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夢…?



リューイ様、リューイ様っ…


どこからか、声が聞こえてくる…。



「リューイ様、よかったのです。気付かれたのです!」


ルビーが話しかけてきた。


「もう大丈夫なのです、悪夢は過ぎ去ったのです!」


僕は自分が涙を流していることに気づき、腕で涙を拭った。


「一体、何が起こったんだ?」



コビンが説明してくれた。


五階層に上がった時、悪魔の眷属で、ホーププラネットという魔物がいたそうだ。


コイツは名前とは逆で、悪趣味な幻覚魔法を使う…。



獲物の記憶を探り、獲物の一番嫌な思い出を見つける。 そして、それに更に獲物の嫌な思いを上書きして、獲物に悪夢にして見せるのだそうだ…。


悪夢を見せられた獲物はもうその場から動けない…。 後は捕食するだけだ!


「つまり、俺の場合は家族が死んだ時の事を上書きされた訳だ…、ただでさえ、あんな事があったのに…、そこにティーナまで入って来て…、」


怒りが込み上げてくる!


最悪だが、眠るように死んでいった家族の思い出を、苦しみに満ちたものに上書きされて見せられたのだ…。


「くっ、楽には死なせられないな…」


そう言う僕を、ルビーとコビンが少し後ずさる…。


つい、怒りに顔がこわばっていたようだ…。



周りを見渡すと、ティーナが泣き叫んでいた。


僕は少し落ち着いてティーナの元に駆け寄る。


「ティーナ、大丈夫かティーナ!」


ティーナも悪夢を見ているようだ!



「安心するのです、リューイ様を優先したのでまだ悪夢の中ですが、すぐに元に戻すのです」


ルビーが魔法を唱える。


するとティーナの状態がおとなしくなっていく…。


「ああっ、リューイ様…」


どうやら目覚めたらしい。


少し落ち着いたティーナに、どんな悪夢を見たのか聞いてみた。


「はい、両親が私を置いて惨たらしく死んでいく様を見せつけられまして…。そして…、」


そして、僕がティーナを置いて、街に攻めて来た魔族に戦いを挑んだらしい…。


僕が自ら率先して戦いに挑み、惨たらしく殺されるところを見たと言う!


その間、自分は足が動かず、惨劇をまざまざと見せつけられたらしい…。


僕が死に絶えた後、足が動けるようになって、僕の元に駆け寄って抱き上げると、見るも無残な姿になっていたと話してくれた…。


「悲しくて、涙が止まりませんでした…」


幻覚を見せられたのだと知って、今いる状況を理解したティーナは怒りを表した!


「あの時の私の気持ちは言葉に表せません! あんな気持ちは二度と思いたくないっ…」


何か、決意した目をしていた。


僕も思うところはある…。


辛い思いをさせられたが、大切な人も再認識させられた!



その横で……、


「うわぁ!バナナはやめて、バナナはやめてぇぇぇっ、ウワッハッハァァ〜!」


悪夢の中にいるはずのポチが、何か叫びながら腹を抱えて大笑いしていた。


たしか、悪夢を上書きするんだよね?


…、ポチ、コイツに悪夢はあるのか?




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