ついに竜人の里?
お風呂はいいですね、毎日入りたいものです。
都合によりシャワーだけの日も…。
二時間(6キロ)くらい進むと、竜の里に着いた。周りは石壁に囲まれている。ところどころ崩れてはいるが、修復すれば使えるレベルだろう。
崩れた壁から中に入る。石造りの建物が並ぶ。建物の中に入ってみたが、カビ臭さすらしない。どれだけ時が流れたのだろう!
僕らは中央にあるひときわ大きな建物、いや城と言った方がいいだろう。そこに足を踏み入れた。
ホコリすら感じない、風が全て持っていくのだろう。まわりを見渡しても石壁しか見えない。長い年月を経て朽ちたのか、又は掠奪されたのか、多分両方だろう。
エントランスから伸びる階段を半円状に登った。その先には中央にまた少し広い階段がある。更にのぼると、大きな広間があり、最奥の中央に玉座らしいものが見えた。辺りに静寂が訪れる。
「おかえりなさい…。」
僕の耳にささやくように聞こえた。それは僕にか、それともティーナに向けてか?
「ティーナ、なにか聞こえたかい?」
「はい、誰かがささやくように、おかえりなさいと…」
ティーナにも聞こえたらしい。しかし誰もいない、ナビさんにも確認してある。半径300メートルには生物はいないと、生物は?
僕らは城を後にした。
「なんだったのでしょう、あの声は?」
ティーナは不思議そうに聞いてきた。そう、僕には心当たりはある。何故なら、人は死して魂に帰るのだから。
「さてね?けど、おかえりなさいって言うんだから悪いものでは無いだろう」
そう言うとティーナは、「そうですね!」と笑顔を返してくれた。
まずは拠点をつくります。城はNOです!昼間ならともかく、アレ夜中にやられたらちびります!
出来るだけ城から離れた、一番原形を留めている建物をベース拠点にしました。平屋の家です。リビングと他に部屋が二つに調理場、そして何と風呂場がありました!
まずは住めるようにします。残っているものは全て石造り、一度全て水洗いして乾かします。
穴があいてる場所はティーナが修理しました。
リビングと二つの部屋はティーナの火の魔法で乾かします。
僕は家具を置いていきます。
家具は竜の村のティーナの家にあった物です。竜人族はルールが厳しく、留守の者の家には入ってはいけないのです。
だから誰もティーナの家には入りません。
気兼ねなく異次元ポーチに収納してきました。
異次元ポーチはとても便利です、収納したいものを指定するだけで回収したり、出したり出来ます。ただし1メートル以内、無機物(又は死んだもの)に限りますが!
そういう訳で、ティーナの家と同じように家具を配置しました。
一つだけ、石のソファーだけは、この家に残っていました。
綺麗にして、魔物の毛皮を敷いておきます。なんか、殺風景な部屋が暖かくなりました。
あとはお風呂です!仕組みは簡単、箱型の風呂に水を満たして、外にある焚き口に火を焚べます。
石に火が伝わって湯が沸く仕組みです。
家ごと持って帰ってやる!そう心に決めました。
お風呂を焚きます!まずお風呂です!誰がなんと言おうとお風呂です!
風呂釜を親の仇と思うくらいきれいにします。ペットボトルの水を注ぎます、これはなくならないのです!
石鹸、シャンプー、リンスを用意します。
これもバックの中にあります、毎朝ティーナが水浴びに持って行きます。
なぜか旅行サイズです、無くなると生えてきます。焚き口に火をつけて準備完了です。
「フッフッフ、準備完了だ。後は待とう」
そういうと、僕は次の戦場に向かいます。
厨房と言う戦場へ!
今日の料理は風呂上がりにサッパリ食べられるものにしました。
いわゆる冷しゃぶです。簡単です、肉をスライスして茹で、味噌とゴマモドキを混ぜたものをかけるだけ!
野菜も用意して、さっきのタレをかけています。後はご飯と味噌汁を用意します。
そうこうしていると風呂が沸いたでしょう!
「あちっ!」
少し熱いので、水で薄めます。
ティーナには確認しました。
「一番はリューイ様が入るべきです、お背中流しましょうか?」
そう、一番風呂だ!一応ティーナには確認したが、答えは分かっていた。
これは何人も侵すことなき聖域なのだ!やっと人に戻れる。風呂こそ人間の文化なのだ!
背中を流してもらうのは丁重にお断りしました。
僕はチキンです。
僕は、服を脱ぎ捨て戦場(風呂場)に入ります。
戦場の習い、かけ湯をしました。日焼けと久しぶりの湯に少ししみましたが、それもまた心地いい。
戦場の習いは、湯船に浸かる前に洗え!です。僕は丹念に洗いました、この後ティーナも入ります!
洗い終え、風呂に浸かります。
「ふぅ〜!」
全身が弛緩します。思えばどれくらいぶりだろう、震災の前日ぶりかなぁ!
色々あって、思うこともあります。
けど、ティーナがいてくれる。あぁ、僕はティーナに救われているんだと思いました。
くつろいでいると、扉が開きました。
「やっぱり、お背中流しますね!」
振り向くと、全裸のティーナさんが視界に飛び込んできました。
四徹から回復したとはいえもう無理です。そう思った瞬間、大量の鼻血がティーナさんの足元に飛び散りました。そして、またもや僕は意識を失ったのです…。
目を覚ますと、いつもと同じ光景だった。
要は、僕を膝枕してティーナが心配そうに覗き込んでいるのだ。
僕は毛布にくるまっていた。
「リューイ様、大丈夫ですか?」
泣きそうな顔でティーナは心配そうにしていた。
「ああ、大丈夫だよ」
僕は優しく微笑んだ。ティーナは悪気があった訳じゃない、それを僕は知っている。竜人族は尊敬する人を、親愛を込めて水浴びの時に背中を流す、そう村長が話ていた。それだけ僕は慕われているという訳だ。
起き上がると、ティーナに言った。
「僕はもう少し休むよ。その間に、ティーナもお風呂に入っておいで。大丈夫だから、ティーナがお風呂から出たら、食事にしよう」
ティーナは最後まで不安そうだったが、僕が大丈夫と念押しするとお風呂に入りに行った。
ティーナといる方が僕には危険なのだ。
なぜならバスタオル一枚のティーナに膝枕されて、僕も毛布の下は全裸だ!何より息子さんが何をしでかすか分からない!とにかく気分を落ち着かせよう。
僕は服を着替えて、食事の支度をした。二人で食卓を囲むが、少し気まづい。食べ終わってそれぞれの部屋に入っていった。
「さっきはヤバかった!」
何とか理性は保ったものの、ティーナの存在を再認識した僕は、とてもティーナを愛おしく感じた。
しかし、彼女は竜人族だ。竜人族には厳しい掟があると聞いている。
マスケスの時には一方的なものなので許されると村長から聞いていたが、僕の場合は違う。
少なくとも命を救われた恩がティーナにはある。
ティーナにはティーナの人生があるんだ。特に他種族の僕は気を引き締めないといけない。
そう思いながらまどろみに落ちた。
読んで頂きありがとうございます。
次は進展があるかも…!




