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ペシミスト

アーモンドの回想から、避難誘導になります。


若干切れが悪いですね。

オッサンに女心は分からん


アーモンドの記憶



「げっふ、ゴホゴホ……タバコとはこんなに苦いものなのですね」

アーモンドは咳き込む。顔の表情も口の中も苦そうだ。


「だから、いったでしょう。あまりオススメはしませんよと、嗜好品ではありますが、私も味を楽しんでいる訳ではありませんので。むしろ料理人からしたら臭いの関係と舌の刺激が強すぎるので、貴族御用の料理店では禁止しているぐらいですから」

ランベルトの、吸い方はアーモンドと違いこなれたものだ。

「なに故に、ランベルト中将閣下はこのようなものを……」

「……さぁ、なんででしょうね」

ランベルトは、アーモンドに大人の嗜好品を教えている。

「三男坊君は、博打は打ちますか」

「私は、父がああいったせいかそっちはあまり」

アーモンドは、苦い顔をする。

「あぁ、嫌みで言った訳ではありません」

ランベルトはタバコを吹かす。

「私の知り合いで、相当の博打打ちがいるのですが、その方がよくタバコを吸っていたのです。まぁ、子供が出来てからはめっきり止めましたが、最初は嫌味のつもりだったのですが……今では【ゲン担ぎ】のようなものですかね」

「中将閣下も神に祈るのですか」

「まぁ、遠からず近からずですが」

ランベルトは、タバコを見つめる。

その箱は、宜しかったから差し上げます。落ち着かないときの【服用】をオススメしますよ」

ランベルトは、その場を立ち去ろうとする。

「タバコの味が分かる大人になりなさい、そうすれば面白い縁が築けるかもしれませんよ」

「ご助言感謝致します」

アーモンドは、軍人の礼をとる。


軍部への紹介前にアーモンドへ、ランベルトからの餞別であった。





2

「よし、これで全員避難完了したな」

アーモンドは、落ち着いている。

「あと名簿の【ダブルチェック】は、部下達に任せましょう」

リーセルスはいつも通り冷静だ。

「それにしてもまさか万単位の人を収容できるシェルターが地下にあったとは、住んでいる私でも知らなかったぞ」

「おまけに、避難してきた領民がストレスにならないように、地下での【テント】設営に、敷居の確保や、【人工疑似太陽】に夜は、数時間の【プラネタリウム】、【図書館】数えればキリがない設備です」

「とてもじゃないが避難民の扱いではないな」

「領民達の【避難訓練】にしてもそうですね、これ程の規模の誘導がこうもすんなりできるとは、元帥閣下はよほど五十年前の災害が堪えたのでしょうね。

普通は、この規模の避難は、暴動や盗み等起きますから。いつなにが来てもいいように自分自身ばかりではなく、家臣や領民にまで浸透できるなんて方は、王族でもなかなか居ませんからね、すみません口が滑りました」

リーセルスは非常時でも、口が減らない非常に冷静だ。

「いや、今回の件はいい教訓だ。剣や魔法の腕ばかりでは守れるものも守れないのだと、方々には身に染みて教えられたよ」

アーモンドは、冷静に努めている。

「リーセルスここはいい土地だな」

「今さらですか」

「何としても守らなくては」

「……ええ」

リーセルスはこの後、どのようにしてアーモンド達を王都まで避難させるか頭を働かせる。


後ろからユーズレスがアーモンド達に近づく。

「どうかしたかユーズ、ラザアは一緒じゃないのか?」

『……………………』

ユーズレスはアーモンドを見てエメラルド色の瞳を四回点滅させる。

「そういえば、まだラザア様が【地下シェルター】に避難していませんね」

ユーズレスはエメラルド色の瞳を一回点滅した。

ユーズレスがアーモンドを見つめる。


「ついてこいといってるのか?」






唄が聴こえる。

悲しそうな歌声がウェンリーゼに響く。


「綺麗な歌声だ、月の女神かと思ったよ」

アーモンドは、自室の窓からうっすら出てきた月を見上げているラザアに声をかける。

「馬車引きの唄よ、小さい時はよくお母様が唄ってくれていたみたい、私が小さい時だから覚えてはいないんだけど」

ラザアは、お腹を撫でながら物思いにふける

「もう、十年近く君と一緒にいるのに初めて聴いたよ」

「もう、そんなに経つのね。あの時は子爵の娘だった無礼を働いたところに、皇太子殿下を蹴ってまで来るなんて貴方は本当に変わってるわね」

「果物に負けたままじゃあ、私の名誉に関わるのさ」

「王族としての……」

「いや、ウェンリーゼの男としてさ」

アーモンドは、ラザアの涙の痕を見ないようにした。泣いてる顔もラザアは綺麗でアーモンドは、目を合わせられない。

「この地は、ウェンリーゼはね。今じゃあ、人工魔石や技術者の育成に力を入れて豊かになったけど、私が生まれる前は本当に酷い場所だったんだって……ううん、きっと私が小さい頃もまだ魔石工場は二機だけだったし、周りのみんなが何も無いように振る舞っていたんだと思う。そんな時に私は呑気に、砂遊びやら魚取り、みんなの仕事の邪魔ばっかりして……貴方砂遊びした時ある」

「あまり記憶に無いが、飼っていた白猫と服を泥だらけにして、侍女たちが呆れていたよ」

アーモンドは、〖猫啼のブーツ〗に目をやる。そのその瞳は柔らかい。


「海辺の砂場でね、よくお城を作ったんだ。 一生懸命作るんだけど、次の日には波にさらわれて失くなっちゃうの、よく泣いてるのをメイド長とユーズが慰めて一緒にまた作ってくれたっけ」

『………………』

ユーズレスはエメラルド色の瞳を一回点滅させる。

「今回だってそう、この五十年間私が生まれる前から、みんなが必死で頑張ってきたのに、それなのにまた、私達がなにをしたっていうのよ!御父様をみんなを……」

アーモンドは、ラザアの肩に手をあてそっと寄り添う。

「………………」

『………………』

アーモンドとユーズレスはかける言葉が見つからない。

ラザアは、泣きながらアーモンドの顔を見上げていう。

「作ったら壊して、壊したら作って!これじゃあまるで、神様が砂遊びしているみたいじゃないの」


アーモンドは、極めて不謹慎であるがラザアに胸をときめかせた。

もし月の女神がいたらラザア泣き顔は、神々が嫉妬する位に綺麗だった。

アーモンドは、そのブロンドの髪を優しく撫でる。髪飾りの青い花が落ちる。

今にも壊れて消えてしまいそうだ。


今夜、二人の月の女神達は、ウェンリーゼのために泣いているようだ。


エミリアの逝ってしまったあの日以来、ユーズレスは久しぶりにラザアの泣き顔(本気のワガママ)を記録した。


リーセルスの悩みのタネがまた一つこれから起こる不幸を進んで背負い込もうとしている。


しかしそれは仕方がないことだ。アーモンドにとって本当の不幸(白猫との約束)は、自分のために生きれないことなのだから。


夜が過ぎ、彼の姫君が月と共に消えてしまわぬように


彼はいつも通りの(ヘルモード)を選択した。


砂遊びって大人になったらなかなかしませんよね


小休止続いたのでそろそろラザアにメインヒロインらしいことしないと、猫姫様に食われちゃうぜ。


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