いつもと違う
「失礼しまーす」
明るい声で入って来たのは当然カケラだ。
「ダメですよ、カケラさん。今は棟万千の指導中なんですから」
理事長の孫だからか、カケラは生徒のみならず教師からも敬語だ。
学園内でため口で話すのは家族の理事長と棟万千くらいだ。「
「帰りが遅いと思ったらこんなところにいたんだね。早く帰ってテレビ見ようよ。今日は特番もあるんだしさ」
カケラは教師を無視して棟万千を連れて行こうとした。
扉の前に別の教師が立って塞いだ。
「どいてください」
「今は指導中です。外でお待ちください」
カケラはため息をつくとポケットからモバイルを取り出した。
アプリで映像を再生すると教師の声と棟万千の声が入っていた。
十秒ほど再生したあと停止した。
「おじい様や教育委員会に知られたくありませんよね?」
「で、でも、棟万千がいけないんですよ?。カンニングしたり、貴方を危険にさらしたりするから」
「私が危険にさらされているのは月満だからです。トウ君は一切関係ありません。それに彼のおかげで私は速やかに危険から逃げることが出来ます。彼のおかげで危険に怯えなくて良くなったんです」
「それは棟万千が計画・実行させているからです。貴方は騙されているのです」
「学業に加えて奇襲の計画を立てて実行かつ私に悟られないようにするんですか? かなり有能ですね。定期テストで毎回カンニングを疑ってる割に随分と評価をされますね」
「か、隠すこと得意なんでしょう、そいつのカンニング方法はいつもわかりませんし」
「まあ、今日は用事がありますのでお暇しますが、今後同じようなことが起こった場合相応の対応をしますので」
カケラが棟万千の手を引いて指導室を後にした。
扉が閉まりきる前に中から「さっさと辞めろよ」と聞こえた。
「それが出来たら苦労しねえよ」と思った。
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