0.そして季節は巡り行く
3年8組の教室は今、私以外誰もいない。
そんな私は窓から満足そうにグラウンドを眺めている。
窓の外には夏の訪れを告げる青空と、そろそろ咲きそうなあの花。
「…そしてあの二人は…」
「真昼ーっ!何やってんの、次は体育でしょ?サボろうとしないで、一緒いこ!」
勢いよく開く教室のドア。
私は思わず言葉を飲み込み、ゆっくりと窓から体を離して振り返った。
今はちょうどお昼前の明るい時間だから、教室の電気が消えている今でも相手の顔はよくわかる。
私の友達。わざわざ授業開始直前のこの時に、呼びに来てくれたのだろう。
…でも。
「…真昼という少女は疲れているようです。今日は体育ができないので、教室で待機していると言ってまし…」
「はーいはい、いいからそういうのは。ほら、グラウンドに集合。」
とっておきの私の現実逃避術はあっけなく失敗に終わり、友達に半ば無理やり連れていかれる。
(せっかくいい雰囲気だったのにな…ざーんねん。続きはまた今度、かな。)
そうして私は昼休み前の授業に仕方なぁく向かった。
ついこの前まで桜が咲いていたと思っていたのに、気が付けば暑くなり、こんな季節になっていた。
春の終わり、夏の始まり。
このジワッとする暑さの中で、私は去年のあの夏を思い出す。
超ゆっくりペースで進めていきます。
完成するかわかりませんが、これからよろしくお願いします!