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作者: 御伽人

  『秋』


 17才の秋に君と出逢えた。前の彼氏ともそれなりに遊べたが、やはり恋がしたいなと思っていた。

 前の彼氏にも恋はあった。私はでも、すぐに退屈をした。

 別れ話をして、すぐに君と付き合った。友人たちにも相談してみても、恋は正直が一番だとと、言ってもらった。私もありがとうと言った。

「俺でいいの?」

「うん。彼氏とは未練が無くなったから」

「そっか」

そうして、秋の季節が巡って君に逢えた。今日から特別の季節だ。いつか別れる日がやってきたら、涙よりも強い感情を持つだろう。きっと、涙はひと時で終ってしまう。私はその想い出を刻み込む感情を持ちたい。永遠に消えない傷を。

 私は11月1日で結ばれた。付き合って一ヶ月だ。私は別に簡単に身体を許す事はないが、今回ばかりは特別だ。

 上手いな。そう思った。ものもいいもの持っているし。さぞかし女慣れはしているんだなと思った。ルックスも抜群だ。私が付き合った仲で一番いい。心も身体さえも。

 一応私は次の恋を考えている。でも、具体的に思い当たらない。

 秋が来れば思い出す。私はきっと誰かとどこかでくっつく時が再び来るだろう。

 でも、秋は私の最初の彼氏も秋でデートした。15才の時からずっと卒業するまで。その時に受験勉強もしていて、そうして、秋で紅葉を観に行った。この時も別れが近づいた。そして、赤と黄色に包まれてキスをした。誰も来ない夜を。身体を密着させた。ずっと忘れたくない。

でも、今は忘れてしまった。あの夜空以外は。

 そしてその公園で今の彼氏とキスをした。秋が深まる季節に。想い出の公園で。特別な人だから舌も入れた。甘い味がした。ずっとその香りに酔っていきたかった。

 何時からか、私は気持ちを離そうとと思った。とても、綺麗すぎる想い出程、残酷なものはないから。

 そして、秋は終った。来年も一日だけこの季節にデートをしようと言ってみた。答えは決まっていた。勉強し過ぎて疲れたときにデートをする訳でもない。ただ紅葉を見たいだけだ。私は秋の雨が物悲しそうに降って、いつかは、秋に生涯一緒にいられる「恋人」が欲しかった。何時までも離れない人を。

 高校最後の秋。一日だけデートをした。ホテルでしてから、夕暮れに最高の景色を目の当たりした。私はすぐに腕を組んだ。高校時代の舌を絡ませて、そして、難関大学に受験する彼氏は

「今までありがとう」

そう言ってくれた。私はこう言った。

「やっぱり泣いてしまうね」

それが最高の彼氏とのデートだから。恋人を代えるうちに、ずっと醒めていき、いずれは結婚した夫と来るだろう。この場所は私にとってかけがえのない場所だ。  

 一生、でも、こうやって想い出を重ねるから、いい事だと思った。あえて行かないようにはしない。また一生秋をここでキスするのだろう。そんな気がした。

 私は志望大学に進路が決まった。私はきっと、これからも友人と彼氏が出来て、そうして、生きていくのだろう。恋人以上の関係になるまで。

そして、高校を卒業した時、また一つ恋人は「火葬」されたものだなと思った。涙はもう枯れ果てたけど。楽しかったし、また一緒にどんなに愛されても、秋のこの場所にいられないなら意味がないから。記憶を刻んだ事は一切忘れないから。時が覚えている。最高の彼氏との切なる想いは。


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