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閑話 暗夜行路

姫君対決はどちらに軍配が挙がるか!

読者数増えたら人気投票とかやりたいですよね。

まあ、原案者様と作者しか読者いないんだけどね(笑)


皆さん今日も良い夢を


残酷な描写あります。

みんなの楽しかった記憶


「なかなかに難しいものだなこの【習字】というものは」

アーモンドは、手を墨で汚しながら不恰好な字を見ていう。

「インクで書く万年筆と違って筆が柔らかいのでコツが入りますね」

その割には、リーセルスの字は綺麗だ。

「あー、なんだか私も得意では無いのですが、よく見る、構える、おろす、が大事だそうですわ」

姫君は【ドヤ顔】だが、如何せん一番不恰好な字を書く。

「いったいどこの田舎剣術だ!」

「姫君の特徴的な字の理由が分かった気がしますね」

「まぁ、これはとある高貴なる御方がいっていたから、間違いありませんわ!これを極めればどんな強敵でも落とせると!」

姫君の瞳はその〖とある高貴なる御方〗を信じきっている。いったいどこのどいつなのだろうかと、アーモンドは、言葉が出ない。

「………」

「とりあえず、【習字】のコツではなさそうですね」

「二人とも酷いのです!これが噂の【ハラスメント】というやつなのです!今に見ていなさいきっとこの奥義を極めて、今日こそ私に惚れるのです。ニャース(こんにゃろめ)!」

姫君は、部屋を走り回り始めた。

文壇に足を引っ掛けて、墨を撒き散らし白猫が黒猫になる。

本当にニャースだ。


それから暫くニャースだったが、アーモンドが姫君のお土産に買ってきた最近王都で流行りの【万華鏡】を渡したら、ニャースはマタタビを貰ったかのように機嫌を治した。


万華鏡のように代わる代わると楽しかった三週間は終わりを告げようとしていた。








姫君が、ゆっくりと瞳をあける。

蒼い瞳は元の紅に戻っていた。

「姫、姫!良かった…私が分かるか、アーモンドだ、大丈夫だ傷は浅い」

リーセルスは長文詠唱を止める。

リーセルスは立つこともままならない。だが、二人の最後の時間を邪魔するわけにはいかない。リーセルスは、気力を振り絞り三歩下がりながら、アーモンドに耳打ちする。

「長くは…ございません。後悔なきように」

その表情は涼しげだが、奥歯から口の中には血の味がする。

アーモンドは、臣下の言葉に一瞬だけ顔を伏せた。

「リーセルス様、だいぶ楽になりました。【ワンチャン】頂いてありがとうございます」

「姫、何を弱気なことを…」

言葉とは裏腹に、アーモンドの手は姫君の傷からの出血でいっぱいだ。

「アーモンド様、ダメですよ。こんなときまで【狼少年(嘘つき坊や)】でいちゃあ、ふふふ…相変わらず可愛らし御方。リーセルス様、これからもアーモンド様のことをよろしくお願いいたしますね」

姫君は、精一杯の笑顔だ。


「あなた様の神に誓って」

リーセルスは生まれて初めて神を信仰した。

柔らかいとても優しい笑顔だ。


姫君も柔らかく微笑む。

「お二人とも、直ぐにここからお逃げくださいまして、グリドニアと百牙獣国はこれから二つに割れます」


姫君の視た未来は、舟の錨のように重いものだった。











2

「やっぱり、不憫な御方どうしてそういつもいつも不幸な道を選ぶのでしょう」

姫君はアーモンドの癖ッ毛の銀髪を撫でながらいう。猫ッ毛のようなその銀髪を姫君はとても居心地が良さそうに、まるで自分の巣のように撫でる。

「さぁ、なんでだろうな」

アーモンドの決意は固いようだ。

「お許しに…くださいまして、アーモンド様こうなることは分かっていたのです。婚約の話が出たときに、お断りすることも出来ましたが、どうしても最後に…お逢いしとうございまし…た」

