ブラック社長?
よろしくお願いします。
六階層に上がった。階段の影から覗くと、ホーププラネットが、至るところに浮かんでいる。
ホーププラネットには認知されない距離からの攻撃が有効だとナビさんが教えてくれた。
なので、通路の影からホーププラネットを狙い打つ計画を立てた。オーガソードの連射機能と、四次元ポーチから取り出した石弓をみんなに渡して、木の上に浮かぶホーププラネットを狙い撃つ!
特にコビンの石弓は秀逸です、一度打つとホーププラネット10匹は仕留めます! その上、矢がヘビのようにクネクネ獲物を刈り取ります…
「コボルト族の嗜みの一つといいたいところですが、コボルトの三歳児でもできる芸ですね。まぁ、三歳児では一度で三匹がいっぱいでしょうか…」
隣でポチも石弓を打ちました。 ハイ、ハズレました! コボルトの幼児、ハイスペックです…
矢が届く範囲のホーププラネットは駆逐しました。どうやらホーププラネットは、自分に襲う攻撃には反応するが、ほかのホーププラネットが攻撃されても意に関しないようです。
ただ、自分の視界に入ると精神魔法を使って来ます、動くものが視界に入るとスイッチが入るようです、
「やはり細胞のような魔物か?」
ホーププラネットには意思を感じられない。
ただ機械的に自分を守る為に対処している。
まさに、外敵から自分を守る細胞、もしくは機械的に反応するロボットのようだ。
「しかし、数が多過ぎる!」
そう、数が多過ぎるのだ…。
人体の細胞の数は30兆以上、そんなにあるわけではないが、いくら弱いと言え、数は暴力だ!
武器が届く範囲は駆逐したが、これ以上隠れてホーププラネットを攻撃することはできない。それに、矢にも限りがある。どうする?
「リューイ様、ここを突破するには覚悟を決めるしかありません!」
コビンが提案した、とにかく意識を強く持って最短で上の階を目指す!
「この階のホーププラネットは動きが単調です。視線を向けたものだけを各個撃破、その上で先を目指しましょう!」
コビンの策はこうだ、動きの鈍いホーププラネットの隙をついて先を進む。
精神魔法を使いそうなホーププラネットは攻撃して倒す。
精神魔法を受けた場合は気合いで耐える。
「精神魔法を受けた時は、守るべきもの達、自分の思い、大切な人達を思い浮かべてください。ホーププラネットは負の感情を魔法に乗せて来ます、プラスの感情を満たして、それで相殺するしかないのです。
対応策は、ホーププラネットの精神魔法を上回る強い意志が必要です。自分達の意志が精神魔法を上まわれば、少なくとも自我を保てるでしょう」
コビンが説明してくれた。
ホーププラネットの精神魔法を耐えたコビンの話だ、説得力はある。
「コビン、出来るだけ最短でこの階を切り抜けたいんだけど、上にあがれる目処はあるかい?」
そう言うとコビンが、
「上にあがる階段には規則性があります。ここの場合はまず中央でしょう。前回の塔でも6階は中央にありました。
今回の塔も、今までは前と似たような場所にあります。そう考えると、今回も中央でしょう。しかし、次の階は嫌な予感がします。私なら、同じパターンの後に変化をつけますからね! 先ずはこの階を抜ける事が先、周囲の確認は私が責任を持って対処致します」
そうか、それなら中央部分に向けて力押しで進めるだろう。
そして相手としては、万が一次のステージにたどり着いた時、更に罠を仕掛けたいに違いない。
だとすると突破して、安堵した後に更なる仕掛けか…。
「わかった、コビンの策で行こう。ただし、かなりキツイ戦いになる。みんないいか?」
みんながうなづく、僕は一度整理した。
「すまないが、コビンが先頭で指示を出してくれ。ホーププラネットの動きはコビンに任せる。
次に僕が進む、不本意だがティーナとポチは僕の後ろだ!
ルビーにはしんがりを頼む。誰かが精神魔法にかかりそうになったら、そのフォローを頼む」
みんながうなづく。ポチだけは、
「不本意、不本意…、ふほんい?」
と、呟いていた…。
「日頃の行いだ!」
そうポチに言うと、ポチはシュンとなっていた…。
「時間もない、行くぞ!」
僕達はルビーに精神魔法防御の魔法をかけてもらい、ホーププラネットの群れに突っ込んで行った。
6階の階段出口から半径100メートルはホーププラネットを駆逐したが、僕達の姿を視認すると、空中を漂って近づいてくる。
動きが緩やかなので囲まれてはいないが、こちらは中央に向かわないといけないんだ。無傷のホーププラネットが前進を阻んでくる!
正直キツイ、ホーププラネットの群れは、数が多過ぎる!
潰しても、潰しても、次から次へとホーププラネットは湧き出てくる。
周囲からホーププラネットが精神魔法をかけてくる!
自我を保とうとするが、悪夢が脳裏をよぎる!
かろうじて意識を保つが、限界があるだろう…。
「こうなったら、むしろ何も考えない方がいいでしょう。心を無にして、悪夢も無視して、ただホーププラネットを切り裂くことだけを考えてください。悪夢を気にしないためにも、体を動かすことだけを考えてください!」
コビンがアドバイスをくれる!
