表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/9

第ニ話

さて、救世主(彼等)の話なのだが、最初の自己紹介&挨拶以降、全くすすんでいない。


この話し合いの最重要人物であるだろう、少女がパンケーキを食べるのに夢中だからだ。


オッサンズが何度か声をかけようとしたのだが、少女は聞く耳をもたず、


少女の連れであろう初老の男性が、やんわりと食べ終わるまで待つように伝えている。


やはり、民族衣装を着ている2人が交渉の主導権を握っているようだ。


また、初老の男性の振る舞いを見る限り、少女の方が立場が上なようである。


しかし、あんなに多量のパンケーキをあの少女は食べきることができるのだろうか?


俺なんか、目の前のパンケーキ1皿でさえ、コーヒーを2杯飲みながら、やっとの事で完食したというのに。


だが、俺の心配など関係無しに、(いや、本当に関係などないのだから当たり前だが)


クリームソーダを飲みつつ、順調に食べ進んでいる。


あっ、3皿目を食べきった。


そして、休むことなく4皿目に手を出す。


何で、あんなにメチャクチャ甘いパンケーキを食べながら、甘いクリームソーダを飲めるんだ?


あの少女はスイーツの国からやってきたプリンセスか何かか?


これが若さというものか?


あるいは、女子に標準装備されているという、『別腹』のスキルの効果か?


などと、バカなことを考えているうちに、4皿目も完食し、最後の皿にとりかかる少女。


オッサンズは俺と同じように驚きの表情を浮かべていたものの、


これでやっと話ができそうだと、気持ちを切り替えたようだ。


ふと、俺は気がつく。


何で俺は、救世主(あいつら)を眺めているんだと。


食べ終わったのだから、さっさとここを出るべきだ。


外にはまだ行列もある。


さっさとこんな敵地から撤退するべきだ。


一つ問題があるとすれば、この店を出るには、


あの6人組のテーブルの前を通らなければ、出られない事だ。


もっとも、向こうから見れば俺は赤の他人だ。


何の問題もないだろう。


そう俺が考えていたことに落ち度はない筈だ。


だが、もしこの時、俺がもう少し時間をずらして席を立っていたら………


いや、IFを語ると切りがない。


近づくと、特別聞き耳を立てていなくても、自然と会話が聞こえてくる。



突然だが、『伝言ゲーム』というゲームをご存知だろうか?


もしかしたら、知らない人がいるかもしれないので、簡単に説明しておく。


まず数人でチームを作る。


そしてチームの代表者を集め、同じ文章(あるいは違う文章の時もあり)を伝える。


この時、文章を聞くのは代表者だけで、メモを取ってはいけない。


代表者は、チームに戻り、チームメイトの一人だけにその文章を伝える。


以後、リレー形式で順に一人ずつ文章を伝えていき、最後の一人がその文章を発表する。


最初の文章通り、あるいは、一番最初の文章に近い文章を、最後の人が発表したチームの勝ち。


というゲームだ。


やった事がない人にしてみると、そんなのでゲームになるのか?


と疑問に思うこともあるかもしれない。


しかし、やった事がある人はわかると思うが、


思いのほか、正しい文章が伝わらない。


お疑いであれば、一度お試しあれ。



なぜ、いきなりこんな話をしたのか?


同じ国の言葉であっても、斯様に文章を正確に伝えることは難しい。


そこに翻訳が入ってくると何をいわんや。


である。


オッサンズが日本語で話をする。


おばねえさんがそれを(恐らく)フランス語に翻訳して、


スーツ姿の外国人男性に伝える。


スーツ姿の外国人男性が、(恐らく)フランス語を


民族衣装を着た2人の話す言語(もはや何語かわからない)に翻訳する。


なっ。


レベルの高い伝言ゲームだろ?


それでも、プロの通訳であれば普通は問題はない。


実際、おばねえさんほぼ正確にオッサンズの伝えたい事を外国人男性に伝えていた。


だが、問題なのはスーツ姿の外国人男性だ。


こいつが酷い。


こいつに比べたら、南アフリカの手話男の方がまだマシかも知れない。


なぜなら、あの手話は出鱈目であったり、謎の単語の羅列であったり、


演説の内容とは何の関係ない話であった。


なので、見ている人に、翻訳できていない事が伝わるからだ。


だが、この男の翻訳は全くの出鱈目ではないせいで、


間違った内容が伝わってしまっている。


そして、最悪な事にこの中の誰もその事に気がつけない。


スーツ姿の外国人男性が悪意もって翻訳している可能性も否定はできない。


だが、恐らくは民族衣装の2人組の言語がマイナーな言語の所為だろう。


広く使われている言語であればあるほど、需要も多いので通訳の人数も増える。


通訳が多ければより質のいい通訳をお客は求めるので、おのずと通訳の質も高くなる。


しかし、めったに使われない言語になるほど、通訳の仕事も少なく、なり手も少ない。


そして、(その仕事で食っていけるかはともかく)ちょっと話せる程度でも仕事ができてしまう。


結果的に、マイナーな言語なので、直接日本語に翻訳できる通訳は見つからなかった。


そこで、少しばかりフランス語も話せるこの男が雇われた。


そんな感じではなかろうか?



さて、ここまで話していて疑問に思っている方々もいるだろう。


なぜ、お前にそれがわかるのか?


と。


それについては、話すと長くなるので、また、別の機会に。


とりあえず、ある便利道具を持っているおかげとだけ言っておく。



でだ、肝心の伝言ゲームの答えあわせだ。


オッサンズの言葉


「あなた方が、融通できる限り全てのレアメタルを、そちらの言い値で買う用意がこちらにはある」


概ねこんな内容だ。


そして、最終的に民族衣装の2人伝わった内容


「あたな方は、全てのレアメタルを、我々の言う通りの値段で、融通するようになる」


「全・然・意・味・が・違うわ~!!!!!」


と声に出して、突っ込んでしまった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