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電話

作者: 雅

幸せな日々は突然に終わりを告げる。

嫁を亡くした。

お腹には僕たちの息子がいた。

彼女はお腹の子の病院に向かっている途中だったと聞いた。

若者の居眠り運転の車との衝突事故だったそう。

死因は衝突によるもので、即死だったそうだ。

警察から連絡が来た時、信じられなかった。

彼女の遺体に会うまでわ…。

彼女の遺体を見た時膝から崩れ落ちた。

なんで…彼女と息子が死ななければいけなかったのか。

僕わその若者を殺してやろうと思った。

警察に情報を聞き、会いに行こうと思った。

病院を出るとそこにわ若者の親と妊娠中の彼女がいた。

どうやらその若者わ彼女が病弱らしく不妊治療などをしてやっとの思いで授かった子供のために、

寝ずに仕事をしていたらしい。

お金が必要だったそうだ。

僕はそんなの関係ないと言いたかった。

だけど目の前で泣きながら謝る彼らを見るとその言葉も引っ込んでしまった。


「僕の目の前から消えてくれ。」


精一杯の言葉だった。

彼女と息子の葬儀を終え、一緒に住むはずだった購入した広い一軒家に1人。

涙が溢れ出てきた…寂しい悲しい…

何で。何で。

そんなことばかり考える事しかできなかった。

若者の裁判の日。

僕は顔も見たく無かったが、どんなやつが彼女と息子を死に追いやったのか見てやろうと思った。

若者は泣きじゃくり「すいません、すいません」と…

そんな彼を見て、やるせない気持ちが溢れてきた。

彼もまた被害者なのか?そんな考えが頭に…

僕はこのやるせない気持ち、怒りを押し殺し彼に一言。


「君のために一緒に泣いて謝ってくれる人達のために生きなさい。」


家に帰宅した。

彼女の両親、僕の両親、友達が僕の心配をして沢山連絡してきてくれた。


「1人にしてほしい。」


それから色んなことを考えた。

彼女との思い出、これから産まれてくるはずだった子供の事。

彼女の荷物、子供の荷物を整理し

ひと段落し、疲れてソファーに腰掛けた。

全てが終わり、目を閉じた。


「今から行くよ」


電話が鳴った。

彼女からだ。

驚いた。

出てみると彼女のお母さんだった。


「携帯解約しようと思ったんだけど、なぜか貴方に電話しなきゃと思ったの。」


理由はどうであれ彼女が「生きて」と言っているのだと思った。

僕は現実と向き合う事に決めた。

それから数ヶ月が経ち

若者とは手紙でやりとりをしている。

もうすぐ子供が産まれるそうだ。

大事にして欲しいと思う。

またそれから日々が過ぎた。

僕の日課は彼女と息子の墓参りだ。


「そっちはどうだい?息子はもう五歳か?僕は元気だよ、新しい人とも順調だ。もうすぐ子供が生まれるんだ。」

そう彼女の契約が切れた電話番号に電話をかけて話すんだ。

「あの時はありがとう」って…。



大切な人との日々、一秒、一分大切に生きてください。

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