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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

お茶会シリーズ

神様とお茶会を 2

作者: 空未ことり

もう一度警告します。

これを読む前に「神様とお茶会を」を読んでください。

人物が分からなくなります。

「くっそ。何で異世界トリップで恋愛が始まるのか教えてもらいたい。んなもんねぇだろ!!現実を考えろ!!現実で恋人のいない人が何で異世界で恋人を作ったりできるのかずっと前から思ってたんだよ!!」

「よかったね。検証ができて。自分の身で体感中だね」

「…………」


 異世界から帰ることができないまま時間だけが過ぎていきます。どうすんの?もう関数グラフはあきらめるとしても、学校の先生、絶対に困ってるよね?警察沙汰だよね?!誘拐事件だ!!数学兼理科研究部全員が行方不明に…!!的な感じかな?


「と、言うより何で私はお留守番なんですか?」

「…それは俺も聞きたい。非戦闘員のお前には分からないだろうけどな」


 で、隣にいるのは城ノ内だ。え?何でかって?そんな理由は簡単だろう?非戦闘員だからだよ!!何で分かってるのに言うんだ!!人の傷口を抉るな!!そこに、塩を塗るでない!!痛いから!!塩を塗っていい傷は汗疹だけなんだよ?!知ってた?(うろ覚え。絶対に確信がないとやったら駄目だからね?!)

 で、城ノ内の理由は「弓が使えないけど、どすんの?こいつ」「使えないみたいだからお留守番で良いんじゃね?穂高もいるし」みたいな謎の会話があってかーらーの、置いてけぼりです。酷いよね。

 何で私がいるからっていいの?!非、本当に非・戦闘員だよ?!戦えないんだよ?!私のできることは血小板の力を使って人の傷口を塞いであげることだけなんだ!!心の傷口以外を!!

 心の傷口を治せるのなら、何度私は魔法を使っているのだろう。


「穂高。暇。ちょっと、ジャーマンスープレックスさせて?」

「それは私を殺すために使うのかな?え?何で乗り気なのかな?本当に死ぬんだけど。この前の部長の羽交い絞め並みに酷くない?あれは酷かったんだよ?女子に対して何やってんのかな?あの人」

「お前を女子だとみなす部活の部員はソラだけだろ。ただの理数馬鹿。数式を美化しすぎて擬人化まで作りやがって。だいたい、何であんなに一次方程式がイケメンなんだ?」

「…あいつは俺の嫁だ(キリッ)」

「あ、そう?本当に男だったんだな?」

「あ、嘘です。嫁なんかではありません。一次方程式には二次方程式、と言う年下の恋人がいるので。私はそんな二人を応援すべく現れた、数学検定を一級所持者の内の一名です

「…それは、絶対に先生と八月さんが入ってるよな?」


 まあ、その通りなんだけどね?あの二人の美的センスは最高だと私は思うんだ。絶対にあの二人を超える人なんていない。学校内には!!


「でも、俺としてはそんな二人と会話できる穂高もすごいんだが…」

「先生には負ける。あのお方は最強。ラスボスレベル。いったい、いつになればあのお方にたどり着けることか…」


 一つ数字を見つけるたびにその数字を計算し始めて素数か素数ではないかを考え始めるんだもん。そのくらいなら私でもするけれど、そこから色々と発展するから怖い。

 あれなんだ。ゴールドバハの予想を結構なまでに解いたお方だよ?

 ちなみに、説明。ゴールドバッハの予想は、加法的整数論の未解決問題の一つで、「全ての 2 よりも大きな偶数は二つの素数の和として表すことができる」という予想。この予想は、4×10の18乗 まで成立することが証明されていて、一般に正しいと想定されているけど、多くの努力にもかかわらず未だに証明されていない問題。

 つまりですな、4だと2+2、6だと3+3、8の場合だと、3+5じゃん?2は偶数だけど素数なんだ。覚えておくといいよ。

 すごくない?4×10の18乗は4000000000000000000くらい。このあたりまでは分かってるってさー。怖いよね。


「あれだな。別格だ」

「とても怖い。だってあれだよ?先生、素数を十万のあたりまでは丸暗記してるって言ってたしさぁ…私でも一万程度だよ?」

「それはそれで怖い」


 駄目だ。数学の話になるとついつい調子に乗り始める。まあ、本当の話なんですけどね?


