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4月。
ついに4月になった。
驚き。
今日はるいとお花見に行く。
「春だね。」
「春だねー、何なら少し暑いよ。」
桜並木を見ながら歩く。
どこでお花見をしよう。
「ここいいんじゃない?」
「そうだね。ここにしよう。」
桜の近くにレジャーシートを敷く。
もう少し離れたほうが見やすいだろうか。
「桜の匂いのハンドクリームとか、桜モチーフの雑貨とかいっぱいあって破産しそう。」
「多いよねそういうの。かわいいピンクだからるいにぴったりだよね。」
「そうなの、全部かわいいから全部欲しくなる。」
コンビニで買ったお弁当を食べながら桜を見る。
るいは花より弁当らしい。
桜餅と三色団子も買った。
おやつに食べるとしようか。
「部活やめようかと思っててさ。」
「そりゃなんで?」
「せーちゃん居ないから。陸上のマネにでもなろうかと。」
「なら私もやめようかな。」
部活していたらどうしても帰るのが遅くなる。
それにそろそろ大学受験の勉強もしないといけなくなる。
部活もやめどきかな。
「部活やめたら受験勉強するの?」
「え?せーちゃんと居るよ。」
「勉強しないと大学行けないよ。」
僕の将来の夢は別にない…
ないこともない。
社会福祉士になりたい。
大学いかないとなれない職。
るいは美容師になりたいらしい。
「るいも進学しないと美容師なれなくない?」
「分かってるよー、お母さんみたいなこと言わないでよ。お花見楽しも?」
お花見をしているとたまに新しいスーツを着た人を見かける。
新入社員かな。
僕たちも気付けば大人になっているんだろう。
「桜餅美味しい。葉っぱの塩っけ好きなんだよね。」
「分かる、美味しいよね。」
「三色団子も好き。」
和菓子もたまにはいいものだ。
あまり食べよう、とは思わない。
高いし。
でも食べてみると結構好きだったりする。
「見て、桜吹雪。」
「すごい綺麗。」
風が吹くと花びらがハラハラと散っていく。
寂しさもある。
それでも儚さが好きだ。
出会いと別れの季節、春。
今年はどんな人と出会うんだろう。




