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ティーナの正体?

よろしくお願い致します!


うむ、さっきからピラピラ動くシッポが気になる。


お腹も満たして、ここは聞くチャンスだろう!まずは手頃なアプローチからか?


「ティーナ、ここは何処なんだい?」



ティーナは可愛いらしく頷くと、


「はい、この世界はアルヴェール、ここはランドル大陸の北方にある魔人族領の一部です。

ここは、通称「迷いの森」と呼ばれる場所ですね」


いきなり魔人様ですか! まぁ魔人族領と言うんだから種族としてあるんだろう。


「迷いの森って?入ったら出られないとか?」


「まぁ、それもありますが、一番は迷い人が良く見つかるからですかね」


迷い人はこの森で採れるらしい…。 キノコか?


「おじいさんもこの森に来たと言ってました…。仲間もいたそうですが、みんな散り散りになって、命からがら龍人族の村にたどり着いたと話していました。」


これだけ劣悪な環境の森だ! よっぽどおじいさんは運が良いのか?


とはいえ、多分迷い人は少ないはずだ…。



「ちなみに、迷い人たちだけで作った都市もあると聞きます。これは魔人族領ではなく、砂漠地帯の先の方らしいですが…」


はい、もう迷い人は人種です!





「他にどんな種属がいるんだい?」


ここからが本番です、良い流れです!


「はい。魔人族、亜人族、人間族、竜人族の四つに分かれます。私は竜人族に当たります」


よっしゃ、種属名ゲット!


「竜人族はみんなティーナみたいな可愛いシッポを持ってるのかい?」


よし、流れ的にOKだろう。シッポがコンプレックスだったら不味いしね!


「やだ、可愛いなんて、でも成人したらシッポは隠せるようになるので、大人はシッポを隠してますね」


そう言うと、ティーナのシッポはブンブンと唸った!




「ティーナはいくつなんだい?」


「はい、14歳です。今年の秋には成人になります」


タブーと言われる年齢もクリア!


しかし、日本の14歳とはえらい違いだ。


どう見ても同い年かそれ以上に見える。15歳で成人と言うのも頷けるよね!




陽も暮れてきて、辺りは薄暗くなってきた。


僕はバックから毛布を取り出してティーナに掛けてあげた。


「よろしいのですか? リューイ様ありがとうございます…」


ティーナがすまなそうにお礼を言った。



それにしてもこのバック、明らかに容量と外見が合わない!


「空間拡張機能を装備しております、備え付けと合わせて、あくまで200リットル程度しかありませんので常備品の収納にご活用下さい」


ナビさんが教えてくれた。


でかいゴミ袋5枚分くらいか。


4次元ポーチ(ナビさんの話では、何故かこちらは収納無制限。逆じゃね?)と合わせれば使い勝手がいい。


龍人族も収納バックを持っているくらいだ、こっちの世界ではポピュラーなんだろう。せめて、4次元ポーチはチートであって欲しい…。



焚き火に枯れ木を焚べながら、僕らは話を続けた。


どうやら、この世界は一つの広い大陸でつながっているようだ…。


そこに4つの種属が住んでいて、序列がある。


序列は魔族> 亜人族> 人族> 竜人族の順のようだ。


パワーバランスに違和感を感じる…。




「これには理由があるのです」


ティーナがポツリポツリと話し出した…。



遥か昔、この世界には四柱の神が存在した。


四柱の神のうち、二柱の神が人々の前に現れ、種族達を導いた。


一柱は竜の神、もう一柱は人の女神、二柱は番い(夫婦)だった。


二柱の神は種族分け隔てなく祝福し、世界は平和だった。




一つだけ神と種族達との間で約束があった。




ただ、それは難しい事ではなく、収穫の秋にニ柱の神へ御神酒を供物として捧げるというものだった…。



その年は竜の神に人族が、人の女神に竜人族が供物を捧げる番だった。


きらびやかな舞と歌の中、二柱の神に供物を捧げた。


まずは竜の神が人族が捧げた御神酒を手に取り、それを呑み干した。


「うむ、今年もよい出来だ。また一年、良い年になるだろう…。」


続いて竜人族が女神に御神酒を捧げた。女神はそれを受け、一口含んで飲み干した。


「こちらも良い出来ですね…、 うっ!」


そう言うと、やがて女神は苦しみ出した。 そして、皆の手当ての甲斐もなく、女神は息を引き取った…!


皆が女神が亡くなった事を嘆き悲しんだ…。


特に竜人族は狼狽えた、自分達の御神酒を飲まれた女神が身罷られたのだ!



竜の神は怒り、慟哭し、そして深く悲しんだ。


それは大地を揺るがし、三日三晩空を暗く染めたと言う…。




竜の神は言った。


「我は神なり、しかし最愛の者を失うことはそなたらと変わらぬ。

そなたらを責めはしまい。

ただ、この悲しみは忘れられまい…。

怨みはせぬ、しかし、そなたらの前に再び姿を見せる事はもうあるまい…。」


そう言うと竜の神は姿を消した。


その後、神の姿を見た者は一人としていない…。





「女神が無くなる原因と竜の神を怒らせた竜人族は、他の種族から見放されました。

その後、差別され、虐待に変わるまで、さほど時間は掛からなかったと聞いています…」


ティーナは悲しそうに呟いた。涙が頬を伝う…。


「龍人族は強靭だろう、抵抗しなかったの?」


更に哀しそうに呟く…。


「私達は神殺しの責を受け入れる事を決めたのです! そして、竜人族はあらゆる言われように、あがらわないと決めました! 故郷を失なおうとも、迫害されようとも! ただ逃げ、相対せず、そして辺境に追いやられて行きました…」



ティーナは涙を拭った…。


「けど、竜人族は皆さん優しいのですよ!

それが誇りです。

リューイさんが行くところが無ければ、私達の村に来られませんか?

落ち着いたら迷い人の町もお教え出来ると思いますし…、何もありませんが皆歓迎しますよ」


ティーナはそう言うと、満面の笑みを浮かべた!





故郷を追われて辺境の地へ、それなのに恨む訳でも無く、迷い人がいたら助ける!


龍人族は信用できるっ!


「ありがとう、辛い事を話させてごめんね!この世界の事も知りたいし、良ければお世話になっていいかな?」


ティーナは更に笑みを浮かべると、


「はい、皆喜ぶと思います」


と言って僕の手を握った…。


てか、そんな可愛い笑顔で手を握られたら…、惚れてまうやんか〜!



ありがとうございます!

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