16 文化祭
10月
暑さも落ち着き、過ごしやすくなってきた。
今の私たちは文化祭の準備に追われている。
多数決でメイドカフェをすることに決まった。
男性陣はいつも通り制服で接客をするらしい。
僕は…
るい、クラスメイトからメイド服を着ろとの命令が出たので従うしかない。
看板作り、衣装のカンパ、内装…
クラスは準備したくない人、準備したくないけどする人に別れている。
僕は後者だ。部活をサボる理由にしたい。
「せーちゃんのメイド姿楽しみだなー、一緒にお給仕しようね。」
「生足とか嫌だー!」
「ニーハイならいいでしょ。」
「嫌だよ。」
色々あったが文化祭当日を迎えた。
午前はお給仕して、午後は思う存分楽しむつもりだ。
着たくないメイド服を着て頑張ります。
「おかえりなさいませ、ご主人様。どうぞこちらの席へお座りください。ご注文が決まりましたらお呼びください。」
メニューはお絵かきオムライスとドリンク。注文を決めるも何もメニュー自体種類がない。
「すいませーん、オムライスとドリンクください。」
「かしこまりました。少々お待ちください。」
クオリティは決して高くはないが、それでも綺麗なオムライス。
作っている人すごい。
適当にドリンクを注ぎ、客に出す。
「せーちゃん、これは私が持っていくよ。」
「ありがとう。」
「おまたせしましたー!オムライスとドリンクです!」
「萌え萌えってやってくれるんですか?」
「やりますよ!それでは一緒に〜!萌えー萌えーキューン!」
完璧な笑顔に完璧なお絵かき。
本物のメイドになれるのではないだろうか。
るい、すごい。
終始バタバタな前半だった。
焼け焦げたオムライスもあったが、これも御愛嬌。
後半はるいと文化祭を楽しむ。
「お化け屋敷だってさ、行こ!」
「うん。」
作り込まれたお化け屋敷。
遊園地より怖いのではないだろうか。
破茶滅茶に叫びながら突っ走った。
「次はー、なにこれ。嫌いな人を破るだって。」
「なにそれ怖い。」
嫌いな人を思い浮かべながら新聞紙をビリビリに破くらしい。
これはいいストレス発散かもしれない。
え?嫌いな人は誰かって?
さぁ、誰でしょうか。
どの展示も面白いもので、時間の流れはすごく早かった。
毎日文化祭ならいいのに。