旅の始まりと新たな味
リーナの食堂が村で評判になり、毎日たくさんの人が訪れるようになった。ユウトの料理を食べる人たちの笑顔を見るのが、ユウトにとって一番の喜びだった。でも、ユウトの心には、まだ見ぬ食材や料理への好奇心がいつも渦巻いていた。
「リーナ、いつかこの世界の色々な場所に行って、色々な味を試してみたいんだ」
ある日、村に一人の旅の商人がやってきた。彼は様々な土地の珍しい食材や調味料を扱っていて、ユウトは目を輝かせた。見たことのない鮮やかな赤色の香辛料や、不思議な形の野菜。商人の話す遠い街の料理の話に、ユウトの夢は膨らんでいった。
リーナは少し寂しそうだったけれど、「ユウトのやりたいことを応援するよ。でも、たまには私の顔を見せに来てね」と、優しい笑顔でユウトの背中を押してくれた。
そして、ユウトの旅には、いつもそばにいてくれる大切な仲間がいた。森で出会った不思議な動物コロだ。賢いコロは、道案内をしてくれたり、危険を知らせてくれたりする、頼りになる相棒だ。
リュックサックに最小限の 調理道具と、リーナが作ってくれたおにぎりを詰め込み、ユウトはコロと一緒に、新たな味を求めて旅に出た。
最初に訪れたのは、キラキラと輝く湖のほとりの街だった。湖では、体が透明な美しい魚がたくさん獲れるという。新鮮なその魚をシンプルに調理してみると、口の中に広がる繊細な甘みがたまらない。
湖のほとりに生えている、珍しい海藻を使ったスープも、体の中からじんわりと温まる優しい味だった。ユウトは、これらの新しい食材との出会いに、料理のアイデアがどんどん湧いてくるのを感じた。
旅の途中、困っている人たちに出会うこともあった。冷たい雨に濡れて元気のない旅人に、温かいスープを振る舞ったり、重い荷物を運ぶのを手伝ってくれたお礼に、栄養満点のお弁当を作ってあげたり。
「あなたの料理は、本当に美味しいね。食べると元気になるよ」
感謝の言葉をもらうたびに、ユウトは、料理の力ってすごいな、と改めて感じた。そして、この旅に出て本当に良かったと思った。
ユウトの作る珍しい けれど美味しい料理の噂は、少しずつ、遠くの街にも広がり始めていた。