孤独
ハイエルフのフィーリアは孤独だ。
人族が1年で1才年を取ることを基準にすると、エルフ族は10年で1才年を取る。
ハイエルフならば20年で1才年を取る。
フィーリアが今3才ならば、彼女が生まれてから人族の世は60年経過している。つまり、同じ年の生まれなら60才。
エルフ基準だと6才。エルフの里ですら、もう年が離れてしまっている。
しかもエルフの場合、生まれてから20年位までの身体の成長は人族と変わりが無い。それ以降から肉体の劣化、老齢化が年相応にゆっくり進む。
一方でハイエルフの場合、身体の成長は年相応にしか成長しないので、見た目の格差が酷い。
人族20才の場合、エルフの見た目も20才、ハイエルフは見た目1才。
人族60才の場合、エルフの見た目も20才、ハイエルフは見た目3才。
友達なんか作りようが無い。自分だけが取り残されていく。
フィーリアはいつものようにエルフの森の中で遊んでいた。但し、あまり人目のつかない場所で1人寂しく。
手のひらを前に向けながら両手を頭の上につけて、両足を揃えて連続ジャンプ。
「ぴょん、ぴょん」
「ぴょん、ぴょん」
一休みして直ぐにまた。
「ぴょん、ぴょん」
「ぴょん、ぴょん」
「「クスクス、クスクス」」
誰かの笑い声が聞こえる。
「誰っ?!フィーのこと笑っているのは?意地悪しないで出て来て!!」
キョロキョロ周りを見渡しても木々ばかりで人影も見当たらない。
「もう意地悪。知らない」
怒って帰ろうとすると、足元の草叢から何かが飛び出して来た。
「えっ、狐?それも2匹」
目の前には白色と金色の狐が4つ足で立っている。
「さっき笑ったの狐さん達?空耳かなっ?」
フィーリアが小首を捻っていると、
「「ええっ、私達よ!!」」
「ふわーっ、狐さんが喋ったーーー!?」
「こんなことも出来るわ」
「私もね」
一瞬光り輝いたと思ったら、自分より少し大きい白い髪と金髪の少女が2本足で立っていた。
但し、人の耳より大分上にある獣耳が、後ろではふわふわの尻尾がゆらゆらと揺れていた。