ティーナの求婚?
今回はティーナ目線です。
なかなか感情の出にくいティーナの心の中を表してもらいました。
よろしくお願い致します。
「リューイ様!」
私は倒れ出したリューイ様を抱き抱えた。
なんて事でしょう、あのリューイ様が倒れたのです!私は焦りました。
心臓の音は安定、身体を見ても外傷は見当たりません。疲労による昏睡状態でしょう!
何がこれほどまでにリューイ様の心に負担をかけたのでしょうか?
もしや、迷路の奥の居場所の分からない魔物でしょうか?次出会ったら、なます切りにします!
そう言えば、夜な夜な空を見上げ、空から何かがやって来るような話をしていられました。
現れたなら叩き落とし、細切れにしなくちゃ!
まずはリューイ様を安全な場所にお連れする事が優先です。
ゆっくりお休み頂かないと!草原は見渡しが良すぎて危険です。
あの黄金色に染まる草原は背が高いので隠れるのにちょうどいいです。
茂みの中に入って、足場を作り、リューイ様を膝枕します。
どれほど時間が経ったでしょうか?
私はリューイ様と出会った頃からの事を思い出していました。
思えばリューイ様に迷惑をかけてばかりです。
初めて会ったときは、悲しそうな目をしてグリーズベアーと戦ってくれました。
グリーズベアーは本当に天敵なのです!
出会ったら逃げろと幼い頃から教えられました。
竜人族を上回る俊敏さ、更に六本の腕で捕まえます。
魔法を使おうとしたり、竜化しようと思っても、その瞬間に捕まって食べられると聞いています。
事実、逃げても、逃げても、逃げ切れませんでした。
そんな私を、傷つきながらリューイ様は助けてくれました。
村まで送ってくれたリューイ様は、それが普通だと言わんばかりに、道中、私に食事を与え、そして守ってくれました。
その時、私はリューイ様に忠誠を誓いました。
竜人族は多種族に決して忠誠を誓いません!
けど、私はリューイ様に忠誠を誓いました。ある意味、竜人族としたら異端でしょうか…。
リューイ様は村では竜人族に、種別が劣等にも関わらず、美味しい料理を振る舞ってくれました。
そんな祭りの最中、マスケスさんが私を呼び出し、
「村長には、了解を取ってある!成人の儀が終わったら俺のものだ!」
と言われました。
泣きたかったです。
それでも、勇気を振り絞って、私は拒みました。
更にマスケスさんが詰め寄って来ました。
私が困っていると、どこからかリューイ様が現れて助けてくれました。
私はお礼を言たかったのですが、頭を竜人族の掟が翳めました。
そう、成人するまでは、告白しても、されてもいけないのです!
私はお礼を言う事も忘れて、リューイ様の元から走り出しました。
恥ずかしのです、それに、もう誰とも愛し合えません!だって、成人前に告白?されたのです!
急いで村長の元に向かいます。
多分、リューイ様が作った料理があるところでしょう。
思った通り、料理場の側で、村長は酒瓶を抱えて熟睡していました。
横で、マリオンさんがお酒をちびちび飲んでました。
マリオンさんが私に気付きました。涙の跡を見て村長を起こします。
私は全てを懺悔しました。すると村長は優しく微笑み、マリオンさんは怒り出しました。
村長は私に優しく諭してくれました。
心配無いと。
しかし、マリオンさんは怒ってます。
私と村長さんがとりなし、マリオンさんは気持ちを落ち着けます。
その後もマスケスさんは言いよりました。
けど自分の気持ちに嘘はつけません。
次第にマスケスさんは私ではなく、リューイ様に悪い感情を向けていったのを覚えています。
もう私の話はマスケスさんは聞いてくれませんでした。
去る時には、濁った目を私とリューイ様に向けていました。私の責任です。
私がリューイ様を守らなければ!
マリオンさん達が去り、私は15歳を迎えました。
リューイ様は盛大に祝ってくれました。とくに、はんばーぐですか?とても美味しかったです。
最初はなぜ肉を切り刻んでいるのか分かりませんでした。
しかし食べると口の中で溶け出します。
固まりの肉の歯ごたえが好きですが、切り刻んで作るはんばーぐは、また違う味わいで納得です!
