表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/9

第一話

突然だが、大ピンチである!


場所は、完全アウェー。


味方は一人もいない。


見渡す限り見える人は全て敵………だと思われる。


先程から、怪訝な目で俺を見ている………気がする。


そして、俺の目の前には山の様な………パンケーキ?


……………


スマン!


やや言い過ぎた感はある。


正直後悔している。


色々な意味で。


改めまして、ここは都内某所、


いわゆる『おされなパンケーキ屋』ってやつである。


そこに一人、そう男一人でだ! 俺は今そこにいる。


命の危険こそないが、精神的には瀕死である。


自分の意思で来たのだから自業自得だろう!


と諸兄らは思うだろう。


全く持って、その通りである。


だが、俺はこの場所に来たかった訳ではない。


のっぴきならない事情で、ここのパンケーキを食べなければならなかったのだ!


また、一部の淑女らは、


だったら、彼女と一緒にくれば良かったじゃない!


と思った事だろう。


ああ、俺だってそう思うさ!………彼女がいればな!(血涙)




すみません。取り乱しました。


こんな環境で食べて味がわかるのだろうか?


と疑問に思いつつも、目の前の(パンケーキ)に果敢に挑む。


そんな時だった。


救世主が現れた。


救世主は、


俺以上に、場違いなスーツ姿のオッサン2人、同じくスーツ姿のおば……


げふん、げふん、スーツ姿のお姉さま。


スーツ姿の外国人男性。


何処の国のものかはわからないが、民族衣装のようなものを着た、


十代前半ぐらいと思われる少女。


同じような衣装を着た、初老の男性。


という、謎の6人組だった。


逆にどんな場所ならば、この6人がいても場違いにならないのか尋ねてみたい。


そんな6人が店員の案内で、外に行列ができているこの店で、唯一誰も座っていない、


予約席と書かれた札が置いてあるテーブルにつく。


周囲の注目が一気に集まる。


その謎の集団に比べれば、一人むなしくパンケーキを頬張る男の事などはどうでもいい雰囲気になっている。


正直、ありがたい。


店員が注文をとると、スーツを着たオッサンが資料のような物を広げ始める。


こいつら、まさかこの店で商談を始める気か?


正気か?


ここはそういう店じゃないだろう?


空気嫁、もとい読め!


俺の思いも虚しく、オッサンはプレゼンらしき事を喋りだす。


民族衣装の少女と初老男性に向って!


えっ、あの少女にプレゼンするの?


と思っていると、プレゼンを始めようとした男の隣のスーツのオッサンが声をかける。


そうだ。オッサン。オッサンに言ってやれ!


こんな所でそんな話をするんじゃないと。


だがそのオッサンはオッサンを止める訳ではなく、隣のスーツ姿のおば……お姉さまを指差す。


人を指差すんじゅない!


俺は、心の中『だけ』で叫んだ。


指摘されたオッサンは、恥ずかしげに頬を指でかきながら、スーツ姿のお姉さまに喋りだす。


オッサンがしばらく喋っていたと思ったら、今度はそのお姉さまが、スーツ姿の外国人男性と話し出す。


スーツ姿の外国人男性は、おば……お姉さまの話を聞き終えると、少女と初老の男性に語りかける。


伝言ゲームかよ!


俺は、心の中『だけ』で突っ込んだ。


どうやら、スーツ姿の外国人男性とおばねえさん……は通訳のようだ。


そこに、店員がパンケーキを運んでくる。


そして、一つのパンケーキをおばねえさんの前に置き、


残りのパンケーキ全てを、少女の前に置いて引き返していく。


お前、通訳の癖にパンケーキ食うのかよ!


じゃなくて、お前はフードファイターか!外国人少女よ!


と、ツッコミ2連撃を、心の中『だけ』で行う。


続けて、先程の店員とはまた違う店員が、飲み物を運んでくる。


流石に、何も注文しない人物がいるのは悪いと思ったのか、


今度はオッサン達の分もあるようだ。


オッサン達の前にコーヒーカップが置かれる。


おばねえさんの方にはテイーポットが置かれているので、紅茶かなにか、お茶系を注文したのだろう。


もう、突っ込まないよ。


と決意するや否や、少女の前にも飲み物が置かれる。


クリームソーダだった。


胸焼けするわ! 俺の決意は10秒も持たなかった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