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今日日の不良はカードからビーストを召喚するんだぜ?  作者: スカッシュ
第2章 己を鍛え続ける者、井下陽介登場! 編
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第11話

 俺と井下は友人というわけではない。

 ただ単に同じクラスなだけだ。

 会話はあまりしたことがないが、今日は向こうから声をかけてきた。

「となりいいか?」

「ああ」

 さっきまで俺と会話をしていたチェックはというと、あまり人前に出ることがよろしくないと思ったのか、いつの間にか姿を消していた。

「お前、いつもそんなに食うのか?」

 俺は井下が手にもっている大量のパンに注目する。焼きそばパンやメロンパンなどいろんな種類のパンがある。

「ああ。これくらい食わねぇと午後の授業も腹減っちまうんだよな」

「午後の授業なんて真面目に受けてんのか?」

「いや、ぜんぜん」

「奇遇だな、俺も教師の話なんて上の空だ」

「ガッハッハ!」

 豪快な笑い方をする井下。

「今日の朝さ、ひでー目にあったんだよ」

 井下がパンの袋を破りなら話かけてきた。

「持ち物検査でよー。ダンベルを持ってちゃいけねーって言われてさ。マジ考えられねーよ」

「考えられねーのはお前の思考だよ。ま、そのおかげで俺は持ち物検査を素通りできたからねー」

 そう言いながら俺は服の下に隠してあったグラビア雑誌を井下に見せた。

「てめー。俺をダシに使いやがったなー」

「まぁそう言うなって。お前にも見せてやっからよ」

「へん。そんなもん興味ねーよ」

「おいおい健全な男子高校生がグラビア雑誌に興味がないたぁ聞き捨てならねーなぁ。え? お前ってあれなん? アッチ系なん?」

 俺は一秒ほど二人の筋肉男がエキサイティングなことをしているシーンを頭の中で思い浮かべた。もしかして井下もと思ったが……

「アッチってドッチだよ?」

 言葉の意味を全然理解していない様子の井下。それともこいつはああいうのをまったく知らないのかもしれない。

「あ、いやゴメン。忘れてくれ」

 変な質問をした自分自身を責めた。人を見た目で判断しちゃあならないな。

「俺はそんなもんに時間を使うより、自分の身体を鍛えることに時間を費やすぜ」

 そう言いながら俺に見せるように力こぶを出すポーズをしてくる。

「……なんでそんなに自分の肉体にこだわるんだ? ナルシストなのか?」

「ナル……? よくわかんねーがそんなんじゃねーよ。俺は、強くなりたいんだ」

「強く?」

「ああ。憧れの人がいるんだよ」


 ◆


 ここは職員室の隣にある生徒指導室。

「はぁ……あのさぁ。なんでこんなものを持ってきちゃうかなぁ?」

 今朝の持ち物検査でタバコが見つかった。

 タバコを持っていた生徒はあまり評判のよろしくない生徒だった。そんな彼は今生徒指導室に呼び出されている。

「あのねぇ。先生だってタバコは吸うよ? でもさ、学校で吸わないようにしているんだよ。それ以前に君は未成年じゃないか。こんなもの持ってきていいと思ってんの?」

「……アンタにはカンケーないじゃん」

 相手は自分よりも年上の教師、にも関わらず高圧的な程度をとってくる生徒。それを見て教師は目を細める。

「ふーん……そんな態度とっちゃうんだー。こりゃ指導が必要だな……」

 教師の手には一枚のカードが握られていた。そのカードが光り出すと、生徒指導室内に異形の存在が出現した。

「な、な、なんだ!」

「おいおいあまり大きな声を出すなよな~。隣の職員室まで聞こえちゃうだろ?」

 教師は生徒の下あごに手を当てる。

「いいからさ、口を開けなよ。ねぇ?」

 少し力を入れ、半ば無理矢理口を開けさせようとしている。

 すると生徒の口の中に「何か」が入り込んだ。

「っ!」

「あはっ。入った入った。これでお前は俺の言うことしか聞けなくなる」

「げほっ……何を?」

 明らかに自分に何かを仕掛けてきた。このままこの教師を殴り飛ばしてやろうと生徒は拳を固めるがその瞬間、腹部に強烈な痛みが走った。

「いづぅ!」

 腹を抱えてその場に抱え込む生徒。

「君は僕には逆らえない。もし逆らおうとすれば君はその痛みを味わうことになるんだ。わかるねぇ?」

「て、てめぇ……」

「あ、またそんな反抗的な目をするんだ」

 そう言うと教師はパチンと指をならす。すると生徒の腹部の痛みがより一層強くなった。

「いぎゃああああ!」

「あはははは! どうしたのかな? お腹なんてかかえこんで。今朝悪いものでも食べちゃった? ああ、悪いのは君の頭か。学校にタバコなんか持ってくるクズ。もう二度と校則を破ろうとするなよ。さもないと二倍、三倍の痛みを与えてやるからな」

「ひ……ひぐぅ……」

「返事は!?」

「は、はい……」

 必死に痛みにこらえている生徒の目には、うっすらと涙が流れていた。最初に見せていた反抗的な眼光はもうない。

「はい。それでよろしい」

 こうして生徒指導室を後にした生徒を見送ったこの教師の名は桑名礼介。南高の教師であり、ビースト使いである。

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