「あ、そういえばちょっとだけ気になってたんだけどさ、何で穂高だけはあだ名が無いんだ?俺なんか城に掛けられてシロだからな?それに、誰のこともあだ名で呼ばないし…」

「…そうだね。うん。みんなのことを確かにあだ名では呼ばないし私だけ本名だね。そうやって呼び合える人が羨ましいって思うよ」

「なら、どうしてそうしないんだ?同じ部員のくせに」

「…………」


 私は、何も言わずに黙った。昔は、クラスの中でもみんなから好かれるタイプの人間だった。そうだ。もう、思い出したくも無いんだ。あんなことなんて。


「穂高?」

「…色々と、あるんだよ。城ノ内は私とは中学からだったよね?…みんなは高校からだ。知らなくてもいいことがあるんだよ。ごめん。知って欲しくはないかな。今のところは、ね」


 心の深い場所…暗闇の位置にそれを返しておく。これ以上、自分で自分を責めないように。


「な、何かごめん…」

「別にいいんだよ。城ノ内は知らなかったことじゃん。私の小学校時代の話しだし。聞くと、もれなくロリコン+変態と言うとてもいい称号が手に入るところだったんだから感謝してくれたまえ。もちろん。強引に私に喋らそうとすると全力でお前を死に追いやってやる。今後、一切の魔法は使わないから」

「…お、おう。とても酷いですね。一番最悪の称号が手に入る寸前だったなんて。一応言っておくけど、お前の小学校時代がどうであれ、俺は小さい子供は好きじゃあないからな?あと、変態でもなんでもない。昔の話を聞くだけでロリコン認識は完全におかしいよな?それなら、一体何人の人がロリコン扱いになるんだ?」


 すごい反論。冗談のつもりで言っただけなのに…。そ、そんなに否定をするものなんだ。


「それはいいんだけど、皆様、遅くないです?」

「遅くないことなんてないです」

「ちょっと様子を見てみないと危ない予感、します?」

「しますね。ちょっとだけでも行ってみましょう」


 城ノ内が準備を始めた。とは言っても弓矢を持つだけだ。そして、私は杖を持っていく。

 最近、お金も溜まって、色々な道具もそろってきたので、武器をグレードアップさせていた。竜の鱗なんかを使えばできるみたい。アレだ。モ○ハン見たいな感じだ。弓矢はドラゴンを模ってるし、私の杖は回復魔法の効果が上がるピンク色をした玉が組み込まれた。

 服は、学生服が何故かしら防御力が高かった。一回破けてもすぐに元通りになる。まあ、それだけではいけないので魔力効果が上がる指輪をしたり、首飾りやブローチ、髪留めとかもしてる。グローブもあったかな?


「よし。行こう」

「ほいほい。魔力値は現在最高なので近くまで行ってみましょう。…誰かが怪我をしていると大変なので少しだけ徒歩です」

「りょう」


 私は杖を地面に付く。カツン、といい音が鳴り響いた。城ノ内は私の肩を掴む。たったそれだけの行為で『転移』ができる。二人同時は魔法を掛ける範囲も広くなるので魔力の消費が激しい。それでも、最近は耐えられるようになってきた。

 実を言うと、杖は魔力の消費を減らしてくれるみたいなんだよ。本当は杖を使わなくても魔法は使えるけど、まだまだ魔力の少ない私は使わないといけないんだー。ファイトー。一発ー!!

 で、移動してみたんです。平原の寸前まで。で、そこに修羅場が待っていたんです。


「あーれは何でーしょう?」

「…完全に大ピンチ。ソラ、サクラ。半泣き。ケンさんも剣を取られてるしな」

「あれだね。ピンチのときに助けが来る、という少年漫画でありがちなシチュエーションだね。「ヒーローは遅れてやってくる!!」的な」

「あー。あるある」


 その状況に私がいるわけなんですけどね?非戦闘員が。非・戦闘員が!!文句があるのなら何とでも言え!!そうだ!!私は戦えないんだ!!神様の力を使わない限りは!!


