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村娘が村人達とぬるーくダンジョン経営  作者: ムムのミニ神
二章 ダンジョン準備
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行方不明

 任せとけとあれだけ自信満々だったのに、見るからに不評だった腹の顔にツトの足の裏がめり込んだ頃、ムム達は危機的状況に陥っていた。


「どうなってるの!?」

「俺はなんもしてねぇからな!」

「くっ、マカ様……!」


 三様に慌てている三人。

 そう、慌てているのは三人だけ。

 この場にはムム、ジョン、サーソの三人しかいなかった。


 悪魔を蹴散らし進んでいるうちにはぐれてしまったらしい。

 気付いたムムとサーソはすぐ戻ることにした。


 ジョンだけは先へ進むべきと主張したが却下である。それなら、と一人で進もうとしたのでムムは腕を引っ付かんで引きずるように戻ることにした。

 理不尽に強引なのは嫌いじゃない、と、気持ち悪く顔を赤らめていたがそこは無視した。


「テン達、大丈夫かな……」


 こんな危険な場所であの三人は無事でいられるのか。

 心配で心配でしょうがなかった。ムムは襲い来る悪魔の顔面へ適当なパンチをくらわせながら、顔を曇らせる。

 サーソも焦っているようで、剣筋が荒くなっていた。


 結局、出発地点まで戻って探したが三人を発見できなかった。

 最悪の予感が頭をよぎる。


「まさか皆……」

「言うな、ムム」

「よし、先へ進むか」


 空気が読めないクズことジョンである。


「そもそもなぁ、あいつらははぐれるようなタイプか? 拐われたんじゃないのか?」

「あ、たしかに……」


 あり得る話だ。

 地のダンジョンマスターであるチャクマは女が好きそうであるし、テンのことも気に入っているフシがあった。ここぞとばかりに拐っても不思議じゃない。


 そもそも一本道なのでそれしかあり得ないだろう。

 ようやく気付いたムムはさらに顔を青ざめさせた。


「三人とも違う意味で危ない!」

「まさかマカ様の貞操の危機なのか!?」


 ここからムム達の快進撃が始まった。

 ジョンが引くぐらいのパワーアップを果たした二人が次から次へとやってくる悪魔を捻っていく。


「あらぁん、小娘達じゃない。死にさらせぇっ!」

「うるさーい!」


 青髭のオネエ悪魔もワンパンだ。


「ウホホーッ」

「邪魔するな」


 ウウに似ている厳つい筋肉悪魔も真っ二つ。


「俺も戦いたいんだけどな……」


 ぼやくダンジョンの天敵を尻目にばっさばさの無双。愛や正義の心は悪魔をものともしない。


 だが、それは長く続かなかった。奇妙な相手が現れたのだ。


「おるぅああああ! あれ?」

「てぇぇぇぇぇい! なっ!?」


 あれだけ絶好調だった二人が攻撃を外した。いや、華麗なステップで回避されたと言ったほうが正しいだろう。

 それだけならまだ強い相手だったと納得ができる。

 二人が戸惑った理由はその先にあった。


 それは姿だ。シルエットは、人間に黒き羽やら尻尾やらを生やしたスタンダードなもの。


 そして全裸だった。

 そしてツルツルだった。


 服を着てないハゲた悪魔。

 それだけならば単なる変質者だ。嫌悪感を露にし、より真剣にボコれたことだろう。


 しかし、顔から何からツルツルであったらどうか。性の象徴もなく、お尻も割れておらず、のっぺらぼう。

 さらに、そんなコミカルな見た目に反して強さが本物だったなら。


「なんなのこの悪魔!?」

「早いぞ!?」


 ムムもサーソも翻弄されるばかり。完全に勢いを失ってしまっていた。


 なんとか打開しようと奮闘するものの、ツルツル悪魔もどきは死角に滑り込んだ。そのツルツル真ん丸な拳は風を切り、二人を打ち付けようとし、


「情けねーなぁ」


 ジョンに弾かれた。


「ま、マスターゴーレムだし、仕方なくもあるけどよ」

「マスターゴーレム?」


 何それ、と、首をかしげるムムにジョンは半笑いでバカにした。


「お前、ダンジョンマスターの癖に知らないのかよ。まぁ、そういうダメダメなところがお前の魅力でもあるわけだが」

「誉められると照れるよー」

「誉められてないだろ」

「いいや、誉めたぞ」

「え」


 サーソには理解できない領域である。


「まぁ、いいや。マスターゴーレムってのはな、ダンジョンに一体しかいない――」


 ジョンは不意をついてきたマスターゴーレムの攻撃をかわし、逆にカウンターを刺し込みながら叫んだ。


「ダンジョンマスターが操るゴーレムだ! つまり、最強のザコ敵だな!」


 そのまま蹴っ飛ばして距離をとる。


「やっるー!」

「お前ら先に行けよ」


 ぶっきらぼうに言うジョンであるが、ほのかに頬を弛めていた。

 男の約束で結婚を諦めたからと言ってもまだ好きなのだ。誉められたら嬉しいのである。


 そんな気持ちを隠そうとしてか、いつもより大振りで短槍を振るっていく。


「ほら、さっさと行け」

「いや、私とムムと三人がかりで攻めた方が――」

「足手まといだから、あいつら探しに行けっつってんだよ! 必殺技使うから邪魔だ!」


 サーソもジョンとの実力差は重々承知している。本気を出すのに邪魔だと言われてしまえば「わかった」と言うしかない。


「死ぬなよ」

「そっちこそ」


 サーソは背を向けて走り出した。

 ムムは最初の行けよの段階で素直に置き去りにしていたのでジョン一人がマスターゴーレムと相対している。


「さぁ、ダンジョンマスターさんよ、俺の不可避な必殺技を見せてやる。喰らえ――」


 ――千仙華(せんせんか)。


 華々しい乱れ突きを見て、マスターゴーレムを操っているチャクマは思った。


 こいつ、そればっかだな、と。

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