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Letters  作者: ひめきち
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1/10

Letter1

 あの、ごめん。

 なんか本当にごめん。

 まさかこんな事になるだなんて、俺、ちっとも思ってなくて。


 ……というか、あれだよな。こんな風に俺が考えなしなところに、多分あんたは怒っているんだろ?

 て事はこの手紙は逆効果になるかもしれない……むしろそれ以外の何物でもないんだろうけど……ごめん、それでも書く。書きたいんだ。自分がまだ母国語を忘れていないって感じられるだけで嬉しい。そして書いたものを読んでくれる相手がいるっていうのも幸せだ。自分のしでかした事を思いっきり棚にあげて発言しちゃうけど、あんたが、俺とほぼ同時代の、しかも同世代の日本人だったって……そんな天文学的な確率に感謝せずにはいられないんだ。

 まあ、それもこれも、あんたがこの手紙を読まずにゴミ箱に突っ込んでいなければ、の話なんだけど。


 ……いや、俺、それでも書くだろうな。

 数年ぶり──あれ、何年だっけ? 五年? 六年? ──に同郷の人間に会えて物凄く舞い上がっているから。

 完全に自己満足の世界だわ、ごめんな。


 それで、結局のところ、俺が何を言いたいのかっていうと。



 俺が、あんたを元の場所に帰すから。

 絶対に、どうにかするから。


 ──ってこと。



 訳分かんない世界に無理矢理召喚ばれて、色々な人からごちゃごちゃ言われて。戸惑うよな? 混乱するよな? 俺にも覚えがあるから分かる。

 きっと今あんたは、『ここにいる奴ら、誰も信じらんねー!』って思ってるかもしれないけど。

 元凶である俺の事なんか、敵としか思えないかもしれないけど。

 そういうの取っ払って、ひとまず俺の言葉を信じてみちゃくれないか。うん。絶対に損はさせない。あんたがそうしたいなら、ずっとその部屋に閉じ籠っていたっていい。他の奴らに手出しはさせないし、あんたを利用させたりもしない。ここにいる間のあんたの面倒は、俺が責任持ってみるからさ。





 だから、お願いします。

 メシだけは食って下さい。

 毒は入ってないです。賄いのおばちゃんに教わって、俺が作りました。形が歪なのはその所為です、ごめん。





 味は割とイケると思うんだ。この穀物はコメに似ていると思う。だから、なんちゃってまいと命名。ほら、おにぎりみたいだろ?

 梅干しの方も激似じゃね? 最初に見つけた時、俺、手が震えたもん。このはさ、加工してこうなってるんじゃなくて、自然に成っている時点でこうなんだぜ。こっちの人らはっぱ過ぎると言ってあまり好んでは食べないので、俺のほぼ独占状態。あんたが気に入ったらまた取ってくるよ。任せてくれ。




 だから──つまり──ええと──……


 もし良かったら、お返事下さい。この手紙の裏にでもいいんで。


 あ、そうそう、肝心な事を書くの忘れてた。

 俺の名前はシン。多分本名。日本人。苗字は忘れた、ごめん。

 あんたの名前が知りたい。










◆◆◆Re:




 ごめんが多すぎ。





 梅干しは似てると思う。

 あたしはシャケの方が好きだけど。



 さくら (←あたしの名前)

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