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前編

✳︎


かつて一つであった地に、昼と夜の王国が生まれし時、

神々の意志が二つに割れる世界を見守りぬ。

昼の王国は輝きを湛え、


昼の王国、太陽の恵みの地、豊かさを抱く。

夜の王国、月明かりの下、神秘と静寂が宿る。


昼は生命の躍動、果実は輝きを纏い、

空を舞う鳥の歌、風の運ぶ香りを奏でる。


夜は星々の煌めき、静寂は心を包み込み、

囁く夜の生物たち、風が奏でる夜の音色。


二つの国、昼と夜、相分かたれど共にあり。


✳︎


昼間の王国では、太陽はいつも高く輝き、その光は金色の麦畑を美しく照らし出していました。エルリックの一日は、太陽の眩しい光とともに始まりました。土を耕す彼の背後には、果てしなく広がる青い空と金色の麦が続いていました。


その眩い光の中で、鳥たちは歌い、虫たちは草の間で忙しく動き回っていました。甘い花の香りと新鮮な土の匂いが空気に混ざり、それは昼間の王国の典型的な香りとなっていました。遠くの山々は静寂と安らぎを保ち、永遠に変わることのない昼の景色を見守っていました。


短い夕暮れが終わり、新たな一日が昼間の王国に訪れると、エルリックは既に畑で働いていました。その土地は彼の家族が代々耕してきたもので、父から受け継いだ彼の責任でした。彼の日々は畑を耕し、作物を収穫し、家族を養うために絶えず働くことで過ぎていきました。


日が昇り、新たな一日が昼間の王国に訪れると、エルリックは既に畑で働いていました。その土地は彼の家族が代々耕してきたもので、父から受け継いだ彼の責任でした。彼の日々は畑を耕し、作物を収穫し、家族を養うために絶えず働くことで過ぎていきました。



ある時、エルリックのシャベルが何か硬いものに当たりました。心臓が高鳴る中、彼は土をかき分け、半分埋まった古代の石板を発見しました。エルリックは、太陽の下できらめくこの神秘的な石板がただの石ではないことをすぐに感じ取りました。


文字が刻まれているのが見て取れ、彼の心は急速に鼓動しました。古い文字でしたが、彼はそれを読むことができました。エルリックの父親が教えてくれた古代の文字でしたり彼の声が詩を唱えると、その周りの空気が震えました。


詩は、昼の王国と夜の王国、二つの世界について語っていました。


詩を唱え終えると、彼の足元が揺らぎ、突如として現れたのは地下へと続く階段でした。深みに誘うようなその階段は、詩に謳われた夜の王国へと続いていると思われました。


未知への冒険に胸踊らせたエルリックは、その先に進むことを決意します。


地下への探検に備えて、エルリックは信頼できる友人のマーティンを頼りました。マーティンは村で工房を営む人物で、エルリックをいつも知識と道具で助けてくれる頼もしい存在でした。


「マーティン、君の助けが必要なんだ。」エルリックはマーティンの工房を訪れ、地下通路の発見と探索計画を伝えました。


マーティンは驚きながらも、エルリックの大冒険を手助けすることを約束しました。昼の王国には暗い場所はありません。そのため、暗い場所に行くための道具を考えなくてはなりませんでした。

マーティンは工房での経験から、火には太陽に似た性質があることをよく知っていました。そこで、火を灯し続ければ灯りになることを考えつきました。

彼はその場で火を灯す道具、ランタンを作り始めました。火花が飛び散る中、ランタンは徐々に形を成していきました。


「これで闇も怖くないさ。」マーティンはランタンをエルリックに手渡しました。その暖かな光は、エルリックの心にも勇気を灯しました。


エルリックは手にしたランタンの明かりを頼りに、地下へと続く階段を一歩一歩降りていきました。彼の心は高鳴り、薄暗い階段の先に何が待っているのかを想像することで、さらに緊張感が増していきました。


彼が昼の王国で経験したことのない暗闇が広がり、静寂が耳をつんざく中、彼は勇気を振り絞り、前に進みました。ランタンの明かりが周囲の闇を探り、その光は彼の道を照らしました。だが、彼の心は未知への不安でいっぱいで、それは彼の胸を圧迫しました。


地下通路は彼にとって未知の世界でした。しかし、彼は勇敢にその世界に足を踏み入れ、夜の王国への道を探しました。


エルリックは深淵に向かって進み続けました。地下通路の空気は湿っていて冷たく、壁からは未知の生物の鳴き声が聞こえてきました。それは彼の心を揺さぶりましたが、彼は決して立ち止まることはありませんでした。