「で、どうするよ」

「助ける。私が全力で蔓で押さえるからその間に救出。で、弓矢で一発お願いいたします」


 私は杖を構える。城ノ内は走る構えを見せた。すると、私の頭の上に何かが乗る。


「重っい!!」

『ったく!!来るのが遅せぇんだよ!!あいつら、奴隷商人に捕まったんだぜ?!売られるぞ?!いいのかよ!!』

「駄目だから止める!!……あっ!!」


 鷹が私の頭を止まり木代わりに使っているようだった。杖の方に促すと、杖に移る。これをそろそろ覚えてもらいたいところだ。

 その間に私はみんなが捕まっている縄を見た。そこにあったのは魔力痕。それも、真新しい。いや。現在進行形で使われているようだった。


「城ノ内。予定変更。私は蔓で押さえる。そのまま、商人を全力で脅して。そうしないと、みんなの命もろとも危ない」

「?…お、おう」


 私が真剣に言ったからなのだろうか。城ノ内は頷いた。鷹は私のほうを見て、少しだけ頷いていた。


「蔦よ。神、フロラの名において。汝の力を使いてかの者の力を封じよ」


 手を地面に置く。自然の力に、そうやって呼びかけた。その瞬間に、蔦が奴隷商人の周りを囲う。スルスルと腕や足を絡めとり、動きを止めているようだった。その隙に私はみんなの方に、城ノ内は矢を構えて、商人を脅しているようだった。


「っ大丈夫ですか?!」

「うわああああ!!沙希先輩!!助けてくださいーー!!」

「うん。分かってるけどちょっと待って?部長で試さないといけないから」

「…何で俺なんだよ。そんな時に」

「え?女の子を傷つけるつもりなんですか?涼也君は女子力満載だから無理ですよね?部長という責任も持っているんですから。それに、死にかけても私が何とかしますし」

「…死活問題」


 私はそれ以上は言わずに縄を見る。ソーッと触り、そこまでなら何の効果も無いことを確かめた。後ろ手で、すぐにははずせない仕組みになっているようだった。


「………………」


 神経を集中させる。これを失敗させれば、部長だけではなく、私や隣にいる副部長でさえ、被害を受けるだろう。誰かを殺すようなまねはしたくない。全神経を注いだ。

 どこかに魔力の繋ぎ目があるはずなんだ。この縄本来が持つ魔力と、縄に仕掛けた、強力なトラップの別々の魔力が。どこからが縄で、どこからがトラップなのか、一切分からないけれども、やってみるしかない。

 魔力を見ることは私たち魔法使いには容易いことだ。その人その人により、合う魔法は変わってくるけれども、大体水や氷などを使う人は寒色系。炎や風などを使う人は暖色系だ。私のような支援系は白色や薄い色が多い。魔力の大きさは雰囲気で何となく分かる。

 縄の場合は無色なはずだ。トラップは、爆風。つまり暖色系。だから、何も無い空間の中で赤い色と何も繋がっていないところを探し出して、魔法を解除してみればいい。


「……分かってるのか?」

「大丈夫です。どんなトラップかは遠くから見て分かってましたから」


 副部長の声を右から左へ受け流す。この意味を考えていると見失ってしまうから。一度見失うと、もう一度思い出すために時間がかかってしまう。


「…あった」


 私は魔力の空間の中でようやく見つけた。そこに、無害な私の魔力を流し込む。それだけの作業でいい。

 二つが完全に切断されたところで、私は意識を戻した。


 そうして、最初に部長のを外す。よかったよかった。大丈夫そうだ。で、コツを掴んだので他の人のも全力でやっていく。そして、その縄に副部長に強力な氷魔法のトラップをつけてもらって、奴隷商人の手を後ろ手で組む。


「お、お前!!町のやつが言ってた魔法使いの花屋か!!」

「…百花繚乱を使ったからかな?別に花屋をやっているわけではないんですが?確かに高く売れそうだけどもね。魔法も使ってないし」


 神様が作った花。…正確には、神様の力を使った人間が作り出した花。欲しい人ー。種も仕掛けもアリアリです。それでお値段、なんと百円でございます!!送料は無料。ぜひ、お試しください!!

 なーんちゃって。


「で、やっぱり皆さんが奴隷として売れやすいって?」

「…当たり前だろうが!!特にそこにいる女は絶対に高く売れる!男だって重労働できそうなやつばっかだし、そこの女っぽいのもそれなりの人に売れるんだよ!!」

「同性愛者?」

「…譲ちゃんも高く売れそうだな。まあ、この状況だからそんなことはしないけどな」

「花屋として?絶対にあの子の方が高く売れる。そんな自身はある。私にできることと言ったら花を出して「これは種も仕掛けも無い手品なんです!!」って言いながらお偉いさんに殴られることぐらいになりうるかな」


