逸材?
中途半端にすいません。
開戦二日目が始まった。
こちらの予想通り、中央の歩兵はそのまま前進。騎馬隊は左右の扉を目指して進む。
それに対して、こちらは中央の扉は堅く閉ざし、壁の上から攻撃する構えだ。
サムが指揮する右手の扉は開け放ち、馬房柵で相対する構えだ。
僕が指揮する左手は、扉を硬く締め、中央と同じく壁の上から攻撃する。
「こちらがハズレか、しかし、功績は大きいな!」
僕を見て、指揮官が呟いた。
左手の扉に向かう騎馬隊が動く。
先の尖った大木をロープで四頭の騎馬が持ち、その勢いで扉に叩きつけ散開する。
扉に大木が突き刺さる!本来なら外側が木製で中は石造りの扉は、この程度の攻撃はビクともしない。しかし、中の石を抜いてあるので簡単に貫かれる。
「おー、あちらさん、かなり盛り上がってるなぁ」
そりゃそうだ、自分達の作戦がうまくいきつつあるのだ。舞い上がってもおかしくない。
「しかし、かんぬきもかけてあるから時間はかかるな。サムの方はうまくやってるかなぁ」
そう言うと、僕は右手の扉の方を見た。砦の壁は扇状をしているので、敵からは見えるが、味方からは見えにくいのだ。伝達係頼りになる。
その頃サム達は、馬房柵を操って騎馬隊を
牽制していた。
「左右は少しずつ囲み込むように、中央は騎馬隊の鼻面に押し込むように!」
サムは馬房柵を半包囲する構えを築きつつあった。
「当たりはもらったな!」
伝令からリューイが反対の扉に陣取ったと聞いた指揮官は、ニヤリと笑って指示を出した。
「大槍隊、中央の馬房柵に突っ込め!」
指揮官がそう叫ぶと、大槍を構えた騎馬が中央の馬房柵に突っ込んだ。
「馬房柵が破られるぞ!」
サムは叫ぶ、もちろん演技だ。あらかじめ中央の馬房柵はもろく作ってある。
中央の馬房柵は砕けたが、その隙に大槍隊も叩き潰す。
しかし、敵から見たら扉の先まで一本の道が出来ている。
「全軍突撃、我に続け!」
指揮官を先頭に騎馬隊が扉に殺到する。しかし、扉の幅は3メートル強だ。
せいぜい馬二頭が並んで通れる幅だ。どうしても扉をくぐるにはスピードが落ちる。
その上、サムは馬房柵を半包囲していた、突入する騎馬隊は逃げようがなく、最後尾に至っては脚が止まっている。
それでも、はたから見たら大軍が優位に砦を突破しようと見えるだろう。
それに、確かに一部は砦の中に侵入を果たしたのだ。
左の指揮官が叫ぶ!
「何をグズグズしておる!あちら側が突破しているではないか、こちらも一気に畳み掛けろ!」
そう言うと、三本の大木を扉に向かわせる。すでに三度も繰り返しているので、扉はガタが来ている。そこに三本だ、扉は粉砕された。
「こちらも行くぞ、我に続け!」
我先にと騎馬隊が突っ込んで来る。
敵の騎馬隊はどうやら左右とも150づつで編成されており、50の分隊が三つになっているようだ。
三本の川が一気に扉に殺到してくる。
「いや、それはさすがに無理だろ」
僕は唸った、相手の指揮官はどうしてこんなに頭が悪いんだ!
先頭に立つ指揮官達は扉をくぐり抜けたが、数騎がくぐると、その狭さと勢いで扉の前で衝突。騎馬隊の扉が出来た。残る騎馬隊は散開して戻って行った。
「さて、頭の悪い指揮官のおかげでこちらも片付いた。後はサム達だな」
そう、招かれざる客に何も用意してない訳はない。
まさに昨日と同じく、扉を突破した指揮官達には落とし穴を用意しておいた。
まさか、自分の陣地に落とし穴を用意するとは思わなかったのだろう。
サムの方はどうかと言うと、
「突破した敵に対して馬房柵を展示!」
サムは扉から入った騎馬隊に対して、馬房柵を風船状に展開していた。
馬は馬房柵があるためにその中を進むしかない、馬房柵を囲むように竜人族が両脇に槍を持って構えている。
「放て!」
サムが合図した。蹂躙するつもりで飛び込んできた騎馬隊は、前後左右から石槍を浴びせられる。
次々と続く騎馬隊は、馬房柵の中で次々と串刺しにされていく。
指揮官は最初の突撃で念入りに串刺しにされて、もうこの世には居ない。
「こちらも終わったとリューイ様に伝えてくれ」
サムは伝達係にそう伝えた。
サムの報告を聞いて、僕は安堵した。中央の戦いは、歩兵対攻城戦みたいなものなので、進捗も無ければ被害もない。
とはいえ驚くことに、本当に竜人族に死者が一人もいないのだ!
「サム様々だな!」
僕がボソッと呟くと.ティーナが聞いた。
「リューイ様も、昨日は誰も死なせなかったではないですか?」
確かに僕は被害無く昨日を終えた。しかし、今日の戦いはちょっと違う。
「昨日はこちらが事前に準備をして、策に嵌める戦いだった。しかし、今日はちょっと違う、相手の戦い方に合わせないといけない。サムは相手の布陣からあれだけの作戦を導き出したんだ。それは素直に褒めてあげるべき事だと僕は思うよ」
僕を持ち上げたいティーナの気持ちは嬉しい。しかし、サムは本当に良くやったと思う。
「そうですね、リューイ様がそうおっしゃっるなら私もサムを褒めてあげましょう」
そう言うとティーナはサムの元に向かった。
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