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ライオネ渓谷でティーナが変態?

よろしくお願い致します。


リューイが渓谷に落ちる前まで、時は少し遡る…



魔物の口から、リューイ様に向けて火炎弾が放たれる…


それを見て、私は叫んだ!


「リューイ様あっ!」


リューイ様が渡っている葦のロープに、魔物が発した火炎弾が命中して、ロープに火がついた…


リューイ様はまだ渓谷の中央を渡った辺りだ。


私はロープを伝って助けに行こう思ったが、二人分の重みでは火のついたロープはより早く切れてしまう…


今の私には、リューイ様を信じてその場で手を伸ばすことしかできなかった…。



枯れた葦のロープに火が広がっていく、このままじゃ長く持たない!


「リューイ様、早く! 私の手を…、




残りは四分の一ぐらい。あと少しでリューイ様の手を掴める! そう思った瞬間、火で脆くなったロープが重みに耐えきれずに切れた……。





空中に投げ出されたリューイ様、私の頭の中は真っ白だ!


リューイ様と視線が重なる…。



ハッと私は我に返った!


その視線が醸し出す雰囲気に私は覚えが……



そう、初めて会った時の、あの時のリューイ様の悲しそうな瞳とそっくりなのだ……。




そう思った私は、躊躇なく渓谷に飛び込んでいた!


いてもたってもいられない、自分の命なんて関係ない! 今、リューイ様の手を掴まなければ…、きっと二度とリューイ様の手を握る事はできない…、


そんな不安が私の胸を締め付ける!




リューイ様は落ちていく…、私も落ちる! だが差は埋まらない!



リューイ様は一瞬驚いた顔をした…。


しかし、何かをつぶやくと、悲しいような、どこか安堵したような……。


そんな瞳を、ここにはいない、私ではない誰かに向けているようにも感じた…。


私の胸に、さっきより深い不安が胸を締め付ける、リューイ様いかないで……




「急がなきゃ、もっと早く!」


そう思うと、急に背中が熱くなった…。


リューイ様との距離が近づく…、これは風の魔法の力? 



竜人族は火と土の魔法は上手い! しかし、風や水の魔法は苦手だった…。


けど、そんな事はどうでもいい!


私はそう思うと、さらに早くと念じた…。





リューイ様へ虫達の顎門が迫る!




「リューイさまぁぁぁっ!」


私は、そう叫ぶとさらに加速してリューイ様に追いつこうとした!


今にも襲いかかろうとするムカデの顎門から、間一髪リューイ様を救い出す!


私はリューイ様を抱きしめて、虫たちから逃れるために、さらに加速して落ちていく…


胸の中のリューイ様と一瞬、目が合う…



もうさっきまでの悲しそうな瞳じゃない! いつも私を暖かく包んでくれる、優しい眼差しがそこにあった。


その時、私は心から安堵した。私の中から消えかけたリューイ様を、また取り戻したんだ…


しばらくして、リューイ様は意識を失った…。


「リューイ様を安全な場所に連れて行かなきゃ…」


私はリューイ様を抱きしめて、なんとか虫達の群れを突破した!


渓谷の地面が見えてきたところで減速し、空中で停止して周りを見渡した…。


虫達は上空で逃した獲物を探している。気付かれるのも時間の問題だろう…。


振り返って虫たちを見上げると、肩越しに白いものが見えた。その時、初めて自分の背中に羽が生えている事に気がついたんです…



なぜ? と一瞬思ったけど、しかしそんな事は後回しでいい…


まずはリューイ様を安全な場所に連れて行かないと!


そう思うと、私は安全な場所がないか周りを探しました。


さっきの虫の群れほどではないけど、羽を持たない虫たちが地面にはびこっているのが分かります。

 

一ヶ所だけ、半月形になっている所が見えました…。


よく見ると、そこだけ何故か虫達が避けるように、そして地面が剥き出しになってる場所が見えたんです!




「あそこだ…」


さっき撒いた虫達が、私達に気付いたのでしょう、上から雨のように襲い始めました。


確信はありませんが、半月形のあの場所なら、この虫たちから自分達を護れる気がしたんです!


私はリューイ様を抱きしめてその場所に降り立ちました!


空から虫たちが追ってきましたが、何故かその場所に着くと虫達が私達を取り囲みはしますが近寄ってきません! なぜか半月形のこの場所には虫達が

入って来ないんです? まるで透明なドームでもあるように、そこから先に虫たちが入って来れないのです!


少しすると、虫たちは去っていきました…。ここに入れないことを知っているみたいにあっさりと四方に消えていきました…



虫たちが去り、安堵した私は地面にリューイ様を優しく寝かせました。



私は膝枕して、静かに眠るリューイ様に呟きます…


「私に出来る事は、こんなことしかないのでしょうか…」


私は、あの悲しそうなリューイ様の瞳を思い出していました…


一瞬見せた寂しげで、そして全てを諦めたような瞳! そして私ではない、誰かに向けた穏やかな眼差しを…!



私は、彼はここからいなくなる事を望み、そして、在るべき場所にいつか帰ることを渇望しているのではないかと感じた…


「リューイ様、どうかお願いです…。

どうか…、どうか私を一人にしないでください…。あなたがいなくなったら…」


気がつくと、頬に涙が流れていた…




◯魔物と激闘?


「うっ、」


僕は、頭を押さえて起き上がった。


「お目覚めですか!」


ティーナが優しく微笑んでくれた。しかし、どこか寂しそうにも見える。



高所からの落下の影響で気絶していたらしい、僕の頭の中のかすみが少しづつ晴れていき、ようやく我に帰った。


「そうか…、ティーナが助けてくれたのか、ありがとう!」


そう言うとティーナはまた笑った。もう寂しそうには感じなかった。


僕は、「ここはどこなんだろう?」と聞いた。


ティーナは、僕を救い出し、虫達の群れから抜け出すと、ここを見つけたと言う。


そして、ここに降り立ったら虫達は去っていったと話してくれた。不思議な話だ!


