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宛てもない旅。
適当に電車に乗り、乗り継いで。
全く知らない土地に来た。
「ここ涼しいね、全然違う。」
「るい、一緒に写真撮ろ。」
知らない土地は空気が澄んでいて気持ちがいい。
どの景色を切り取っても映える。
「海だー!」
二人でよく行った海とはまた違う景色。
青く澄んでいて綺麗だ。
「ひんやりしてるね、気持ち良すぎる。」
砂浜に寝転び、流れる雲を見る。
今までの思い出を話しながら波の音を聞くのは寂しくて穏やかだった。
「せーちゃん、姫と王子になれてたかな。」
「当たり前でしょ、なってるよ。そうだ、遺影でも撮ろうよ。」
砂浜にスマホを立てて、動画を撮影しておく。そして僕たちは海に入る。
るいをお姫様抱っこして、姫と王子の遺影を完成させる。
「動画スクショするんだね、頭いい。」
「頭良すぎるわー」
暗くなってからも戯れた。
最後の思い出だ。
「部屋にあった赤いロープ使う?離れちゃわないように身体結ぼうよ。」
「なんでそんなのあるんだよ、赤い糸じゃなくてロープなのね。」
苦戦しながら身体の周りをロープで囲い、縛る。
「最後のキスしよ!」
「まぁ、いいよ。」
本当にこれで終わりなのか。
本当にこれでいいのか。
でもこうするしかないんだ。
転ばないように海に入る。
足が地につかなくなったとき、るいは泣いた。
僕も泣いてしまった。
お互いの身体を抱きしめ合いながら、キスをしながら。
そのまま溺れた。
姫と王子になれてよかったよ。
「るい」
「せーちゃん」
これからもよろしくね。




