7.~ウィル視点
「なぁ、ウィル。そろそろ体を鍛えないか?頭でっかちになるぞ?女性は概して包容力のある男性が好きだ。モヤシっ子は眼中にないんだなぁ。ある程度の筋力はほしいところだ。俺はなぁ、ウィルに騎士になって欲しいんだ」
「自分が騎士団長だからですか?」
‘コンラッド第3王子’は順当に出世をして騎士団長となった。
王子という事もあるけど、実力もかなりのもので、騎士団に敵う人間はいない。
「うーん、それもあるんだろうけど、騎士道ってやつを見につけてほしいな。卑怯なことはしてほしくないし。レディや子供を蔑むようなこともしてほしくない。欲を言うと、身分でどうこう言って欲しくないなぁ」
「普通じゃないですか?」
「まぁ、普通の事なんだけど、これがなかなかできないやつが多くてなぁ」
「??」
ずっとパン屋で生活をしてきて、女将さんが嫌いなタイプが騎士道に反するタイプだなぁ。これに該当すると、ものすごく怒られる。
「騎士道って騎士の時に反するとどうなるのですか?」
「何をしたかによるけど、まぁ騎士の身分剥奪とかかなぁ?これはかなりきついぞ。市井で噂になるからな。今まで巡回とかで顔見知りになったるから、身分剥奪が市井でかなり噂になるんだ。恐ろしい」
父さんは身を震わす。最強の父さんの身を震わせるのだからそうとうなのだろう。
「いいですよ。勉強ばかりで、体が鈍っていますし」
そう答えた俺の考えが甘かった―――
「新人!素振りを100回、腕立て100回、腹筋100回、背筋100回。終わったらグラウンド20周!始め!」
物凄い運動量だった…。騎士ってスゴイ。改めて父さんを尊敬してしまう。
「そこ!ヴィンセント!素振りの剣筋が乱れてる。気合いを入れろ!返事は?」
「はい」
「声が小さい!」
「ハイ!」
超体育会系だ。死んでしまう―――。
家に帰ると、もうそのまま寝台に倒れ込む。アンジーにかまう余裕もない。食事をする気力もない。むしろ吐きそう…。風呂?絶対無理。
そんなことも2カ月続くと、家に帰った後にアンジーにかまう余裕もでき(汗臭くてゴメンね)、食事もし、風呂に入るという生活が出来るようになる。
ふと自分の体を見ると、筋肉で引き締まったように思う。
1年くらいは続けようかな?
そう思っていたのに、気づけば5年近く騎士団に所属している。その間、夜会にも何回か出席したが、やはり筋肉で引き締まっている方が魅力的なのか?多くの女性に声をかけられた。
母さんは、「その瞳の色に寄ってきてるのよ」というけれど、円グラフだと‘体型40%以上’ありそうだ。瞳の色が王家の証と言うのはやはり令嬢を呼び寄せるものとなっているようだけど、瞳の色とは関係なく、‘俺’を見てくれる令嬢と婚約したいと俺は思う。
ウィルも悩めるお年頃になったのねぇ。satomi は感激です。