 全力で拒否。うん、予想が付いたね。何してんだろう。


「そんなんじゃあねえよ。お前さんの年頃になると他の売れ方があるんだよ。知ってるか?」

「えっとね…何となくは理解したかな?でもさ、そんなことに私たちが使えると思うかい?絶対に使えないよね?特に私は」


 そうして、全力で否定をするのであった。


「だってあれだよ?この子を使ったら全力で狼を呼び出して主人を殺すだろうし、他の人も強いしね。特に、あの女の子っぽい人は。職業が暗殺者アサシンだし。無理でしょ。一撃だよ?…自分だってさっきみたいに蔦を使えば…。回復魔法以外にも色々とできるはずだしね……」

「おーい。心の声が完全に漏れてるからなー?非・戦闘員さん?」

「死ね。一回爆発させて殺せばよかった。非・リア充で、一度「彼女いるしー」とか嘘をついていた。年齢=彼女いない歴の部長さーん」

「…お前が死ね」

「死んだら一生このパーティーには支援系がいなくなりますね。それに、犯罪!!」

「お前もだろうが!!」


 あ、ばれた。とりあえずショボンの顔文字のようになっておく。深い意味など無い!!罪悪感を味わっておけ!!とかいいつつ、何も思い浮かんでいないのでショックすら受ける気力も無い。

 支援系、大切にしようぜ?な?いなかったらどれだけ苦労するのか、よく分かるはずだから。


「で、それはいいとしてさ、こいつらをどうすんだよ」

「選択肢を選んでください。

1、殺す

2、拷問

3、逃がす

3を選んだ場合には、部長の拳が全力で貴方のお腹に突き刺さるのでご注意を」

「俺なのかよ!!それなら4、全力で拳を腹に入れて、魔法を使う。これでいいじゃん。面倒くさい。一発殴れるからな」

「5、肉に飢えた動物の元に連れて行く。一番手っ取り早いよ?それに、何の証拠も残らない。鷹が連れて行ってくれるはず」

『俺か!!』


 この回答に全員が賛成。す、すごいね。



 で、最終的に本当にそうなったわけなんですが、ちょっといいですか?前にも見たことのある光景が…目の前にあります。


「また、魔方陣がある」

「お前は何で神と交信ができる」

「してないし。してたら帰る方法を教えてあげるし。でも、それを知らない神様に会うから仕方が無い」


 で、結局入ってみました。同じ空間に、同じ扉。フロラさんにもう一度会うのかなーって思ったりもしたんですけど、違いました。確かにフロラさんもいたんです。けれど、今日はもう一人…。


「あ、久しぶりだね」

「…イケメンな女性がいる!!」


 そう。イケメンな女性がいました。すごくカッコイイ!!髪もショートカットで赤い。そして、絶対に運動ができそうです!!その人は優雅にお茶を呑んでいた。


「あ、初めまして。俺は戦いの女神、アテナだ。よろしくな」

「アテナさん?!そ、そんなにカッコイイんですか?!女性として尊敬しそう!!ギリシア神話に幸あれっ!!ひゃっほーい!!」

「え?ほ、本当か?!ありがとう。そうやって言ってくれる人もいないからさ」


 鎧に身を纏い、剣を腰に差しているところがいかにも「戦いの女神です」と言っている。絶対に戦ったら部長よりも強い。いや。私たちが束になって戦っても負けるかもしれない。そんな力があるように見えた。


「俺はやっぱり戦いの女神だからさ、父さん…ゼウス様に言われてこんな口調を強いられているんだ。だから、他の女神からは「女気が無い」ってよく言われてるんだ。でも、君みたいな…沙希みたいな人がいてくれると本当にいい。

 まあ、戦いの女神が女々しいと嫌だろう?俺はこっちの方が気が楽だ」

「その口調を含めてカッコイイです。その口調が似合いますよ」

「ありがとう」


 ニッコリと笑う、その顔も結構好きですよ?


「アテナ。やっぱり君も気に入ったかな?」

「うん。この子はいい。本当に。お前の言った通りの子だ」


 私のことが気に入ったのか、カップを置いてジーッと見つめてくる。どうしようもないので、とりあえず笑っておいた。


 で、最終的に力を分けていただきました。やったぜ!!非戦闘員じゃあなくなった!!私、成長したよ!!頑張ったよ!!戦いの女神だからね。絶対に強くなった。


「よっし!!やったね」

「力の使い方次第で人を守ることもできる。けれど、人を傷つけることもする。どちらに使うかは、あなた次第、ね」

「それはどっちもですね。仲間を守るためには誰かを傷つけないといけないときもありますから。そんなときには迷い無く、私は誰かを傷つけますね」


 私はハッキリとそう言い切った。何度も助けてもらったんだ。だから、今度は私が助ける番。そのためだったら命を投げ出してでも助ける。そう、ずっと前から心に決めてあった。