成人の儀が近てきた頃のある朝、村長に呼ばれました。
村長は、近くリューイ様が近く旅立たれると言われました。
私は一言も聞いてません、目から涙がこぼれて来ます。
「危険な旅だから、リューイ殿はおまえの身を心配して黙っていたのだろう。ついて行くかどうかはおまえ次第だな! ティーナはどうするか?」
私はもちろん着いて行くと答えました。
すると村長は、奥から布に包まれたものを取り出して、私に差し出しました。
「お前のおじいさんが、亡くなる前に私に預けたものだ。持って行くがいい」
私は布をほどきました、すると中から二振りの剣が出てきました。
おじいさんの剣です。
涙が出溢れます…。
「ありがとうございます!」
そう言うと、剣を抱いてリューイ様の元に向かいました。
家に戻り、剣を置いてリューイ様の部屋の扉を開きます。
「リューイ様、村長に聞きました! 私もついて行きます! よろしいですか…?」
私の中から鼓動の音が大きくなるのが聞こえます…。断られたら…!
リューイ様は起き上がり、私を見てはにかみながら…、
「あぁ、ティーナが良ければ僕も嬉しいよ!」
と言ってくださいました。
私の胸から更に鼓動が大きくなります!今夜は眠れるでしょうか?
成人の儀の前日、リューイ様は私に白い服を下さりました。
わんぴーすと言うそうです、とても綺麗で高価な絹が使われています!
私は白いわんぴーすを抱きしめます、とても嬉しくて涙が出そうになります!
明日、舞いが終われば成人になります。
そうしたら、このわんぴーすを着て一番にリューイ様の元へ向かいましょう。そう思いました。
翌日、成人の儀です。これが終わればリューイ様と旅立ちです。
私は思いを込めて舞い踊りました。
踊るにつれて気分が高揚します。曲が最高潮に達したとき、私の中で何かが弾けた気がしました。
気がつけば成人の儀は終わり、私のシッポは無くなっていました。
私は急いでわんぴーすに着替えて、リューイ様の元に向かいました。リューイ様は私を見ると、
「あぁ、綺麗だよ、とても綺麗だ!」
と言ってくださいました。
最後まで目を合わせなかったのは、こんなみすぼらしい娘に「綺麗」と言って下さったのです…。
よほど気を使われていたのでしょう、お世辞とはいえとても嬉しかったのです。
翌日、慣れ親しんだ村を二人で後にします。道中、リューイ様は剣の手ほどきをしてくれました。
さすがはリューイ様です、教えて頂くと、どんどん上達するのが私にも分かりました。
最初、真剣は怖かったですが…。
そして、あのライオネ渓谷です。
きっと、あの出来事が無ければ、私は自分の気持ちに気づけないままだったかもしれません。
最初は尊敬でした。
しかし、今はリューイ様がいなければ、私は生きていけない、そう思うほどの感情を抱いてしまったことに!
その後、リューイ様は自らの事を話してくださいました。
悲しい瞳の訳を知ることも出来ました。
そして、リューイ様が誰を選ぼうとも、私だけはずっとそばにいようと決心しました。
その後も二人でヒュドラを倒したり、ダンジョンを彷徨ったりしてライオネ山脈を越えました。
ライオネ山脈を越えた次の日の野営に、リューイ様はてんとという小さな家を作りました。
今日はこの中で寝るそうです。
私は念入りに水浴びをしました。
もしかすると、 … があるかもしれません。
食事をして、てんとに二人で入ります。
私の鼓動は早くなっていきます。求められても心の準備は出来ています。
しばらく話をして、横になります。
リューイ様はお休みになられたでしょうか?私はドキドキして、なかなか眠れませんでした…。
そして竜の里にたどり着いたのです。
リューイ様は私の膝の上で気持ち良さそうに寝ています。
私はドキドキしながら、リューイ様の額にキスをしました。
「竜人族での求婚の証なんですよ!
私は、私だけは、どんな道でもリューイ様について行くと誓いますね」
ティーナの…、そのささやくような言葉は、まわりをそよぐ風だけが聞いていた…。
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