窓際15年サラリーマン
窓際族。
そんな風に呼ばれてから早15年か。
「なあ聞いたか。あの積木陀っていう先輩、窓際族らしいよ」
「えー。まじかよ。隅っこ暮らし状態とか、マジうける
とうとう後輩にまで馬鹿にされる始末で、最初は正直しんどかった。だがいつしかこの状況にも慣れて、周りの目など気にしなくなっていた。
いつも通りに出勤するや、窓際にあるデスクに座ってゲーム機を取り出す。当然窓際族なので、仕事が与えられることもない。
「ふー。始めるか」
ゲームを起動した。
それはある意味仕事をしているのかもしれない。
「まじかよ。私たち後輩が仕事をしているというのに、あの人は一人でゲームしてるよ」
「まじサイテー。仕事しろよ」
そんなヤジが聞こえる中でも、俺はゲームに熱狂していた。そして退勤時間まで、俺はゲームをし続けた。
そんな日常に、転機が訪れた。
「積木陀先輩。初めまして」
話しかけてきたのは美しい女性。よく見てみると、彼女はデスクを持って俺のデスクの隣へと陣取った。
「え……っと、どうした?」
「別に何でもないですよ。私はただここにいたいと思っただけです。だってここから見える景色が綺麗じゃないですか」
外を見てみると、確かに海が見えて絶景だった。
だが俺の隣に来る理由がどれでは意味が分からない。だが時間が経つにつれ、だんだん分かってきた。
彼女はパソコンをいじってはいるものの、画面を見てみるとゲームをしているだけ。
「もしかしてさ、君も窓際族なのか?」
「バレてしまいましたか。実は私も窓際族です。窓際族同士、仲良くしようね」
窓際族が増えた今日、少しわくわくし始めていた。
俺の窓際人生に、今日転機が訪れた。