魔人族陣営?
頑張ります。
暗闇の中、小声で話し合う男達がいた、魔人族だ。
「ギャバン様が亡くなられた、兵士も半数近くが死んだか、戦闘不能だ。一時撤退も視野に入れないといけない」
そう言うのはギャバンの副官、名はワルターという。ワルターは今、騎馬隊の分隊長達と今後の方針を打ち合わせていた。
「撤退?何を言うか、ギャバン様の供らい合戦もせず撤退だと!貴様、ふざけるなよ」
一人がそう言うと、次々と続く。元々ギャバンに従う連中だ、思考の方向性は大差ない。
「しかし、歩兵はほとんど役に立たない。騎馬隊も、今日の戦いで、300強だ。一度引いて、立て直す事が必要だ」
ワルターがそう言うと、分隊長達は殺気だった。
「歩兵など我らの盾だ、盾は傷つくものだろう。我ら騎馬隊がある限り、撤退などもっての他だ!明日はギャバン様の仇うちだ、竜人族を血祭りに上げろ!」
一人の分隊長がそう言えば、他の分隊も続いた。彼らは今日の敗北に何を学んだのか?
きっと何も学んでいないのだろう、とワルターは肩をすくめた。
「わかった。撤退ではなく、戦闘継続の方針で行く。しかし、今使える歩兵は300だ。それ以上は出せない」
そうワルターが言うと、別の分隊長が
「ならば、そ奴を引き連れて副官が正面から攻めればいい。その間に我らが左右の扉をこじ開け、竜人族を血祭りに上げてやる」
分隊長達はこの意見に熱狂的に賛成する。
そう、ギャバンという枷を外された分隊長達は第二のギャバンと化したのだ。
ワルターは、元々ギャバンの雑用係としか思われていない。
本来ならギャバンが死に、現在の全軍の指揮権をワルターが持っているのだが、彼の言う事に聞く耳を持つ者は、この場に一人もいなかった。
「わかった。貴公らの言う通りにしよう」
ワルターはそう言ってその場を去った。彼の頭の中には、いかに一人でも多くの歩兵を生かして本国に返すか、それだけだった。
決戦二日目、この日も良く晴れた。
今日は様子見だろうと思っていた僕の考えはシュレッダー行きとなった。
「敵は、今日もやる気のようですね」
リプトンさんがそう言う、僕は頷いた。
あれだけの大敗をして、士気を保っているのは恐怖すら感じる。
しかし、こちらとしては計画の前倒しに過ぎない。
「中央に歩兵、左右に騎馬隊を配置している。サム、どう思う?」
僕はサムに聞いてみた、この子は頭がいい。
「先方に歩兵を置いて、後ろに騎馬隊を縦列配置ならば中央突破が考えられます。しかし、横並びで配置しているとなれば、分散して三門に当たると思われます」
僕の考えも一緒だ、ここまでは見れば分かる。
「では、どう対処する?」
サムは頭を捻りながら答えた。
「そうですね、三つに分けるのは明らかに不味い手だと思います。僕なら数の力で押し切ります。しかし、相手は別の方法を選びました。中央の歩兵は、明らかに疲弊しています。距離を置いて対処かと。残る騎馬隊ですが、昨日と同じ手がいいかと思います」
僕の考えとほぼ同じだ、あえて聞いてみた。
「昨日と同じ手とは?」
「はい、昨日と同じ手とは、指揮官を潰す事です。しかし、昨日のことを考えると、敵の指揮官は後方にいると思います。それを釣り出すにはエサが必要になるかと」
うん、いい返答だ。
「左右の騎馬隊にエサを見せるなら、エサも二ついるけど?」
ここまでは僕も考えた。エサは僕がなればいい、しかし僕は二人いない。
「いえ、エサは一つで充分です。片方だけエサを見せれば、もう片方は安心して攻めて来ます。そちらは安全なので指揮官が先陣を切るかと。反対側も、それを見たら何かしら動きが変わるかもしれません」
スゲ〜や、サムさん、マジでハンパ無いっス!そこまでは僕も考えて無かったっス。
「わかった。僕が左手を担当しよう、右手はサムに指揮を任せる」
サムは目を輝かせた。その後、二人で緻密に打ち合わせをした。
読んでいただきありがとうございます。




