一話:勇者は死にました
転生したら勇者が魔王になるというそのままのストーリーです。
小説書くの初めてなんで改行とかいろいろ間違っていると思うのでそれでもok!って方は是非見てくださいw
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仰向けに倒れてるとそこには果てしない夜空が続いている。
数多の星達とこの静寂さが自身の冒険の終わりを告げていた。
勇者としてすでに7年、時に仲間と楽しく語り合い、時に仲間を失い悲しみ、そして時には絶望の状況に立たされることもあった。
自身の正面には首のない巨大な魔王の骸が横たわり、神殿内にあった周りの装飾も先の戦闘でボロボロとなっていた。
「帰るか・・・」
そう思い立ち上がろうと、足を動かそうとする。
しかし、足は動かなかった。
正確にはそこに存在していたはずの足はなく、大量の血液が流れ出すのみであった。
身体全体を見回すとそれは酷い状態だった。
左腕はぐにゃぐにゃに骨折しており、足は何処かへすっ飛んでいて、挙げ句の果てには頭を強打した影響で大量の血が流れ出ていた。
意識があるのが不思議なような状態だった。死ぬのも時間の問題というのは目に見えていた。
『勇者よ、我を倒した褒美として何を望む?』
急に声がして驚くがすぐに安心する。
どうやら死にかけの魔王が自身に喋りかけてきたのだった。
「まだ喋れたのは驚きだな、魔王よ」
『どうやら死ぬのもまだ時間がかかりそうなのでな、そなたに最期の話し相手になってもらおうとな』
「まだそんな余裕があるとはな、流石化け物だ」
首がもげてるというのにあの魔王はどうやって話しているのか全く不思議なものだ。
「まあそんなことはよい、そなたの望みを聞きたいのだ」
望み・・・今までそこまで悔いのあることはしておらず、特に名声や地位が欲しいという訳でもない。
しかし、唯一望む物があるとすれば・・・
「俺の・・・死んだ仲間を・・・生き返らせて欲しい・・・」
これが最大の望みであり、この世界では不可能なこと。現状、この世界には死者を生き返らせることは不可能であり、成功したとしても良くてゾンビになるのがオチなのだ。
そして、今回の魔王討伐作戦において四人いたはずの仲間は全員死んでしまった。
魔王の幹部を足止めするためにたった二人で戦ったジオンとナーラ
そして追ってきた幹部を倒すために自爆魔法を使ったセルミア
最後に魔王の攻撃から俺を庇い死んだリン
その全員がかけがえのない戦友であり、家族だった。
『勇者よ、我が魔王の力でも生き返らせることは出来ないのだ、すまないな』
「そんなことできたらチートもいいとこだよ、いいんだ・・・もう・・・」
『恨んでおるか?我を』
魔王が細々と呟く。全ての元凶であり、この世界を混乱の渦に落としいれた魔王。しかし、その魔王も決して悪という存在ではないのだ。というか、むしろ悪いのは人間側である。魔王は永年、魔族を迫害してきた人間から安息の地を手に入れようとしていただけなのだ。その対立により戦争が起きただけなのである。
「こちらもすまないな、お前の仲間をたくさん殺してしまった」
『安心しろ。みな、その覚悟はできていた』
「これで平和になるな」
『恐らく魔族と人間に平和協定が結ばれるからな』
そう話していると次第に意識がとおのいていくのが感じられた。
「今度は王様にでもなってゆっくり暮らしたいな・・・」
そう呟くと目の前が真っ暗になり微かに魔王の声が聞こえてきた。
『その願い聞き入れた。勇者、お前は良く頑張った。感謝する。』
そう聞こえると全身の感覚がなくなり、意識が途絶えた。
【勇者ケイル・クラテフは死にました】