次の日
朝、目が覚める。なんだか外が騒がしいが、まぁあとで良いだろう。顔を洗い、歯を磨き、飯を食う。とそこまで済ませたところでドアがノックされる。
「ガディさーん。荷物を預かっているんですけどー」
「いったいなんだ?」
「パージさんからです。今日この時間に絶対届けてくれとのことでして。まぁ中身の予想はついてますけどね。結成五年おめでとうございます」
それだけ言うとギルドの職員は帰っていった。パージから?昨日ならともかく次の日に?まぁ大方ケーキとか手紙とかそんなところだろう。あいつはこの手の記念日にうるさいからな。
それにしても昨日は悪いことをした。紅蓮の嵐に誘われているなんて嘘だ。才能も経験も豊富なあいつならともかく経験しかない俺に誘いが来るなんてありえない話だってのに。あいつはいつも俺のおかげだなんて言っているがほとんどはあいつのおかげだ。夢溢れていたあの頃とはもう違う。自分には才能がないことに目をつぶって今まで頑張ってきたが、もうそれもやめる時だ。実家の母さんが倒れ、俺も自分に見切りをつけるときが来ていて、その答えに至るのはまぁ必然なのだろう。それに紅蓮の嵐はあいつを引き受けてくれると約束してくれた。これで俺は心残りなく実家に帰ることができる。
すまないな、パージ。なにも言わないでお前を置いていく俺を許してくれ。
それにしても本当にやかましいな。帰る前に確認だけしていくか。