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竜人族の成人の儀、そして村からサヨナラ?

よろしくお願い致します。






翌朝は良く晴れていた。


今日は成人の儀だ。


竜人族にとって特別な日だ!


今年、15歳になった子が受ける儀式だと聞いている。


ティーナも秋口に15歳になったので、ついに成人になる。おめでたいね!





大人たちは狩に出かけ、女子供は成人の儀の準備だに取り掛かっている。


なので、僕も未成龍? 子供達と成人の儀に向けて準備しています。


何をって? もちろん僕は料理担当です…。



女性達の手によって、広場には櫓が組み上げられています、日本で言う盆踊りの櫓のようなものかな?


年寄り達が、そこに楽器らしきものを運び込んでいってます。


全て石造りの楽器のようです、櫓ももちろん石造り!


旅から帰ったら、木造文化を広めようと心に誓いました!





成人の儀が終わったら、村人総出で宴です!


龍人族はハンパなく食べるので、僕は料理の仕込みに全力を注いでいます。


今日のメインはイノシシの骨つき唐揚げにポテトモドキフライ。


あと、石狩風鍋を石鍋(大)に作った。


とにかくコイツらは、瞬間移動しながら大量に食うんだ! 骨付き唐揚げなど公園にあるコンクリ山ぐらいのサイズになっている!





色々と、料理の仕込みを作り終わって、ようやく僕は落ち着いた。なので、成人の儀を行う場へ向かった。



櫓の周りを、成人を迎える子たちが囲んでいる。


5人か、今年は多いほうらしい。


ティーナもこちらに笑顔を向けて手を振っている。


みんな独特の衣装を着ています。


白で統一されているけど、あれって羽織りとはかま? しいて言うなら、巫女服が一番近いと思う。


全身白い衣装、ところどころに宝石? 輝く石をアクセサリーのように散りばめていた。


そう言えば、アリオンさんが言ってたっけ、龍人族はキラキラしたものが好きだって…。 龍と言うよりカラス?



村人達が集まって来た、日も沈んで辺りが闇に包まれていく…。


広場に用意された松明に、順に火が灯されていく。


成人の儀が始まるようだ…。



音楽が流れ出した。


石の楽器なのに音は澄んでいる。石の笛に石のビュート、石の太鼓はカンコン鳴っている。太鼓の造形は細かいが、あれだけは普通の石を叩いても音は変わらないのでは?


太鼓意外は澄んだ音色だ…、あのカンコンも意外と溶け込んでいる。


神楽舞を見たことがあるが、それに近い音色だと僕は思った。



その音に合わせ、ティーナ達が立ち上がり、櫓の周りを囲んで踊りだした…。


両手に鈴らしきものを持ち、時に跳ね、時にゆったりと踊る…、シャンシャンと耳を過ぎる鈴の音が小気味いい…。



見ていると、不思議な光景で神聖さを感じる。


踊りと言うより、神に捧げる舞いのようだ。


澄んだ音色と厳かな踊りは、逆に観る者の胸を熱くする。



テンポが上がる、汗と宝石に光が反射して、まるで光を纏っているように見える。


更に音色と踊りが優美に加速されていく、何色もの光が弾け合っているようだ…。




音色と踊りが最高潮に達した時、虹色の光が弾けた!



キラキラしたものがティーナ達の周りを包み込んでいき、まるでティーナ達に吸い込まれて行くように見えた。


光を吸い込んだティーナ達は、存在感が増したように感じた!


あと、なぜかシッポが消えた?


成人するとシッポは消せるようになるとティーナが言ってたっけ! でも今…?






踊りが終わり、音楽も止まった。


周りには静寂が流れる…。



僕は感動していた、それ程までに美しかったんだ。


いや、神々しいと言った方が正しいだろう…。



誰かが手を叩くと、一瞬にして喝采に変わった。


僕も夢中で拍手を送っていた。


ティーナ達は皆に一礼すると、その場を退場して行った…。





しばらくしてティーナが僕の元にやって来た。


「いかがですか?」


成人の儀を終えたティーナは、僕の贈ったワンピースを着て、その場でくるりと回って見せた。


そこにはいつもピコピコしていたシッポはもう無い…。


代わりに、神々しいまでに美しい少女、いや少女と言うのは間違っている…。


アメジストの瞳には強い光が宿り、戯けなさが宿っていた表情は凛とした顔立ちに変わっている。


なぜか、身長も伸びているような? 胸もお尻も質感が増している…。 健康的な少女から魅力的な女性に変わっていた。 この短時間で…?


