女神のワガママ
すいません。
先に本編やっちゃいました。
文字数最近多かったのでライト感じで今日は投稿します。
投稿して二時間後にやっぱり加筆しました 笑
1
ウェンリーゼ領主邸、《暴風》による余波後
「うぉおおおおおお、なんでだー!どうしてみんな俺を置いていった」
アルパインは泣きながら叫ぶ。しかし、薬の効果でいまだに身体の自由は効かない。
アルパインは、赤ん坊のようにハイハイしながらも皆の元へと進む。
二メートル近くのユーズレスやベンに並ぶ巨漢のハイハイは、迫力満点だ。
「あなた、そんな身体でいっても皆さんの足手まといになるだけです」
メイド長はおっきい赤ちゃんを叱りつける。
「ふざけるなぁァァァァァァアア、俺をウェンリーゼ中の笑い者にする気かぁぁぁ」
ハイハイは、止まらないがあまり進まない。ランベルトの【郷土料理】はまあまあに効いたようだ。
「ああぁぁ、もうそんな大きな声出さないでぇ、うえぇぇぇ」
メイド長は吐き気を催す。
「なんだ!こんな時に限って二日酔いか!ふざけるなぁぁ、ぶっふぅぅぅぅぅ」
バシィ
ラザアのビンタがおっきい赤ちゃんに直撃する。
「女が吐き気をするなんて、赤ん坊がいる以外にないでしょうがぁぁ、本当に頭まで脳筋なんだから」
「あっ…赤ん坊だとぉぉ、ほっ本当か、お前そんなこと一言も…」
アルパインのハイハイが止まった。おっきい赤ちゃん、メイド長おめでとう。
「あなたにいったら、きっと赤ん坊に卑怯もの父親と言わせる気かぁ、なんて誰もあなたを止められないでしょう。皆さんには私から頼んだんです。この坊やを父親の顔も知らないままなんて…」
メイド長は、このウェンリーゼで一番強い女性だ。母は強しとはよく聞くが、この強き女性にも不安はあったのだろう。
「たっ…大変だ!」
「ずっと大変だったのは、メイド長よ!伯父様の鈍感、【ニブチン】」
「違うんだ…その…【ビックリ】し過ぎてオシッコ、チビっちまった」
二人のお腹の赤ん坊も【ビックリ】だ。
どうやら、ランベルトの【郷土料理】がまあまあに効きすぎたようだ。
 
2
「アルパイン伯父様、大丈夫よ!みんなウェンリーゼが誇る最強のおじ様達なのよ」
『………』
「クロオジ様は、誰よりも喧嘩っぱやい最強の不良よ」
『………』
「シロオジ様は、影が薄いけど一回も私のイタズラに引っ掛かったことがない【忍者】みたいな人よ」
『………』
「ジョーオジ様は、的当ての名人で狙った獲物は外さない百発百中よ!女癖も悪いけど」
『………』
「ベンおじいちゃんは、岩よりも硬い〖拳骨〗はシーランドもタンコブよ!最近物忘れが多くて私のことお母様とよく間違えるけど」
『………』
「レツオジ様は、ハンマー打撃は熱かったり、寒かったり、シーランドも火傷にカチコチよ」
ラザアが早口になっていく。
『………』
ユーズレスはラザアの心拍数の上昇を感知する。
「スイオジ様は、こーんな大きな魚をいつも釣ってくるんだから、シーランドの一本釣りよ」
ラザアの目に水分が溜まってきた。
『………』
ユーズレスはエメラルド色の瞳が光っている。
「ヒョウオジ様は、いつも無口だけど怒ると狼みたいに怖いんだから…」
『………』
ユーズレスはただ記録する。ラザアの涙を…
「ランベルトは、いつも変な料理ばかり作ってる変わり者だけど…だけど…すっごく頭が切れるのよ、シーランドを倒す作戦だってきっと、百個位あるんだから…」
ラザアは嗚咽する。とうとう膝をつき、窓から見える月を見る。ユーズレスに話しかけるがユーズレスの顔は見ない。
「お父様には…あの伝説の暴れ猪〖カブトアカ〗を倒した魔法の杖が…あるんだから…お…お父様は、…世界で一番の私のお父様は……私は…私は平気よ…これっぽっちも心配してないわ」
月の女神は本当にボールマンのことが大好きなようだ。
「アーモンドは………………………アーモンドは……帰ってくるよね…」
ユーズレスはエメラルド色の瞳を一回点滅させた。
「………何で、何で、行っちゃったのよ…」
本当にワガママな女神様だ。
「本当は、行って欲しくなかった…そばにいてっていいたかったのに」
そして、あまのじゃくな可愛い女神だ。
アーモンドよ、女神を泣かせた罪は重い。
「…………ユーズ、私、私、もう一度でもいい…みんなに会いたいよぅ…」
『………』
ユーズレスは、月を見上げる。ユーズレスはエメラルド色の瞳を絶え間無く点滅させる。
この機械人形はきっと月に願っている。どうかこの空に雨を降らせないで欲しいと、このウェンリーゼの女神を…すべてを癒せる月のような輝きが欲しい。この女神の笑顔を曇らせる全てを引き受けてもかまわないと。
ユーズレスは瞳を閉じる。そして、ボールマンを助けにいきたいと…
『マザー・インテグラ(始まりの機械人形)より、信号を受信しました』
補助電脳が信号を受信する。どうやらこの機械の願いを、月の女神達はお訊きになったようだ。
 
古来より、女性はワガママな生き物であるというが、それはきっと間違っている。何故なら、すべての女神達は生まれた時から、ワガママをいう権利を持っているのだから…
魔道機械人形ユーズレス、この紳士は数千年前から女性の願いを叶えなかったことは、一度もない。
 
神々は思う。この神々は神話の時代より、女神達のワガママに付き合ってきた。神とはいえ、うんざりする日がなかった訳ではない。しかし、そのワガママを不快に思ったことは一度もない。
確か古代語でこういった言葉があった。
【しゃらくせぇ】と…
ユーズレスはブルーの瞳を一回点滅させた。
 
 
今日も読んで頂きありがとうございます。
うーん。
文字数少なくして、ちょこちょこ更新する方がいいのか悩みどころですよね。
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