけは勘弁してやる!)


「ありがとう、ございます。迎えが、来ていますので、失礼、します」

「これまで当家の使用人が大変失礼をいたしました。謝罪は後ほどさせていただきますので……」

「はぃ……」


 謝罪してくれるんだ。

 わたしは執事さんから渡された契約終了の書類にサインし、正午前にはトランクを持って離れを後にした。


 だいたいこの契約自体が謎なんだよ。誰がこんなアホクズ契約を考えたんだよ――クズ伯爵か。


 石化執事さんからは雀の涙程度の謝罪金ボーナスをいただき、指輪も返しましたよ。こんなはした金で済む話ではないと思うけれど、これ以上面倒は起こしたくない。


(やっと自由を取り戻したわ!)


 これでわたしを監禁したクズ叔父とも、わたしをただの置物として利用したクズ伯爵とも、わたしを放置DVしたクズ使用人がいるウエスト邸とも、狂暴クズ令嬢とも永遠におサラバ!


 アイラに転生してから二度目の冬。今度こそ念願の自立をするのよ。そのためにお金を貯めて、一軒家を買おう。



∴ ∴ ∴

目標:一軒家!

∴ ∴ ∴





 約束通り、正午前にはランベール様が迎えに来てくれた。

 何と、二人乗りオープン、白馬の馬車! これからパーティーへ行くみたい。


 ス・テ・キ。


 しかも、いつもはラフなスタイルのランベール様、今日はピカピカのシルクハットで正装じゃないの?


 おおう、ますますス・テ・キ。


「アイラ嬢、乗ってください!」

「はい、ランベール様!」


 馬車に飛び乗った。

 ランベール様が、わたしの身体を支えてくれた。

 そしてかすみ草の花束を頂いた。


「一年ぶりですね、心配していましたがお元気そうで安心しました。さあこの監獄を出ましょう。あなたの住まいへご案内しますよ」


 もう二度とウエスト邸には関わらないし、サウス家にも戻らない。


「無事再会できましたね、アイラ嬢」

 わたしの両手を軽く握るランベール様。手袋越しの感触がくすぐったい。


 ずっとずっと、ランベール様に会いたかった。



【待ってくれ!】



(えっ?)


 走り出した馬車から振り返ったら、足の長い、黒っぽい何かが瞳に映った。


(誰?)


「振り返ってはいけません!」

「ハ、ハイ……」

 ランベール様がわたしの肩をキツく抱いた。

「ウォルティー、最速で逃げ切って!」

「はいよ、ギーズ卿」


 馬車は猛スピードで走り去った。





 オープンキャブでランベール様から伝えられたことは――。


「サウス家の叔父には、あなたはギーズ出版社で働くことになったと、そのうち伝えておきましょう。今知らせて連れ戻されたくはないでしょう?」

「も、もちろん! 何から何まで、ありがとう、ございます」


 サウス家になんて戻らない。

 マリオンさんとタンディーさんには会いたいけれど。


「ところで、ウエスト邸でのあなたへの扱いを不当だと訴えますか?」

「え? それは、考えても、いませんでした」

「訴えることもできるんですよ」

「う~ん、あの人たちとは、もう、会いたくないです。こりごり」

「分かりました、アイラ嬢の評判にも関わる問題ですからね。不満は残りますが、今回は不問としましょう」


 そして何と、アパートを借りることができたのです。住居費も出版社から支給されるんですって。

 キッチン兼居間と寝室とバストイレがある、清潔感のある1DKアパート。女性専用、女性大家さんと家政婦さんがいて、朝食の用意や洗濯もしてくれる。長期滞在ビジネスホテルみたい。


(念願の自立!)


 しかも、わたしの短編集が出版されていたのです。


 ランベール様、フリップさん、アーチーさん、女性店員さん、ありがとう。

 わたし――アイラ・サウス、十七歳。

 何とかこの世界で生き長らえました!





 朝ダラダラ起床すると、コンコンというノック音とともに家政婦さんが朝食を持ってくる。

 ベーコンエッグ・丸パン・各種ジャムとバター・ジュース・紅茶。

 朝食後、一年前まで通っていたティールームで執筆。


 ハイネックのブラウスに同色のアンダースカート、青いリボンを飾った比翼ボタンのアイボリーロングワンピースを上に重ね、足はハイソックスとペッタンコ靴。

 これがわたしの仕事着。

 最近視力が弱くなってきたので、仕事をするときは眼鏡もしているんだ。

 コートと帽子はランベール様に頂いた最高に暖か~い高級品。今は冬だからね。コレだけは『ザ・愛人』という感じ。


「アイラ嬢、久しぶりですね、今までどうしてました?」

「エヘヘ、長期旅行へ、行ってたの」

「ほぅ、うらやましいですねぇ」

 ティールームのマスターともすっかりお友だちになりましたよ。


 窓から外が見える最奥の席を独占契約したので、そこで一日中小説を書く。ときどきはギーズ出版社でイベント関係のお手伝い。家賃を払ってもらう代わりに臨時バイトくらいはしなくては。


 そろそろ『カナン・ノース』というペンネームで、出版界隈のパーティーへ出席してみようかな。仮面舞踏会へ行って、『わたし、ミリー・サウスって言うのぉ、ヨロシク!』って、悪女っぽく名乗るのもいいよね。


 ヲホホホホ。


 最近ランベール様からお洋服を頂くようになった。

 コルセットは自分で着用できる前ボタンのソフトなもの。ドレスはキャンディー色の可愛い系。二十五歳になる北橘ほっきつ佳奈にはチョット痛いけれど、儚げでお人形さんみたいなアイラ・サウスにはぴったりかも。


 胸のサイズが微妙に合わないんだけど?

 誰が揃えてくれたのかな?


 こうしてようやく、わたしの異世界生活が軌道に乗ったのであった。

 とても充実していて、何もかもが輝いていた。


 異世界で得たわたしの幸せ。





 それから五ヶ月近くたって……。


 いつものティールームで、お洒落した人たちが行きかう街路の様子を眺めていた矢先のこと。


「相席を許していただけますか、レディー?」


 ファッ、な、何か、スゲ~の来たよ!

~~~~~~~~

☞これで【第二部】は終わりです。次回から『【第三部】後悔と迷走のボッチ伯爵ジェシー・ウエスト』がはじまります。今まで空気以下だった(長いあいだスミマセン)謎の富豪貴族ジェシーの後悔・迷走・挽回ターンです。

☞第三部は来週から再開します。

~~~~~~~~

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