23 BBQ大会
モンスターのお世話が終わった夕方。
冒険者さんたちを2層の改札口にごあんな~い。
結局、仕事終わりにバーベキュー。
「ここ、オススメの撮影スポットだよ!」
「今日の仕事は終わり。もう撮影OK」
これからやるバーベキュー大会に、ハムハムとぺんぺんくんたちだけ参加するのも不公平だもんね。だからといって他の子を連れて来るわけにもいかないし。
チーちゃんだけは僕の魔力を、調整してもらうのに必要だからいるんだけど。
キューちゃんも家から連れて来た。冷蔵庫の上から全然動かなかったので、今日お世話してもらうのは諦めたんだけど、4時間は長かったみたい。さすがに寂しくなったらしくて大人しく付いて来てくれた。
他のみんなには一旦3層に戻ってもらってから、ブースに集合してもらうよ。2層からも入れるようにしておくべきだったよねえ。
あとで改造しとこーっと。
あとで。
絶対にあとっ。
ダイジョブ、僕は覚えた。
ブースにはオヤツを出しておくから好きに食べてね。モンスターたちの目の前でBBQ大会も可哀想だしさ。今のうちに撮影会しちゃおうって思ったから、冒険者さんたちの晩ご飯はチョット待ってもらう感じになるけど。
「キューちゃんを生で見れるなんて感激」
「マジでレッサーパンダみたいなんだな」
「デッドリーベアがこんなにも可愛らしいとは」
そんな声が聞こえてくる。喜んでくれてるみたいだし、オッケーかな?
キューちゃんはほとんど家の中にいるから、あんまり動画には出ないしなあ。母さんと婆ちゃんにはキューちゃん離れしてもらわないといけないかも?
「キューちゃんもお世話されて、みんなと遊ぶのは大事」
「ええ……そうですね。私たちには反省が必要です」
「母さんも諦めて」
「くぬー……早くもみじちゃんと琥珀ちゃんを出してね? 太一」
それは約束できないヤツだからね? 母さん。
撮影大会も程よいタイミングで終わって、夜のバーベキュー大会の準備を始める僕たち。
そのときに冒険者さんたちから、相談があったんだ。
それは配信はしないのかっていうことだった。嬉しくて楽しいことは、みんなと共有したいんだって。婆ちゃんも楽しんでもらえるならいいよって言ってる。
母さんも配信に出たって気にしないしなあ。
「ンー、なにか問題とかある? レーナ姉ちゃん」
「強いて挙げるなら……太一くんのいない1層なら可」
「理由はお察ししてますー」
スマホ出す気軽さで、ダンジョンスマホを操作しちゃってるもんね……。
「あと注意するのは──自分たちの配信を見るくらいか?」
「見過ぎなければ問題ない」
「アイデアが出るかもしれないもんね!」
ぺんぺんくんやハムハムたちは激しく動くタイプじゃないから、冒険者さんたちならダイジョブだ。
「じゃあ明日からやっちゃう?」
「そうね。皆が問題ないのであれば」
いいそうです。
しかも最初から最後まで配信したっていいんだって。
特に気にすることもないって言われた。
「ええ……ずっと映ってるの、大変じゃないですか?」
「そもそもダンジョン配信で慣れてるヤツも多いしな」
「タフだー。僕は配信ってすぐに疲れちゃうからなあ」
「ここに来てるヤツらなら問題ないな。Cランク以上だしよ」
「じゃあ明日までに追尾カメラの設定しておくね」
追尾カメラの設定だけだからすぐにできるよ。だから家に帰ったらブースの入り口追加も一緒にやってしまおう。
「今からのバーベキュー大会も配信したいっすよ」
そんな風に1層組からお願いされてしまった。
「僕が緊張するからなしですー」
「さっきも言ったけど太一くんが秘密に慣れないとムリよ」
「だな。太一くんはダンジョンマスターのスキルを使ってたしよ」
「ええ。やめておいたほうがいいでしょう。私たちもうっかりしゃべらないようにしませんと」
「そう……アルバイト中止前の3人にも見られてた。改めて秘密を守ってもらえるよう頼んでおいたわ」
「あれぇっ!?」
「なので2層の配信とバーベキュー大会の配信はなしで決定」
ほなしゃーないかーってなった。
なんかゴメンね?
ちなみに3人とも、僕が赤ちゃんモンスター用のオヤツを出すためにダンジョンスマホを出して、ポチってる場面を見たそうです。
ポチるとニョキって宝箱が出るしね……。
そりゃあ分かっちゃうかあ。
スマホタイプにしたのが失敗だったのかもね?
「気を付けるっ」
「いざというときは私が守るわ。今回のことも私が離れてしまったのが判断ミス」
ゴ、ゴメンね?
レーナ姉ちゃん。
よ……よろしくお願いします。
「さ、皆さん。食事の準備をしましょう」
婆ちゃんの掛け声で、バーベキュー大会の準備が始まる。
野菜切ったり串に刺したり。
僕はカレーの温め係りに任命されたよ。
作ってすぐより、時間が経ったカレーのほうが美味しいということで、ウチのダンジョンに来たとき一番最初に作っておいたんだって。
じゃあ絶対美味しいヤツだ。
お肉やカレーの匂いが漂い始めたら、そこら中からお腹のなる音が聞こえてくる。
僕のお腹もなり始めた。
カレーの匂いは反則だよねえ?
僕、知ってるよ?
浮気するときはカレーの匂いはアウトって!
理由はよく分かんないけど。
あーっ! 気の早い人はビールを飲み始めてるじゃん。
じゃあ僕はおにぎりを片手にカレーを混ぜ混ぜしよっかな。焦がしたら台無しだから、丁寧に混ぜるよ。
「太一くん、おにぎりなんて食べたら肉が遠のくぜ?」
「ダイジョブです。燃費の悪い身体なのでっ!」
カレーもバーベキュー肉も、バッチリ食べる予定だもんね。冒険者さんには婆ちゃんの野菜をタップリ食べてもらう予定。
畑の拡張と収穫が間に合ってよかった。
これはダンジョンならでは、だね。
「ダンジョン野菜と、ダンジョンフルーツにビックリしてもらうんだー」
「そうね。とても美味しいもの。他ではなかなか食べられないわ。ゆえに私はイチゴ争奪戦に絶対勝つ」
「えー? レーナ姉ちゃん……今回は譲ってあげようよ……」
僕らの分は家の冷蔵庫に入ってるんだしさあ。
そんなバカなっ!?
っていう顔したってダメだよ?