僕の知らないティーナ。 目の前でクルクルと踊る素振りは幼かった頃を感じさせるが、声のトーンから、かもし出す雰囲気まで別人と思わせる……


こんなに変わるなら先に言って欲しかった…、 少女用に作ったワンピースが、ミニスカートになってます…。


とても魅力的なのだけど…、気恥ずかしくて、言葉が出てこない…。


「……あぁ、見違えたよ、とても綺麗だ…」


僕は、ようやく、それだけ言えた…。


さっきの神ががった儀式のせい? それとも目の前のティーナの変わりよう? 僕はドキドキして、それ以上言葉が続かなかった…。


「…リューイ様、ありがとうございます…。」


それでもティーナは嬉しそうに微笑んでくれたんだ…。







成人の儀は竜人族には特別なものだと聞いていた…。


しかし、これほどまで劇的に変わるとは!


その夜は、盛大に村総出で成人たちを祝った。 一人を除いて…。


「なんでこんなに忙しいんだぁ〜! あれだけ用意したカラアゲはどこいったんだぁ〜!」


ヤツら、儀式の最中につまみ食いしてカラアゲ消去しやがった!


「せっかくティーナの成人の儀だったのに、さっきのティーナの姿を思い出しながらまったりしていたかったのに…、ブツブツ…」


そして、ひたすら龍人族の為に料理を作り続ける男がそこに居ました…。


虐げられているのは僕では…?


龍人達は皆で喜び騒ぎ、そして夜は更けていった……。








成人の儀の翌日、僕とティーナは竜人族の村から旅に出ていった。


村人達総出で見送ってくれた。


かなり眠いが、成人の儀の翌日に出発すると言ったのは僕の方だから仕方がない。


「竜人族の故郷までは、とても道のりが厳しいと言われております。どうかご無事で!」


そう言うと村長は、僕とティーナにまじないらしきものをかけた。 魔法かな?



「えぇ、順調に行けば三ヵ月位で戻ると思います。その間にお願いしたものの事を頼みます!」


一つは味噌の世話、手間がかかるのだ。


もう一つも手間がかかるのだが、竜人族なら大丈夫だと思う。



「それでは行ってきます」


そう言うと僕らは村を後にした……。



「僕について来てよかったのかい?」


生まれ育った竜の村。戻るとは言ったものの、無事帰られる保障はないんだ…。


「私がリューイ様について行くと決めましたから!」


ティーナの笑みがいつもとは違う…。



昨日までの、少女らしい花のような笑顔ではなかった。


成人の儀のせいか、それとも何かあるのか、その笑みには、自分の決意と断固たる意識が見えたような気がした。 


「これも、変化なのか…」



実は、昨日ナビさんが教えてくれた。


「竜人族にとっての成人の儀とは、ただの通過儀礼ではありません。

竜人族の未成年は、シッポに生まれてきてからのエネルギーを溜め込みます。それは、子供では処理出来ない感情も含まれます。

成人の儀は、音や踊りによって自らを覚醒させ、そのシッポに溜めたエネルギーを使って自らを急成長させるのです。

外見もさることながら、精神や、中身の土台も造り変えられます」


どのように精神や中身が変わるかは、ナビさんは教えてくれなかった。


きっとティーナの変化に僕が気付いたら、ナビさんも教えてくれるのだろうけど、それはいいや!


他人に教わるより自分で気付くことに意義があると思いたいね!






僕らが村を旅立った同じ頃、マリオンさんが拠点とする魔人族の一つの領地、ディガル領の領主の元に一通の密告書が届いた…。


「迷いの森の奥地に竜人族が住む村がある」


と…、




ありがとうございます。

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