天狐族
「何これ可愛い!!キャーーー!!」
「グエッ!!」
「グボッ!!」
両手を広げた高速の幼児ミサイルが白と金の少女のお腹にぶち当たり2人を押し倒した。決して乙女が上げてはならない声と共に。
暫くフィーリアは、2人の上で抱き心地と匂いを楽しんでいた。
「「いい加減にしなさい」」
「あい、ごべんなさい」
「お姉たんたち、何処から来たの?お名前は?」
「あっちのずっと遠くにある天狐族の里からよ。お母さんと一緒にここに来たのよ」
「本当の名前は真名といって人には教えられないわ。縛られてしまうから。で、あなたは?」
「フィーはフィーリアっていうの。3才なの。よろしくなの」
「「ええっ、よろしく。」」
「じゃあ、仮の名前でよければ覚えてね。私がルーシー。こっちの妹がルーよ」
金の方がルーシー(仮)で、白の方がルー(仮)のようだ。
「フィーリアちゃん、さっきから何だか目がギラギラしてるんだけど大丈夫?」
「はあっはあっ、はっ!!あのね、うちはおにいしかいないから、お姉たんが欲しかったの。ルーたんとルーシー、お姉たんになってくれる?」
「ええ、フィーリアいえフィー、いいわよ」
「何で私は呼び捨てなのよ、まあ、いいわ」
フィーリアが2人を見てモジモジモジモジし出した。
「フィーリア、我慢しないでおしっこ行っといで」
「違うの、ルーシー。あのね、ルーの耳と尻尾を触りたい。いーい?」
「あたしじゃ無いのかーいっ」
「あっ、ルーシーでもいいよ」
「ついでかーいっ。全く失礼しちゃう」
「フィー。はい、耳ならいいよ。尻尾は大事な人の為にとっておくから駄目だよ」
「ありがと。じゃ触るね」
「はわわわっ。耳の外は短く細い毛が一杯で触ると滑らかで気持ちいいの。耳の内側は白くぽわぽわして不思議ねー。時々耳がピクピクして面白ーい」
「フィーリア、もう止めてあげて。ルーが恥ずかしがってるから」
「あーもう?ルー、ありがと」
「んっ」
「ルーシーの分は?」
「また今度ね。高いはよ」
「うーわかったー。またね」
「「またね」」
またいつかの再会を約束して3人は別れたが、彼らの生は長い。
また今度ねで10年や20年先のことだったりする。100年先でも気にしないだろう。