暗躍?
魔族側のお話です。
時は少し遡り、リューイ達が遺跡探索に向かっている頃、魔人族領土であるディガル領では三人の男達が密談していた。
領主であるゲルヒは、私室に二人の男を呼んでいた。
男達はテーブルに置かれた一通の密告書を囲んで話し合っている。
「まさか、迷いの森に隠れ住んでいたとはな」
ゲルヒはそう言うと、太った身体を揺らしながらカップのお茶を飲み干した。
「もし事実だとしたら、莫大な利益に繋がりますな。
それも150人規模、他にも近隣に居るかもしれないですぞ!最近では魔人領でも竜人はめったにおらん。
はぐれがたまに見つかるくらいですからなぁ」
頬に大きな傷のある男がニヤリと笑いながら話した。
竜人は死ぬと宝玉を残す、それがとても希少価値があるのだ。
確かに傷の男が言うように莫大な利益を出すだろう。
「そうだな、富はいくらでも必要だ。
ワシはまだまだ上に行く!中央に上がり、富と権力を集め、更に上に上がるのだ!
この手柄を我々の物に出来れば、中央への影響が増すだろう。そうすれば…」
そう、ゲルヒは「我々」とは言ってはいるが、自分の事しか考えていない。
独占したいのだ。ゲルヒは頭を巡らせる。
密告書を指しながら、ゲルヒはもう一人の男に向かう。
「これは信用できるのか?」
そう言うと、領主の前にもかかわらず、フードを被った男が答えた。
「迷いの森方面を商いとしている商人の内の一部が、頻度高く荷を空にして戻って来ていることを確認しております。
ルートと積み荷の中身を考えると、明らかに何者かに融通している可能性があります。
此奴らが竜人と繋がっていると考えてると密告書の内容とつじつまが合いますね…」
密告書には竜の村までの詳細なルートも記されている。
「そうか、ではギャバンよ、兵千と騎馬五百を連れ、竜の村へ赴け!」
ゲルヒがそう言うと、傷の男が畏まった。
「はっ、必ずやこのギャバンが竜人どもを刈り取って参りましょう」
ゲルヒは満足そうに頷いた。そしてフードの男に顔を向けた。
「のう、グリードよ。こんな密告書があったなど王都に知られる訳にはいかんな。あくまでも、竜の村は偶然見つけた事にせねばな」
そうゲルヒが言うと、フードの男グリードは答えた。
「密告者の目星は付けてあります。片付けるなり、こちらの駒にするなり致しましょう。それでは」
そう言うとフードの男は出ていった。
ゲルヒはギャバンに向かって下卑た笑いをしながら、
「分かっておるな!」
「ええ、男は殺し、女は持ち帰りましょう。上玉は領主殿に献上いたしますとも…」
そう言うと、ギャバンは猛獣のような獰猛な笑いを見せた、この男は犯すより殺す方が好きなのだ…。
「何で俺が追われなきゃいけないんだ!」
逃げながらマスケスは呟く。大通りを歩いていたら、突然屈強な男達に囲まれた。
「お前がマスケスだな」
そう言われて、マスケスは不安が背中を走った。男の一人を突き飛ばして裏路地に逃げ込む。人を突き飛ばし、物を倒して逃げる。
しかし、男達は追ってくる。
「あいつらのせいだ、これもあいつらの!」
密告書を出したのはマスケスだった。
なぜなら、マスケスが手に入れるはずだったティーナをあの男が奪ったのだ!
許せない、あいつらは許せない!マスケスは次第にリューイへの憎しみが竜人族へと変わっていった。
「なぜだ、追われるのはヤツらのはずだ!なぜ俺が!」
マスケスの目は更に濁っていく。
「いい目ですね、とてもいい…」
気がつくと目の前にフードを被った男が立っていた。そして周りは囲まれている。
「いいでしょう、資格は十分です。連れて行きなさい」
フードの男がそう言うと、周りの男達はマスケスを取り囲み、闇の中に連れて行った…。
「フフ、良い駒になりそうですね。あ奴らに預ければ…」
そう言うと、フードの男は顎先に右手を当てて思案した。その右手には刺青が入っている。円の中に黒く染めて六芒星が…。
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