第三話「KOURINN!」
ピンのすけ「頼むぞ“戦きの弾丸Mk-2”!!!」
ごむこ「負けないわよ!“災いのA”!!!」
厨二全開のネーミングセンスを天下に晒しつつ、ピンのすけ達の部活は始まった。
ピンのすけとごむこが消しゴムを取り出してもはじきが取り出すのはやはり菓子パンだ。
はじき「もぐもぐ…」
ピンのすけ「勝った!先攻は俺だァ!」
ごむこ「くっ…」
ピンのすけ「“ピンのすけロケット”ォ!!!」バシュゥゥゥ
ごむこ「きゃあ!…やったわね、“エリダヌス座流星群”!!!」バチィィィ
消しゴムをただただ弾きあう、シンプルかつ何の面白味も無い戦いが始まった。
2つを1つにくっつけあわせた机の上で、ただの白いゴムが飛び交う。
はじきはやはり菓子パンを頬張っている。
はじき「もぐもぐ…」
ピンのすけ「オウリャッ!!!」
ごむこ「セイヤッ!!!」
へんちくりんなかけ声で消しゴムを弾くピンのすけとごむこ。
それを眺めながら菓子パンを食うはじき。
はじきは菓子パンの、最後のひと欠片を飲み込むと、おもむろに立ち上がって試合が行われている机へ歩み寄った。
そして…
/ \ l l ーーーー |
/ \ |
/ \ /
/ \ ____/
ピンのすけ「」
ごむこ「」
机を目一杯ぶっ叩いた。
驚きのあまりピンのすけとごむこは硬直している。
はじき「足りないんだよ」
ピンのすけ「はっ?」
ごむこ「え?」
はじき「速さも威力も戦術も美しさも…何もかもが」
言いながらはじきは胸ポケットから消しゴムを取り出した。
消しゴム自体はピンのすけらの物とそう相違は無いはずだが、何故か二人にははじきの消しゴムだけが自分等の物と違って美しく、輝いているように見えた。
そして、はじきは、その消しゴムを左手に乗せ、右手をOKサインにして人差し指を消しゴムの後ろまで持っていくと…
はじき「足りない」バチン!!!
グォンと、空を切る音がその瞬間はっきりと聞こえた。
はじきの弾いた消しゴムは、まるで流星のように目映い光をまとい、弾丸の如し速さで二人の間を掠める。
その光景、まさに「光輪」。
光の声と化した消しゴムは窓ガラスを突き抜け、校庭へ突き進む。
そしてその校庭すらも突き抜け、ずっと南方の山にぶつかり、爆発した。
山から炎があがる。
二人はただただその非現実的な光景を眺めて口を開けるだけだった。