 それが誰であれ、絶対に。


「…やっぱりいいね。この子。選んでおいて正解だった」


 アテナさんがそう言った瞬間に、目の前はまたしても壁でした。


「何でいいタイミングで消えるっ!!」

「何でこんなタイミングで現れるっ!!いいか?絶対に振り向くな。絶対だ」

「……何をなさってます?」

「全力で水遊びをしていたかな?八月が。その被害にあっただけだ。で、何が一番やばいか、なんて言わなくても分かってるよな?八月!!笑うなって!!本当に使えねぇな!!」


 うん。最悪のタイミングだね。早く服を着てくれたまえ。変態になんかなりたくも無い。壁。今は私の味方はお前だけなんだ。全力でこの部屋から出たい。


「もーいーかい」

「絶対に無理。まだ。拒否。…今度、市で服でも買うか。絶対にな」

「あ、女性組みも買います。もちろん。お金はそちらもちで」

「そうやって言うでしょうね!!分かってましたー。…あ、もういいぞ」


 ようやく許可が下りました。やれやれ。疲れるぜ。…心の中でそんなことをつぶやいてみる。


「で?今日は誰だったんだよ」

「ふふふ。良くぞ聞いていただけました。やりました。本当にやりましたよ!!」

「勝利の女神、ニケだったりします?」

「全然。…あ、ニケさん、強そう。いつかは来てくれるかな?で、誰かって言うとですね。戦いの女神のアテナでした!!これで非戦闘員じゃあない!!」

「ほーう」


 そのまま全力で部長が右ストレート!!寸前で私がかわす。…こ、こんなことができるのか!!無意識なのに。そして、そのまま私は反撃をしてしまった。

 こうなったら今までの暴力を仕返すのみ!!


「ふんっ!!」

「っ…………」


 右ストレート、決まったーー!!部長の脇腹に一発、決まりました。絶対にできなかったのに私、やったよー!!

 みなさま、呆然。私も驚きました。


「強くなった」

「痛てぇ…。どうやったらそんなに強くなる?!本当に女なのか?!アテナ、強すぎだろ!!そして、お前はチートだな!!」

「本当に強くなりましたね。自分で自分を褒めてみます。部長に一発拳を入れてやったぜー!!ひゃっふー!!」


 その後、全力で首を絞められました。いつか、死ぬ気がする。こうやって部長をからかうと、私の命ももろともに空の果てに飛んでいくと思う。


 翼ーはためーかーせー

 行きたいー


 これ、どこかで行った気がする。鷹に。そう。鷹に。


「ギブギブギブ!!息がっ!!死ぬ!!」


 バンバンバン、と床を叩きます。完全に怒ってます。離してくれない。部長、切れたら怖いんだよ。部長以外の全員が止めようとしてくれるけど、怖すぎて近寄れないみたい。

 し、死ぬ……。


「ちょ、健!!穂高の腕に力がなくなってる!!力が抜けたから!!許してやれ!!死にかけてるからな?一生戻ってこない場所に逝くから!!」

「教会で生き返らせばいいだろ?」

「ここはドラ○エの世界じゃあないからな?ザオ○クも無ければザ○ラルも無いからな?それに、今まで散々穂高に暴力は振るっただろうが!!この世界で。少し殴られたからって殺すなよ!!全員で帰れなくなるだろうが!!」

