Letter1
あの、ごめん。
なんか本当にごめん。
まさかこんな事になるだなんて、俺、ちっとも思ってなくて。
……というか、あれだよな。こんな風に俺が考えなしなところに、多分あんたは怒っているんだろ?
て事はこの手紙は逆効果になるかもしれない……むしろそれ以外の何物でもないんだろうけど……ごめん、それでも書く。書きたいんだ。自分がまだ母国語を忘れていないって感じられるだけで嬉しい。そして書いたものを読んでくれる相手がいるっていうのも幸せだ。自分のしでかした事を思いっきり棚にあげて発言しちゃうけど、あんたが、俺とほぼ同時代の、しかも同世代の日本人だったって……そんな天文学的な確率に感謝せずにはいられないんだ。
まあ、それもこれも、あんたがこの手紙を読まずにゴミ箱に突っ込んでいなければ、の話なんだけど。
……いや、俺、それでも書くだろうな。
数年ぶり──あれ、何年だっけ? 五年? 六年? ──に同郷の人間に会えて物凄く舞い上がっているから。
完全に自己満足の世界だわ、ごめんな。
それで、結局のところ、俺が何を言いたいのかっていうと。
俺が、あんたを元の場所に帰すから。
絶対に、どうにかするから。
──ってこと。
訳分かんない世界に無理矢理召喚ばれて、色々な人からごちゃごちゃ言われて。戸惑うよな? 混乱するよな? 俺にも覚えがあるから分かる。
きっと今あんたは、『ここにいる奴ら、誰も信じらんねー!』って思ってるかもしれないけど。
元凶である俺の事なんか、敵としか思えないかもしれないけど。
そういうの取っ払って、ひとまず俺の言葉を信じてみちゃくれないか。うん。絶対に損はさせない。あんたがそうしたいなら、ずっとその部屋に閉じ籠っていたっていい。他の奴らに手出しはさせないし、あんたを利用させたりもしない。ここにいる間のあんたの面倒は、俺が責任持ってみるからさ。
だから、お願いします。
メシだけは食って下さい。
毒は入ってないです。賄いのおばちゃんに教わって、俺が作りました。形が歪なのはその所為です、ごめん。
味は割とイケると思うんだ。この穀物はコメに似ていると思う。だから、なんちゃって米と命名。ほら、おにぎりみたいだろ?
梅干しの方も激似じゃね? 最初に見つけた時、俺、手が震えたもん。この実はさ、加工してこうなってるんじゃなくて、自然に成っている時点でこうなんだぜ。こっちの人らは酸っぱ過ぎると言ってあまり好んでは食べないので、俺のほぼ独占状態。あんたが気に入ったらまた取ってくるよ。任せてくれ。
だから──つまり──ええと──……
もし良かったら、お返事下さい。この手紙の裏にでもいいんで。
あ、そうそう、肝心な事を書くの忘れてた。
俺の名前はシン。多分本名。日本人。苗字は忘れた、ごめん。
あんたの名前が知りたい。
◆◆◆Re:
ごめんが多すぎ。
梅干しは似てると思う。
あたしはシャケの方が好きだけど。
さくら (←あたしの名前)