時折、彼は奇妙な形をした鉱石や、昼の王国では見ることのない種類の菌類を発見しました。しかし、彼の目的はそれらの発見ではなく、夜の王国を見つけ出すことでした。


探索を続けるうちに、彼の目は暗闇に慣れてきました。しかし、そんな中でも、ランタンの光は彼に希望と安心を与え続けました。


何時間も進んだ後、エルリックは遠くで微かな光を見つけました。それは青白く、震えるように光っていました。その光は彼の心に新たな期待感を生み出しました。これはもしかしたら、彼が探し求めていた夜の王国の入り口かもしれません。


エルリックは微かな青白い光に向かって進み続けました。地下通路が広がり、ランタンの光よりも強くなっていくその光は、彼の心に期待感を掻き立てました。


歩みを速めるエルリックの心は、未知の驚きと恐怖で高鳴りました。その光が何なのか、そしてその先に何があるのか。彼はその答えを知るために、一歩一歩と地下通路を進みました。


やがて、彼は光源に辿り着きました。それは大きな空洞の中央に浮かぶ巨大な結晶でした。その青白い結晶から放たれる光は、地下通路を幻想的な風景に変えていました。


エルリックはその美しさに息を飲みました。そして、結晶の光が示す先へと視線を移したとき、彼は驚きました。そこには、星々が空を覆いつくす壮大な風景が広がっていたのです。それは、まさに彼が求めていた夜の王国の入り口でした。


エルリックは躊躇なく夜の王国の門をくぐりました。その瞬間、彼の視界は一変しました。空には無数の星が輝き、月は静かに地上を照らしていました。地上は、彼が経験したことのない静けさと美しさに包まれていました。


その時、突然、柔らかな声が彼の耳に届きました。

「誰かが来たの?」というその声は、夜の静寂をやさしく切り裂きました。


エルリックは声の方向に目を向けました。彼の目の前に立っていたのは、美しい少女でした。彼女の髪は銀色で月光に煌めき、瞳は夜空を反映して輝いていました。彼女の美しさは、夜の王国の風景をさらに幻想的なものにしていました。


挿絵(By みてみん)


「私はリリアナ」彼女は穏やかな声で話し続けました。「君は?」


「私はエルリック。昼の王国から来た者だ。」エルリックは少女、リリアナに自己紹介しました。


「リリアナ、君の美しさはこの星々の輝きに匹敵する。」エルリックは心からの賞賛を込めて言いました。彼の目は、彼女の美しい顔を離れることはありませんでした。


リリアナは微笑みながら言いました。「エルリック、昼の王国から来たなんて信じられない。でも、あなたの姿はこの国の人とはまるで違うわ。私たちの国の人は、あなたのような力強く焦げた肌や太い腕を持ってなんていないもの。」



二人はお互いの国の違いと共通点、そしてそれぞれの生活について語り合いました。エルリックはリリアナに昼の王国の太陽と緑豊かな自然、そして絶えず活動している生命たちの様子を描き出しました。


一方、リリアナは夜の王国の星々が輝く空、静寂が広がる大地、そして神秘的な生物たちの生活をエルリックに伝えました。彼女の語る夜の王国は、エルリックが今まで知らなかった新たな世界でした。


「エルリック、君の話を聞くと、昼の王国もとても素晴らしいところだね。」リリアナは心からそう言いました。「いつか、私も昼の王国を訪れてみたいな。」


エルリックはリリアナの言葉に微笑みました。「それなら、いつでも歓迎するよ。」


エルリックはリリアナに向かって、心に重い石が転がるような表情で言いました。「リリアナ、僕はもう帰らなくてはならない。父や友達が心配してしまうからね。また夜の王国に来てもいいかい。また君に会いたいから。」


リリアナは少し驚いたように見えたが、すぐに深くうなずいた。「ええ、いつでも待っているわ、エルリック。でも、そのランタン、もう火が消えかけているわね。」


実際に、エルリックの手に握られていたランタンの炎はほとんど消えかかっていました。暗闇の中を進むことは危険で、彼は困ってしまいました。


それを見たリリアナは、手を伸ばして小さな箱を彼に渡します。「これ、私からの贈り物。」


箱から現れた宝石からは美しい光が放たれ、周囲を照らし出しました。その光はランタンの炎とは違い、静かで柔らかな光り輝き、昼の王国に帰る道を照らすだけでなく、エルリックの心まで明るく照らすのでした。


リリアナは静かに言います。

「これは、私たち夜の王国の秘宝。君との絆の証として、そして君がいつでも夜の王国を思い出せるように。」エルリックは大切そうに宝石を握りしめた。


エルリックはリリアナからもらった夜の王国の宝石を手に、昼の王国へと戻りました。宝石は深い青色で、中には無数の星々が輝いているように見えました。エルリックはその宝石をとても大事にしました。それは彼にとって、リリアナと夜の王国の思い出の証だったからです。

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