助けを呼んだらそこにいる! ──風鈴マン
「た、助けて!」
怪人不良学生に襲われて、あたしは声を限りに叫んだ。
「あァ? 無駄だぜ、ねーちゃん。こんな辺鄙な工事現場になんか、誰が助けに来るもんか」
不良学生があたしを羽交い締めにする。
それ以上何をするわけでもなく、そのまま「へっへっへっ」と笑いながら、体を揺らす。
ちりーん……
いつの間にか、あたしたちの前に、タコ型火星人みたいなひとが立っていた。……いや、これ……ヒト?
「だっ……、誰だ、テメー!? どこから現れた!?」
不良学生がうろたえたので、腕から抜け出せるかと思ったけど、またがっちりと羽交い締めにされて、あたしはまた叫んだ。
「助けて! そこのタコみたいなひと!」
ちりーん……
風流だった。
そこであたしはようやく気がついた。
これ……タコみたいに見えるけど、風鈴だ。よく見ると金魚の絵が描いてある。
ちりーん……
風が吹いたら風流な音を鳴らす。
それだけだった。
そのひとは何も言わず、何もしなかった。
ちりーん……
あたしはその、心に染み入る音色に、聞き惚れた──
「消えろや!」
怪人不良学生のパンチ一発で、風鈴マンは爆発し、砕け散った。
あぁ……。これだから風流を解さない野蛮人は──
「じゃ、お疲れさまー」
怪人不良学生はあたしをあっさり解放すると、どこかへ去っていった。
なんだったんだろう、この闘い……




