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ぼくゴブリン、召喚士になる1

落書きのようなものなので、文章力には自信がないです。温かい目で見守ってください。

いつからだろうか。何かがおかしい。


怖くて目が開けられないが、確実に自分の周りで異常が起きていることだけは明白だった。


背中ににごわごわとした感覚。違和感。ごつごつとした石のような突起が布団を通して伝わってくる。


風も直に伝わってくる。すぅーと肌寒い冷風が顔をなで吹き抜けていく。家の中にいたはずなのに窓がないかのよう。


極めつけは自然界独特の土のにおい。しかもすぐ近く。下手すれば穴から出てきたミミズが鼻の中に入ってくるんじゃないかという距離に土を感じる。


まぶたの裏側は薄く明るい。もう朝なのだろうか。


いや、それにしても・・・


ぜったいここ外だ。やばすぎ。まじ。


昨日の夜『心霊体験特番』なんてものを見たからこんなおかしな体験をしてるのか。意味がわからない。夢なら早く覚めてくれ。


額や脇には妙な冷や汗。


霊に取り憑かれてるんじゃないだろうな。そういえば昨日のテレビでは『幽体離脱』というものが紹介されていた。幽体離脱とやらをしてしまったのではないだろうか。それとも『明晰夢』ってやつかもしれない。


明晰夢なら脳が作り出した意識のある夢に過ぎない。怖くない。


とにかくまずは目を開ける勇気。怖いけど勇気を出して目を開けることにした。


パッ。


「あれ?」


目を開いた先には闇色に染まった空が広がっていた。星はない。だが真っ暗でもない。空が遠い。まるで地球じゃないかのよう。


顔のすぐ横には、やはりというか、でこぼこした荒れた地面が布団の下一面にましましていた。ところどころ地割れのような跡もある。他には何もない。地平線が見える。ぼくひとりぼっち。


「え?なんで?なんでだよなんで。え?あれ?どゆこと?は?」


もしかしたらとは思っていても、実際を目の当たりにし口をついて出るのは疑問符ばかり。


上半身だけ起こし辺りをきょろきょろと見回す。きょろ充とはこのことだろう。しかもなんか手が緑色だし、足も緑色だし、体も緑色だし、あそこも緑色だし、顔もふぁーーーーーっ!!!!!?


自分もおかしかった。実際に目で見ることは出来ないが、手でだいたいの輪郭は分かる。額には角のような小さな突起が二本出ていて、目も鼻も口もおかしい、腹もぼこっと出てる。手足も短い。化け物みたいだ。そう、まるでゴブリン。


自然の恐怖が、危機が、自分の身近に迫っているのを感じた。


「は?ふぁ?!」


驚きの言葉しか出てこない。ここは紛れもなく夢の世界なんかではないと直感で理解したからだった。


「あ゛あ゛ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!」


奇声。絶望。甲高い裏声が孤独な世界に響く。キーボードクラッシャー。例えるならそれが適切だった。


空を見上げて発狂した。していた。うなだれる。


もうやだ死にたい。


ぼくは毛布をかぶって丸まった。毛布の中で暴れまくる。


うぐあぐおふぉごあぐあぎげごどあぎぎぎぎぎぎぎぎぎいいいいいいいいいいぃぃぃぃ!


普段使わない足で布団や毛布を蹴りまくった。


どうしようもない事柄から行き着く先は現実逃避。


ふざけるなよ。早く家に帰せよ。どうしてぼくなんだよ。他のやつじゃだめなのかよ。


なんでぼくばっかりこんな目に遭わなきゃならないんだ。いつもいつもいつもいつもいつも!!!!!!




ーーーーーーーーーーーーーー


しばらく時間が経ち、少し落ち着きを取り戻した。


黒歴史。人には忘れたい過去というものがある。さっきは取り乱しすぎてしまった。


布団の上に寝転んで思案にふける。


やはり元の世界には帰れないらしい。


そうなると、元の世界から自分は消えているのだろうか。家族が帰ってくるまでには帰れるのだろうか。

帰れなかったら親は捜索願を出すのだろうか。それだけはいやだ。それにぼくの部屋を漁られた日には・・・


発狂しそうになる。なんとかこらえる。


「はぁーーーーーーーー」


深くため息をつく。頭をあげる。


どうにか現実を見つめようと周りをもう一度よく見回してみた。


すると先ほどはなかったような場所に杖が落ちていた。見落としていたのかもしれない。


なんだこれ。


ぼくはよちよち歩きでその場所まで行き、杖を手に取った。


手にじんわりと馴染む太さ。長さもちょうどいい。杖の先端には淡い紫色のまが玉のようなものがついていた。


まが玉に触れようとした瞬間、ぼくの頭の中にふっといくつもの情報が入り込んできた。


『召喚杖』『魔界』『城』『魔物』『育成』



脳裏に浮かぶキーワードから情報が入り乱れて分岐し、その内容が次々に理解できていく。


すご、なんだこれ。頭頂から足のつま先まで新緑の森に流れる滝を浴びたみたいだ。ぶわーってきた。でも内容が超こわい。


数分すると、滝と一体化したような感覚はなくなった。そして内容も普通にあり得ないが、一応理解はできた。


内容をまとめると、正直アホくさいがどうやらぼくは『異世界』、しかも『魔界』に来てしまったらしい。なぜそれがぼくなのか杖のヤツは曖昧にしやがったが、杖の名は『召喚杖』という、魔力のないゴブリンでも(変なこと思い出させやがって)召喚魔法が使える杖らしかった。

そしてぼくは『召喚士』として魔物を召喚し、魔物を育成しなくちゃならないらしい。ふざけんな!

しかも魔物を増やしてぼくが『魔王』になるとかなれとか、もっとふざけんな!!


どうせなら冒険者とか勇者ならよかったのに。それならこんな薄暗くて気味の悪いところいなくて済むのに。明るい希望を持てたのに。


魔界って・・・。


でも少し安堵。なにもわからないままここに放り出されるよりこの召喚杖のおかげで身を守る術を得たのだ。魔王云々は置いておくとして、当面は召喚杖を試す方向で現実逃避できそうだった。







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