「ともかく、安全圏か」


そういえばお腹が空いた…。


僕はどれだけ気絶していたんだろう?


「お腹が空いたね、食事にしよう…」


火を使うと匂いで虫達が寄ってくるかもしれない。


僕はアレのパンと水を取り出した。


ティーナの眼差しはパンにロックオン!


僕とパンが同時に渓谷に落ちたら、ティーナはどちらに手を差し伸べるだろう、パンかっ?



二人で分け合ってパンを食べた。


このパンは食べ切らないと次が出てこないんだ。めんどくさい設定である!



食べながら僕は話しをしだした。


言わなきゃいけない事があるからだ、ティーナに救われたんだから!



「僕はこの世界に来る前、大きな地震にあったんだその時、家族を亡くした…」


思い出したくない記憶、でもティーナには知っておいて欲しい。


「そしてこの世界に来たんだ。けど家族を失って、たまにどうでもよくなる時がある。さっきもそんな気分だった。

だけど、今はティーナに助けてもらって、またティーナに会えてとても嬉しく思うんだ。だから、改めて言う。助けてくれてありがとう…」


そう言うと、ティーナは顔をくしゃくしゃにして泣き出した……。





僕は今、この話をした事を猛烈に後悔している。


何故ならティーナは今、号泣だ。


パンをハムハムしながら号泣だ!


パンを喉に詰まらせながら号泣だ!


むせながら、ハムハム号泣だ!


泣きハムスターになっていた…



まず、僕は時を選ぶべきだったんだ……




僕はティーナの背中をさすっていた…。


「うっ、ありがとうございます。本当は私も不安でした、リューイ様がどこかに行ってしまうのではないかと。けどお気持ちを打ち明けてくれて私は嬉しいです!」


そう言うと、ティーナはとびっきりの笑顔を僕に見せてくれた。


パンは離さないけどね!


僕はティーナと、とても打ち解けた気がした。


アレのパンほどではないが…




食事を終えて、周囲の散策を始めた。


周りは岩場だらけだった。


間違っても、風の谷の女の子のように砂浜や水辺で助かる事は無かっただろう。


本当にティーナに感謝だね!




渓谷の壁沿いに進む。


急に岩場が平坦な地面に変わって、視線の先に壁ではない何かが目に止まる。


近づいていくと、壁に扉があった。高さは3メートルくらいだろうか? まるでRPGに出てくるボス戦の前にある扉のようだ。そして、その前に何か光るものが見える…



それを見つけると、ナビさんが言った。


「人為的な魔方陣を発見しました」


確かに魔方陣(オタク知識)に見える。


ナビさん曰く。それは魔物を生み出し、共食いさせ、より強力な魔物を生み出す、あってはならないものだと言った。


「蠱毒か、」


渓谷を最初に覗いた時の印象は正しかった。


蠱毒、遥かな昔にある国で生まれ、日本にも伝来されたと祖父に聞いた事がある。


壺の中に様々な虫達を入れ、共食いさせ、残った一匹を呪術の道具にすると祖父は話ていたっけ。




「どう使うんだ?」


ナビさんは答えた…。


共食いさせて生まれる負のエネルギーが、育てたい魔物の成長に使われるとの事。


「という事は、誰かが意図的に何かを育てているって事かな? ところで、この魔方陣は壊していい?」


ナビさん曰く、順序立てて壊さないと反動が来て、大爆発を引き起こすかもしれないと説明してくれた。ただ、順序立てて解除すれば良いらしく、その順序をナビさんは理解できたそうだ。


僕は、ナビさんの指示に従って、魔方陣を無効化することにした。




「ふぅっ…」


全ての作業を終えて、溜息をつく。


ティーナが汗を拭いてくれた。




「次はこの扉か!」


何かの金属でできた半楕円形の扉。


中央に蝶番が二つ、押すか引くかすれば開くだろうと思い僕は試した。



「グギギ、くそっ!」


扉を押し引きしてみるが、少し動くのだが開かない。


鍵でもあるかと探すが見つからない。もしや反対からしか開かないのか?


扉を開けようと格闘すること十数分、押しても引いても持ち上げようとしても、オープン・ザ・セサミーを唱えても開かない…


開かない扉との戦いに疲れ果てた僕を見て、ティーナが手を上げた。


「私にやらせてもらっていいですか?」


そうだ、ティーナがいる。


竜人族だし、魔法も使えるからなんとかなるかも!


「ティーナ、頼むよ!」


そう言うとティーナは扉の前に立った。





膂力か、魔法か、それともこの世界にしかない扉の開け方か? そう僕は期待すると、ティーナは蝶番に手をふれ、強く握った!


そして、蝶番を軽く横に引っぱった、なんと、扉を横にスライドさせたのだ!


半楕円形の扉は何の抵抗もなく開いていきました…。




そう、僕は失念していた、扉は横にも開くのだ…、ド○フのコントか!



現代日本でこの光景を何度も見てきた僕は、穴があったら入って自らを埋てしまいたいと思った!


「このような仕掛けもあると、おじいちゃんに聞いた事がありました!」


ティーナは優しく言ってくれたが、僕は内心愕然としていた…。


日本出身のおじいさんはもちろん知っている。


そしてティーナも知っていて、いとも簡単に開けたのだ…。


僕もお約束は知っていたのに!


僕は空を見上げた…。


今日も天気雨だ…、渓谷の中なのに!



読んで頂きありがとうございます。

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