「…………まだ、死んでないから大丈夫だ」

「死んだら遅いんだよ!!」


 最終的に解放されました。…し、死ぬ。


「ゲホッゲホッ。…あー。空気がおいしい…」

「三途の川が見えてただろう?本気で。冗談抜きで。こいつのせいで」

「ちょ…ギブギブ。そろそろ止めてくれ!!」

「穂高にどれだけ痛めつけてたんだよ。あ、穂高。どのくらいこうしておいた方がいいかな?」

「五時間」

「時間かよ!!ちょ、本気?!」


 そうして奇妙な光景なんです。魔法使いが剣士を三角固めしています。私、いつかザオ○クやザ○ラル、覚えないと危ない気がする。


「だ、大丈夫でしたか?!」

「あー。大丈夫大丈夫。涼也君。なんか本当にありがとう。全力で君には感謝をしようと思う。今後、何らかの形でお礼をするよ」

「な、何でですか?」

「最初っから笑わずに心配をしてくれていたから。他の人たちとは違って、だよ。全力で感謝します」


 全力で感謝=土下座。後輩に向かって本気でしました。私って偉い。

 で、涼也君はオロオロとしていた。予想はしていたけどね?この子、他の人とは違って優しいから。


「そ、そんなことしないでください!!僕は当たり前のことをやっていたのであってそんな特別なことでもありません。だって、止めないと穂高先輩が死んでましたよ?!」

「それをなんとも思わない人たちよりもいいんだ。だから感謝の印を後でプレゼントするよ」

「おーい。俺はー?」

「あー。アリガトウゴザイマス。部長を三角固めしていただいて。以上。そろそろザオ○ク覚えたい方からでしたー」

「あるのか?」

「知らん」


 さんざん痛めつけて(副部長が)部長、解放。私の気持ちを思い知れ!!とか思っていると睨まれた。でも、私は悪くないと思うんだ。なので、全力で睨み返した後、部屋から出た。


 で、翌日も私はお留守番する気満々でした。え?だって眠いからね。布団の中に全力で入ります。起こされないので寝ます。おやすみなさい。


「…穂高ー。緊急事態だ。全力で起きろ」

「んー。あと五時間かな」

「……せめて分にしろ。で、緊急事態だ。問答無用で布団を取るけどいいな?」

「きゃー。変態ー」

「……ソラが死ぬかも」

「あ、行きます。穂高、いっきまーす」


 全力で布団から出ました。こんにちわ。起きたぜ。


「平原で?何があったの?と、言うより何でそんなことを君が知ってるの?」

「携帯電話、持ってませんかね?これ、八月さんが充電してくれるからまだまだ使えるんだよ。改造もしたからな。お前の分もそうなってるよ。

 で、平原のボス的なものに絡まれて、全力で戦ってるんだけどね…手も足も出ないんだってさ。と、言うわけでよろ」

「へいへい。『転移』してから一緒に戦いましょってことだろ?」


 私は城ノ内を部屋からだし、服を着る。もちろん。制服だ。着替えたところで呼び戻し、『転移』を使う。平原までやってきました。


「ってでっかーー!!」」

「巨大だなー。やっばいな」


 目の前にいたのは巨大な猪。とにかく大きい。首が痛いほど上を見上げる。


「全力でいかないとこれは駄目だね」

「そういうこと」


 みんなの姿を探すとすぐ近くに居た。そちらに行くと皆さん傷だらけです。まあ、大きい猪に4人だけで頑張ったんだもんね。


「とりあえず、回復させますね。傷が酷いので」


 最近、手をかざして魔力を送るだけで傷が治るようになった。すごいすごい。

 全員の傷が治ったところで、もう一度攻撃を開始していた。城ノ内も参加して。私はこの前なら、見ているだけの役立ったのだろうけれども、今日は違う。


「……………」


 アテナからもらった力を何となく考えてみる。戦いの女神。ならば、戦うために必要なものを全て持っているはずだ。今の私にある物はこの杖だけだ。杖は殺傷能力はほとんど無い。

 それに、こんなに大きいんだ。それなら、どうやればみんなを助けられる?


 私は少しだけ目を開く。そうだ。陸が駄目なら空がいい。鳥のように翼があれば、私は戦える。


『女神アテナの力は最強だぜ。譲ちゃん』

「分かってるよ」


 だから、誰でも簡単に殺せてしまうんだろう。力を抑えないと。

 バサッと音がする。私の背中には、純白の翼が生えていた。光で包まれているその翼は私を空へと導いてくれるようだった。

 手に持っていた杖を投げる。そして落ちてきたものは、2本の剣。双剣だ。


「戦いの女神アテナの力は確かに強い。でも、大切な人を守るためだったら、使うことに戸惑いは無いんだよ。全力で守る」

『そうじゃあないと使えねえな!!』


 私は地面を蹴った。跳躍力が上がっている。木の枝に着地をして、もう一度蹴る。


「この豚野郎っ!!」


 そうやって叫んだ後は、私は無意識で戦っていたので、覚えていない。ただ、ずっと地面には降りずに翼を器用に使いながら戦っていたことだけは覚えている。


「…穂高?何をしたのかをハッキリ、十文字以内で答えろ」

「……戦いました!!(キリッ)」

「よし。歯ァ食いしばれ」

この続きも、一応あります。

更新、多分します。

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