機械のような動きをするホーププラネット、僕も機械のように体を動かすことに集中する。脳裏に嫌な思いが浮かび上がるけど、意識が向きにくいからまだマシかもしれない。
体を動かすことに集中していると、後ろから駄犬の笑い声が聞こえた…。
ポチが「ウワッハッハ〜、バナナがっ、バナナがぁ〜! なぜナメコ〜」と笑い転げる、よく分からん…
ついポチに意識が行き、ホーププラネットから攻撃を受ける。ヤバイ、集中できない…
スッとコビンが近寄り、ポチを簀巻きにしている…!
「さあ、集中してください!」
僕は、コビンの言う通りに集中することにした。ポチの声はもう聞こえない…
「素直に体を動かす、素直に体を動かす、素直に体を…」
少し楽になってきた。
ホーププラネットが精神魔法を発動した瞬間に、その相手を切り裂く!
ホーププラネットは相手の思考を読み解く為に思考の底を覗こうとする。
その若干のタイムラグの間にホーププラネットを切り裂く!
なんとなくコツが掴めて来た!
しかし、悪意を持って心を覗かれるのは、少しづつでも疲労が蓄積して行く。
かなり余裕が失われてきた時、コビンが叫んだ!
「皆様、上にあがる階段に付きました!」
意識を前に向けると、確かに目の前に階段がある!
「早速上に行こう!」
僕がみんなに言うと、コビンがそれを止めた!
「よくご覧下さい、上にあがる階段と、下に下がる階段があります。
たぶん上にあがる階段は罠です、逆に下に下がる階段は先に進めるでしょう、もしかするとボス部屋につながるかもしれません!」
コビンが言うには、これだけホーププラネットの精神魔法をかいくぐれば正常な判断は出来ないだろう。
だから、着いたら何も考えずに上に進む!
しかし、上に進んだら更にホーププラネットの群れか、または違った罠が張り巡らされて、最後は入り口に戻されるなんて事もある。
そんなことされたら心は折れるだろう…
しかし、今は目の前に二つの選択肢がある。
今までルートは階段一つで導かれていたが、ここで二択だ!
このあと何度も上を目指して、階段を探して、入り口に戻されたりして、「そう言えば下に下がる階段があった!」と思って扉を開けたら、やっとホーププラネット地獄から解放!
もし、そこがボス部屋だったら?
精神的に疲弊して満足に戦える訳が無い!
じゃあ、下の階段を進んで「実はボス部屋につながる道が無い!」なんて事も…
可能性をコビンに聞いてみると…
「こういうボスのタイプは、最後は絶望感を味あわせ、それを楽しむと思います。もしかすると、絶望感こそ、ボスの糧かもしれませんね! 何にせよ、下に向かう階段が現れたのです。可能性は高いでしょう、ダメならまた上に向かえばよいのです」
僕達はコビンの意見に、一名を除いて賛同した。一名とはポチだった…。
「ブブッ、ブブッ、ブヒー、バビブ、ブヒブボッ、ブヒー!」
ホーププラネットによる精神魔法に開戦当時から受けまくったポチは、まだ夢の中にいます!
「では、コビンの意見を採用して、下に進もう!」
ポチの頭を踏み付けながら、みんなに方針を伝えた。
「意義なしッ!!!」
ポチを除いて全員がコビンの提案を快諾した!ポチを除いて…。
コビンの意見に基づき、下に進むと、広い空間に出た。目の前には扉がある。
その奥には得体の知れない気配を感じた…。
「まさか、当たりか?」
そう言って扉を開けようとすると、
「リューイ様、お待ち下さい」
コビンが進言した。
「30分ほど休みましょう、皆様もかなりお疲れのご様子。直ぐに進むのは危険です。 かと言って長く休むとボスが警戒して、何かしら細工をするかもしれません。ギリギリのラインで体を休めて突入しましょう!」
コビンさん?孔明ですか?そこまで心理戦やり切るとは、扉の奥のボスよりコビンさんを敵に回したくない!僕は、少しチビりました…
扉の前でティータイム。
コビンがみんなにハーブティーを振る舞ってくれてます。軽食も用意してくれました。その匂いにつられてポチも現世に帰ってきました。
僕達は軽食をつまみながらハーブティーを楽しみます。精神的ダメージが回復して行くのを感じます!
「ハーブティーは精神を穏やかになる効果があるものを厳選してあります。 サンドイッチやつまみには、疲労回復と同じく精神回復に特化したハーブを練り混ぜてあります。 30分でも、十分に効果があるでしょう。 これはコボルト族に代々伝わる製法ですが、誰でも簡単に扱えますよ」
コビンさんが簡単に言うが、多分無理だ!
コビンさんが上げた薬草は、遅くとも1分以内に大型魔獣を死に至らす猛毒草のオンパレードだった!それが何故精神回復薬に?
「コボルト族の嗜みの一つです。コボルト族の90%以上は作成可能かと?」
ちなみに残り10%を聞いてみた。
コビン曰く、城勤めの者達で、「そんな事より世界の発展だ!」と言って知りもしなかったらしい…。
そいつらは、今までも城の中でラリって激務に励んでいる、嬉々として…。ある意味、あそこの社長さんなんだよなぁ、僕。どうか、神様達に訴えられませんように…!
コビンの軽食によって体調を回復した僕達は意を決して扉を開けた。そこには…!
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