姫君は泣いている傷の痛みからではなく、アーモンドに対する申し訳なさだ。

「何をいう…私は自分の意思でここに来た。姫君、ずっと君には言わなくてはいけなかったことが…」

アーモンドは、何気に容赦ない。彼に悪気はないのだろう。

「お好きなのでしょう、ラザア様のことが」

「なっなぜそれを…」

アーモンドは、リーセルスを睨む。


ブンブンブンブン


リーセルスは、高速で首を振る。完全に濡れ衣だ。

「パーシャルデントは、部分的ですが未来や今を映すのです。私は常にアーモンド様の事ばかり視ておりましたから私は神々公認のアーモンド様専用【ストーカー】なのです」

死に際になり姫君は、調子が出てきたようだ。

「それに私の好きはちょっと違うっていうかなんていうんでしょうね、これみたいな感じ…ですか」

姫君は、魔猿に噛まれて壊れてしまった万華鏡を出す。万華鏡は、血だらけだ。自身のご主人を守ろうとしたのだろう。せめて二人の最後の時間を守ろうと…

「アーモンド様は、これみたいにキラキラしてるのです。さぁ、そのキラキラした体を魅せてくださいまして」

姫君はおねだりした。結構【ガチ】だ。


「ふっふははは、…そういうのをたしか【キモッ】というのだぞ」

アーモンドの古代魔法は

「ご安心ください、もうすでに内臓ボロボロですから」

またもや不発に終わった。


「「ハハハハハハ…」」

姫君の声は少しずつ小さくなっていく。

温かい時間だ。

時が止まればいいのに

時の女神は、少しでも姫君の想いが届くように、雨が降りそうな空と風の時を止めた。これくらいならイタズラの範囲だ。


「アーモンド様、もう誰かのためにばかりではなく、そろそろ御自分のために、あなた様が愛する人達の為に生きて下さい。

それだけが、私の心残りです


あぁ、そろそろ、お別れ…みたいで…す」

瞳の色が少しずつ失われていく。


「何をいう、まだだ!まだまだまだ、いくな!」

時の女神でも生命の時を止める術はない。


「す…みま…せん、約束守れなく…て、【三種の神器】良かっ……あなたのために …ずっと、いの…」

だんだんと声はか細くなっていく。


「ずっ…と、一緒に、いるって…や…く…そ」

アーモンドは、精一杯の声を聞くことしか出来ない。


「【や…た………リスト】…の…ぜん、 ドラゴン退治は、一緒に いけ…そ…う………い…」

姫君は、何かを思い出しているようだ。

アーモンドは、姫君の瞳を見つめるが涙でよく見えていない。見えていないがこの光景を瞼に焼き付ける。


姫君はニコリと笑い、呼吸を整える。

「さぁ、アーモンド様!

私に惚れてもよろしくってよ…ご………ま」

万華鏡()が姫君の手からこぼれ落ちる。


姫君は最愛の人に想いを告げた。








アーモンドは願った、あの万華鏡のようにキラキラした、ありふれた時間をただ取り戻したいと願った。


万華鏡が回る、キラキラと回る


パーシャルデントから見ていた神々でさえ万華鏡を戻すことは出来なかった。




アーモンドは眼を紅くし、冷たくなった姫君を抱きしめ少しでも温めながら泣く。



「アーモンド様!」

リーセルスが叫ぶ!

魔猿だ!先ほどの魔猿が血の匂いに釣られて帰ってきたのだ。興奮した状態でアーモンドの右肩に噛みつく。

アーモンドは、微動だにしない。

魔猿は嗤う、血をすすり嗤う。

アーモンドは、姫君からゆっくりと視線を外し、魔猿を見る。

その表情は、虚ろだ。


「《騎霧(キモ)》」

魔猿は嗤う、血をすすりわら…魔猿は口から血を吐き出した。魔猿の内臓が破裂する。

アーモンドの口からも、血が流れる。アーモンドは、様々なことを()()した。








「これが、これが痛み(憎しみ)か…」

アーモンドは、叫ぶ(呪う)

その深紅の瞳からは、血が流れているようだ。






グルドニア歴505年、奇しくも建国王アートレイ・グルドニアが国を作ったとされる日を、人々(獣人)は忘れてしまっていた。


そして、怪物(アートレイ)を起こしてしまったのだ。


かつての大陸の覇者の血を…


眠っていれば大人しい〖銀の豚〗を…

幾万人の血を欲する〖銀狼(狼少年)〗を目覚めさせてしまった…


傷付いた身体を癒す間もなく〖銀狼〗の覇道が始まろうとしている。



パーシャルデントから地上の二人を視ていた時の女神は、目が涙で溢れている。

涙に濡れた女神には、二人がまるで水面に揺れる難破船のように、ユラユラと揺れているようにみえた。


神々は願う。

拠り所を失った、手探りで進もうとしている、狼にせめて岸へ導ける灯りを灯したいと


きっと、〖大神(オオカミ)〗もそのくらいであればお見逃し下さるであろうと…






3は蛇足でしたかね?

誰も死なない、誰も不幸にならない

それが素晴らしい作品と聞いたことがありますが、作者にはそういう作品は無理そうですね。

次回は、本編に戻りますね。

そのうち原案者特典の「銀狼の宴」やる予定です。

作者の励みや創作意欲向上になりますので、よろしかったらブックマーク、いいね、評価して頂ければ幸いです。

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