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閑話休題 魔界大帝

短いです。

おつまみ感覚でどうぞ。



1

それは本当に偶然だったのだろう。


ひとりの悪魔が眩しいものを見た。闇しかない魔界で純粋に知覚することができる灯り。希望の光とでもいうのだろうか。それは自然と出た所作であった。悪魔は右手を左胸に当てて、膝をつき跪拝した。父なる悪魔から聞いて後から知ったことだが、なぜに自身でもそのような行動をとったのか分からなかった。

光が悪魔に微笑んだ気がした。


それからというもの、ひとりの悪魔は祈るという習慣を持つようになった。他の悪魔達はひとりの悪魔を嗤った。

悪魔はそれに対して怒った。自身のことではなく、崇拝するモノを侮辱されたような気がした。まるで自身の尊厳を奪われたような気がした。ひとりの悪魔は他の悪魔から尊厳を奪い返した。他の悪魔を喰らって、その闇を漆黒深めた。

光が悲しげにひとりの悪魔を照らした。



2

ひとりの悪魔は祈りを続けた。

その魔界を照らす、か細い光に……ひとりの悪魔は多くの悪魔から尊厳を奪われては、奪い返した。いつの間にか、ひとりの悪魔を笑う悪魔はいなくなった。

いつしか、ひとりの悪魔を他の悪魔達がこういった。

魔を喰らいし光をも奪う影を持ちし悪魔

魔界大帝と……



3

魔界大帝はなおも祈った。いつしか自分が何を祈っていたのかさえ分からなくなっていた。

ある時、光が形を変えて魔界大帝のもとに現れた。魔界大帝は気付いた。闇なる自身が光に恋をしたことに。



4

色彩を持たない魔界に色が生まれた。正確には魔界大帝の中にである。不思議なものだった。その光と一緒にいるだけで、空は広く見え、大地は黒だったものが赤く見えた。黒の中にも色があることを知った。光の形が分かるようになった。

光に愛されし神が魔界に受肉した。



5

光は魔界大帝の黒を受け入れた。

光と黒が交わった。光は悪魔の子を宿した。

光ある女神の一柱を神々の世界では、「時の女神」といわれていた。

中立である大神は何もいわなかった。



6

神々は怒った。魔なる悪魔が神なる領域を犯したことを。魔界大帝は神々の逆鱗に触れた。

魔界大帝は神を生意気だと、怒れる神を喰らった。いつものように喰らった。

「理から外れる」という言葉が生まれた。

「ああ、理解した」と魔界大帝は瞳を真っ赤に染めて天上へ向かった。闇なるもの達を引き連れて……


神魔大戦が始まった。

時の女神ですらその流れを止めることは叶わなかった。



白い四足歩行の使徒がいた。いっぱいいたので、二つに分けた。羊と山羊がいた。

どちらも白くて、メェェェェと啼いた。

山の羊がどのような山に行ったのかは神しか知らない。

誰かがいった。

黒と白がないと世界が成り立たないと。


山羊の形をしたひとりの悪魔が光を欲した。いくら食べても満腹にならなかった。いくら神を喰らっても神なる光(羊)にはなれなかった。


悪魔が神に負けた。


魔界大帝は神の智による支配を受け入れた。


羊の姿をした赤い毛皮の悪魔が産まれた。


メェェェェと啼いた。



魔界大帝のお話の宗教や解釈などは空想の世界なので、一切関係ありません。

近所で山羊3匹生まれました。可愛いです。

散歩で愛犬が興味津々です。

本日、起きたら連続投稿予定です。

作風等、色々とお試し中です。

皆様も熱中症にはお気をつけ下さい。

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